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メル・ギブソンとショーン・ペンが初共演!大辞典の編纂秘話描く『博士と狂人』がいよいよ劇場公開!

2020年10月14日

(C) 2018. Definition Delaware, LLC. All Rights Reserved.

 

初版発行までに70年以上の歳月を費やした辞典『オックスフォード英語大辞典』の製作に携わった異端の博士と、殺人犯による共同作業と友情を描く『博士と狂人』が、10月16日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『博士と狂人』は、初版の発行まで70年を費やし、世界最高峰と称される「オックスフォード英語大辞典」の誕生秘話を、メル・ギブソンとショーン・ペンの初共演で映画化。貧しい家庭に生まれ、学士号を持たない異端の学者マレー。エリートでありながら、精神を病んだアメリカ人の元軍医で殺人犯のマイナー。2人の天才は、辞典作りという壮大なロマンを共有し、固い絆で結ばれていく。しかし、犯罪者が大英帝国の威信をかけた辞典作りに協力していることが明るみとなり、時の内務大臣ウィンストン・チャーチルや王室をも巻き込んだ事態へと発展してしまう。

 

本作は、全米でベストセラーとなったサイモン・ウィンチェスターによるノンフィクション「博士と狂人 世界最高の辞書OEDの誕生秘話」をP.B.シェムランが映画化した。マレー博士役をメル・ギブソン、マイナー役をショーン・ペンがそれぞれ演じるほか、ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のナタリー・ドーマー、『おみおくりの作法』のエディ・マーサン、『スペインは呼んでいる』のスティーヴ・クーガンらが脇を固める。

(C) 2018. Definition Delaware, LLC. All Rights Reserved.

 

映画『博士と狂人』は、10月16日(金)より大阪・梅田のシネ・リーブル梅田、京都・烏丸の京都シネマ、10月23日(金)より神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。

総重量は62kg、総ページ数は約21,000ページ、全20巻。価格は日本円で約20万円。オックスフォード英語辞典(第2版)のボリュームである。OED(Oxford english dictionary)は、英語圏ネイティブにとっての国語辞典として編纂された。日本人にとっての広辞苑のようなものだが、その圧倒的な情報量は他に類がない。単語の意味、その起源、変遷してきた歴史などが網羅されている、膨大な知のデータベースだ。

 

巨大な辞書を一からまとめていく作業に携わる、二人の人物の姿。十分にスペクタクルだが、本作では彼らにかかわる人々も交えたドラマに胸が熱くなる。戦争で体験したトラウマによって心が壊れてしまった男、マイナーの犯した罪。その罪は許されることができるのか、それを許せるほどの愛とは何か。辞書を引く者が言葉の意味を手繰るうちに、物語は、やがてその本質にたどり着くように、悲しくも崇高な命題に対して一つの答えを示そうとする。

 

百科事典のような質量と価格のOED全集は、かつては大学の図書館か研究者の書斎にしかなかった。今では、オンライン契約で利用可能。現在はNew Edition(第3版)が編集中で、今も3ヶ月毎に単語の新規追加と見直しの改訂が行われている。言葉は時代と共に常に変容していく。長い時間をかけて辞書を編纂しても、世に出る頃には新しい言葉や意味が生まれている。「辞書は永遠に未完成なもの」とよく言われるが、オンライン版となったOEDは未完成というよりも、ずっと「進化を続けている」と言わざるを得ない。

 

今や膨大なデータの中から欲しい情報を瞬時に検索することも可能だ。もはや、21,000ページを手でめくっていく必要はない。リンクをクリックして、オックスフォードの有する他の辞書、古語辞典や単語用例辞典を参照できる。単語の発音も音声で確認可能だ。言葉の意味を知りたい者に対して、あらゆるアプローチが手に入るようになった。劇中で、OED編纂プロジェクトの責任者に任ぜられたマレーは言う、「私は英語のすべてを任された」と。彼は、辞書を大海を渡る者にとっての海図と羅針盤に例え、大空を世界の果てまで飛ぶための翼だとも評する。文字の読めない者が今よりも遥かに多かった時代では、無知であることが人々を幸せから遠ざけていた。「民主的な辞書を」と願ったマレーとマイナーの想いは時代を越えて受け継がれ、新しい形へとさらに進み続けている。二人の功績をたたえつつ、OEDの初版がどのようにして生まれていくのか、その劇的なドラマを劇場で見届けて頂きたい。

fromNZ2.0@エヌゼット

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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