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本当の青春は微熱のような日々…『36.8℃ サンジュウロクドハチブ』安田真奈監督とどんぐりさんの微熱VSアツアツトーク開催!

2018年10月16日

兵庫県加古川市の街を舞台に、女子高生たちの瑞々しい日常を、豊かな食を交えて描く『36.8℃ サンジュウロクドハチブ』が大阪・九条のシネ・ヌーヴォと神戸・元町の元町映画館で上映中。10月16日(火)には、安田真奈監督と映画『カメラを止めるな!』のどんぐり(竹原芳子)さんを迎え、「微熱VSアツアツトーク」と題して、トークショーが開催された。

 

映画『36.8℃ サンジュウロクドハチブ』は、兵庫県加古川市に暮らす女子高生の少女を主人公に、加古川の風景や食とともに描く青春映画。何かと遠慮がちな性格の17歳の女子高生・若菜は、家族や友達と穏やかな日常を過ごしているが、時に周囲との微妙な温度差を感じて悩んでしまう。進路や家族、元彼のことなど悩みを相談できるのは、SNSで知り合ったOLのみずほだけで……

本作は、全国の自治体と組んで製作するオリジナル映画「ぼくらのレシピ図鑑シリーズ」の第1弾。監督・脚本は『幸福(しあわせ)のスイッチ』の安田真奈さん。主演は、NHK連続テレビ小説「わろてんか」でヒロインの妹役を務める若手女優の堀田真由さん。両親役に渡辺真紀子さん、寺脇康文さんらベテランが脇を固める。

 

上映後に、安田真奈監督と、どんぐり(竹原芳子)さんが登壇。「微熱VSアツアツトーク」と題してトークショーを繰り広げた。

 

映画『カメラを止めるな!』の「アツアツやで!」という台詞で注目された適当プロデューサー役を演じたどんぐりさん。『36.8℃サンジュウロクドハチブ』は制作会社の映画24区が手掛けたことから、9月13日より映画24区に所属となったどんぐりさんが登壇に至った。そもそも、”どんぐり”という芸名の由来について、どんぐりさんは「落語を習っている時、発表会用に芸名を考える必要があった。そこで、落語教室の参加者がどんぐりという芸名を考え、頂いた」と明かす。特に理由は聞いてないが「その方による私のイメージではないか」と推測する。

 

本作のタイトルについて、安田監督は「青春は、誰しもに劇的な出来事が起こるわけでない。若菜ちゃんのように、ほとんどの子達は毎日少しずつ嬉しかったり悲しかったりする微熱のような日々を送っているので、このタイトルにした」と説明。なお、このタイトルは映画24区の所属俳優である堀春菜さんの案がベースになっている。そもそもは、タイトルを皆で決める会議で、堀さんが『36.7℃サンジュウロクドナナブ』を提案し。加古川市民も投票して決まったが「ちょっとだけ上げてみた」と話す。どんぐりさんは、このタイトルを見て「インパクトが強くて、何のことかわからんけど、わかりやすいな」と直感。映画を拝見し「体温計は出てこない。若菜ちゃんら3人の女子高生の微妙な関係が良い。高校生の話だけど、大人でも同じ組み合わせの人達がいる」と印象に残った。様々な要素が重なり合った本作について「若菜ちゃんの眼差しや透明感が素敵で、言葉に出来ない感情表現が切ない」と喜んだり悲しんだりしながら、感想を伝える。

 

主人公の若菜ちゃんを演じた堀田真由さんについて、安田監督は「主演なのに台詞のミスがなかった」と絶賛。本作が灼熱の6日間での撮影だったと明かし「毎日遅くまでヘロヘロになりながらも、爽やかに仕上がって良かった」とホッとしている。物語の中心となった3人の女子高生による演技も意気が合っていたが「事前に合わせる為の稽古を一切していない。撮影2日目で合流した」と告白。衣装合わせの時に安田監督が相手役になりきって台詞合わせをして、演技のリズムを掴んでもらった。そんな3人の演技を観たどんぐりさんは、自身が若菜ちゃんタイプだと明かし「私は遠慮がちなんですよ。誘われたら断れないんですよ」と共感する。

 

若菜ちゃんの性格を設定するにあたり、安田監督は加古川市の雰囲気を参考にした。本作は加古川市と制作した映画だが「PR性を強くしたくなかった。青春物語にさりげなく街の良い景色が織り込まれているようにしたかった」と意図を明かす。安田監督は、2006年に『幸福(しあわせ)のスイッチ』を監督した後、子供を授かり、子育てから離れて10日間の撮影に出ることは無理である為、脚本執筆の仕事をしていた。本作の依頼を受けた際に、子供を実家に預ければ撮影出来ると気づく。実際に加古川市に伺い、名所や名物を訪ねると全然出てこず「神戸ほど観光資源がないし、姫路ほどの世界遺産があるわけでもない。でも、えぇとこですよ」と遠慮がちな性格が印象に残る。そこで「遠慮がちな主人公もいいな」と思い、若菜ちゃんのキャラクターが作られた。

 

本作では、登場するお料理も注目ポイントの一つ。どんぐりさんさんも「お料理が美味しそう」と楽しんだ。安田監督は「フードコーディネーターの秋田美佐子さんに映画と女子高生が調べて出来る範囲をイメージして作って頂いた」と解説。他にも、本作には、多くの市民の方に沢山出ていることも特徴の一つ。撮影3ヶ月前から演技ワークショップを行い、オーディションも実施し、100人程度の方が出演。主人公の弟役も市民の方であり「俳優になりたいと言っていた。あの度胸は凄いな」と讃えた。渡辺真起子さんがお母さん役を演じたが「キャラクターに似合った甘過ぎず辛過ぎず、良い距離感を保ったお母さんの仕草をしてもらった」と感謝している。なお、本作が加古川市で上映された際には、監督・プロデューサーや役者さんが登壇するだけでなく、出演した市民の方も舞台挨拶に登壇し、加古川市民にも親しまれる一作となった。

 

映画『36.8℃ サンジュウロクドハチブ』は、大阪・九条のシネ・ヌーヴォで10月19日(金)、神戸・元町の元町映画館で10月26日(金)まで上映中。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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