フィリピンの最貧困エリアに暮らす子どもたち9人の生活を追ったドキュメンタリー『子どもの瞳をみつめて』が第18回大阪アジアン映画祭の特別招待作品部門で世界初上映!
©2022 TAKION.INC
フィリピンの最貧困エリアにあるゴミ集積所パヤタス地区で8年以上の歳月をかけ、子供たちの生活と過酷な不法労働を捉えた『子どもの瞳をみつめて』が第18回大阪アジアン映画祭の特別招待作品部門で世界初上映された。
映画『子どもの瞳をみつめて』は、フィリピンの最貧困エリアに暮らす子どもたち9人の生活を追ったドキュメンタリー。水頭症という病気を抱えながら生きる子どももいれば、命がけの重労働をする子どももいる。ある子どもは、軍事用の武器の使い方まで覚えている。彼らの苦労は多く、忍耐力はすさまじい。それぞれが無邪気さと決意をもって、生と死に向き合っている。
本作は、瓜生敏彦監督とその弟子であるビクター・タガロ監督が8年以上にわたって撮影した映像をつなぎ合わせ、第三世界の生活をありのままパッチワークのように映し出す。カメラは親密な観察者となり、子どもたちや家族の苦しみ、希望、忍耐、そして愛を見つめている。本作の初版である『YIELD(英題)』は、2018年のFAMASS賞(フィリピン映画芸術科学アカデミー賞)で、最優秀ドキュメンタリー賞と最優秀編集賞を受賞。2018年のフィリピン映画批評家協会賞でも最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した。本作はさらに編集を加えた最終版となる。
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映画『子どもの瞳をみつめて』は、2023年のGWに公開予定。
フィリピンの最貧困エリアに暮らす子供達。働けるのであれば、年齢関係なく働いている。子供ながらにして命がけの重労働をしており、最終的に成果として作り出されるものは非常に小さな鉱物の山。そんな子供達が望んだのは学校。学校に通うことで重労働に費やす時間から逃れ、未来への可能性が開かれていく。また、決して少なからずも難病を抱えたお子供達がおり、病院に通いながら学校にも通っていく。作品全体を通して大きな出来事が起こることはなく、淡々と子供達の姿を描いた本作から現実をありありと見せられた。本編最後には、本人を保護するために顔にモザイクをかけられた少年がある物を手にしている。これらも含めて現実なのか、と様々な思いを抱きながら観終えた。だが、世界を知るとは、こういうことなんだ、と思い知ると同時に、広く世に知られてほしいと願う作品である。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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