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一般的には共感されなくとも魅力的な女性を描きたかった…『同じ下着を着るふたりの女』キム・セイン監督迎え舞台挨拶開催!

2023年6月25日

若くしてシングルマザーになった母親と、成長した娘との複雑な親子関係を描きだす『同じ下着を着るふたりの女』が6月24日(土)より大阪・九条のシネ・ヌーヴォでも公開。6月25日(日)には、キム・セイン監督を迎え舞台挨拶が開催された。

 

映画『同じ下着を着るふたりの女』は、互いを完全に愛することも憎むこともできない母娘の複雑な心情を、韓国の新鋭キム・セインが同じ女性ならではの視点で真摯に描いた人間ドラマ。団地に暮らす20代後半の娘イジョンとその母スギョン。若くしてシングルマザーとなったスギョンは娘が幼い頃からつらく当たり、イジョンはそんな母に対して積年の恨みを抱えていた。ある日、2人はスーパーの駐車場でケンカになり、車から飛び出したイジョンをスギョンが轢いてしまう。スギョンは車が突然発進したと警察に説明するがイジョンは故意の事故だと主張し、母を相手に裁判を起こす。そんな中、イジョンは職場の同僚スヒの優しさに触れ、彼女に癒しを求めるように。一方のスギョンも恋人ジョンヨルとの再婚話が進み、母娘はそれぞれの道を歩むかに見えたが…
2021年の第26回釜山国際映画祭で5部門を受賞し、2022年の第23回東京フィルメックス・コンペティション部門に出品されている。

上映後、キム・セイン監督が登壇。今回、お客様からの質問に応えていくティーチイン形式にて行われ、作品の理解を深める良き時間となった。

 

作中で起こるエピソードに関して聞かれ「感情も含め、私の経験に密接している部分もあります。私の中にはイジョンが抱いている感情や相反する感情もあります」と挙げ「感情は私の人生の一部であるので、フィクションではありますが、私の話でもある」と説く。近年の韓国映画界では、女性監督の活躍が著しいが「どうしても自身の内面を吐露するような映画が多い。もっと広い視野で見ることに関しては物足りなさを感じ、壊していきたい」と語る。母のスギョンについては共感しづらいキャラクターだと認識しているが「魅力的な中年女性を登場させたかった。韓国社会において母親は献身的で、自分のことより家族を優先する風潮が好まれている。そういった母親像ではなく、母であっても自分を勝ち取って前に進む母を描いた。一般的には共感されないが魅力的な女性を描きたかった」と話す。

 

作中のキーアイテムとなるリコーダーについて聞かれ「映画の前半でスギョンが自身の気持ちを慰めてくれるような趣味を持ちたい、という思いがある。また、映画の結末を悲しいものにしたくなく、2人が自身の道を歩んでいく可能性を見せる道具の一つとしてリコーダーがある」と解説。また、リコーダーは、韓国では基礎的な楽器であるが「学校などで笛は体罰の道具として使われることが多かった。本来のリコーダーの役割を取り戻したい」と明かした。イジョンとスギョンの関係性についても聞かれ「2人は似ていないようにも見えますが、似通った部分がある。お互いに人間関係が不慣れ。スギョンは自分の感情が爆発した時に抑えることが出来ず吐き出してしまう。イジョンは人に頼り切ってしまって人間関係が壊れてしまう。違う形ではあるが、2人は共通している。人間関係は自分自身があってこそ成立し継続できるもの。映画の中にも沢山描かれている」と述べる。

 

停電時での会話シーンについて聞かれ「日常で使い慣れていない自分の心の奥底にある言葉を話す時、慣れ親しんだ空間では難しい。環境が変わると普段言えなかったことが伝えられる。彼女達が自分の心の中にある思いを出すには、非日常的な状況に身を置くことが大事」と踏まえ「今回は停電という設定を使用しました」と明かす。最終的に2人がそれぞれ違う道を歩んでいくことになるが「様々な出来事が起こり、イジョンは家を出ることになるが、”愛してる”という言葉を聞きたかったわけではなかった。イジョンが様々な人間関係を経験していく中で、結局は私自身を愛することが大切なんだ、と気づいた」とシーンの重みを物語った。

 

映画『同じ下着を着るふたりの女』は、6月24日(土)より大阪・九条のシネ・ヌーヴォで公開中。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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