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様々な民族が住む地球でこそ、人間ドラマを描かねばいけない…『劇場版 永遠ノ矢 トワノアイ』宇梶剛士さんと岩戸秀年さんを迎えトークショー開催!

2023年2月25日

宇梶剛士さんが自分のルーツのアイヌをテーマに、先人たちが北の大地で紡いできた思いを受け継ぎ、現代を生きる青年の成長を描きだす『劇場版 永遠ノ矢 トワノアイ』が2月25日(土)より大阪・十三の第七藝術劇場とシアターセブンで公開。初日には第七藝術劇場に宇梶剛士さんと岩戸秀年さんを迎えトークショーが開催された。

 

劇場版 永遠ノ矢 トワノアイ』は、宇梶剛士さん主宰の劇団「PATHOS PACK(パトスパック)」が、2019年に東京で初演し、2021年夏に北海道3ヶ所で上演した舞台「永遠ノ矢(トワノアイ)」をスクリーン上映。宇梶さんが作・演出を手がけ、自身のルーツのひとつである北海道、そしてアイヌをテーマに、遠い昔より北の大地で紡がれてきた先人たちの思いを受け、現代を生きる青年の成長が描かれる。母方の祖父の葬儀に出席した菅野家の次男である海は、長男の一矢が葬儀に出席していないこと、20年前に亡くなった海たちの父親の墓を建てていないことを叔父から責められる。最初は叔父の言葉を受け流していた海だったが、興奮した叔父が発した、海の3歳下の妹である環菜が本当の兄妹ではないという言葉に、衝撃を受ける。母親に真実を問うても埒があかないことから、海は不仲の長男である一矢に会うため、北海道に旅立つ。一矢は亡き父の故郷で、先祖代々受け継がれてきた矢筒の伝承をたどろうとしていた。その伝承とは、自分たちの先祖で弓の名手であるイソンクルが、敵の将を射ずに、矢を捨てて姿を消したという言い伝えだった。

 

上映後、宇梶剛士さんと岩戸秀年さんが登壇。満員御礼の中、穏やかにトークショーが繰り広げられた。

 

舞台「永遠ノ矢=トワノアイ」は、2019年に東京・高円寺の劇場「座・高円寺」で初演された作品。当時、北海道から来場したお客さんもおり、北海道での上演についてリクエストがあった。宇梶さん自身のルーツにアイヌがあり、上演したく、多くの期待を受け、2021年の夏にコロナ禍の影響を受けながらも釧路・平取・北見の3ヶ所で公演が実現。本作は、釧路での公演を5台のカメラで収録し劇場版の作品が出来上がった。2021年版の作品はリライトされており「北海道の人々が持つあたたかいものを取り入れながら、実際にある厳しさを描かねばならないので、現代の場面をかなり書き直しました」と明かす。1997年まで北海道旧土人保護法という法律が存在していたことを根底にして「そんな中で今も逞しく生きている人々には心のあたたかさがある」と大事にしながら「アイヌは人間という意味。この星には様々な民族の人達が住んでいますから、人間ドラマを描かねばいけない」と思いを込め、作り上げた。

 

参加した岩戸さんは、初演では、空に向けて矢を放つシーンから演じ始めており「怖かったけど、恥ずかしかった」と打ち明ける。参加する前はアイヌに関する知識がなく書物を読んで学んでおり「知らないことが罪なんだな」と実感。また、小道具は丁寧に作っており、苦労を重ねている。また、北海道での公演では、平取では公民館で披露しており、小規模ながらも工夫したことが印象に残っていた。最後に、アイヌ語で”また会いましょう”を意味する「スイ ウヌカラアン ロー」をお客様と言い合いながら、トークショーは締め括られた。

 

劇場版 永遠ノ矢 トワノアイ』は、2月26日(日)から3月3日(金)まで大阪・十三のシアターセブンで公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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