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映画がよくなるには、1本だけでは分からない…映画だからこそ出来る表現がある!「磯部鉄平監督作品特集」磯部鉄平監督に聞く!

2021年3月25日

大阪と東京で映画制作を続ける磯部鉄平監督が2016年から約3年間で制作した短篇・長編作品を上映する「磯部鉄平監督特集」が3月27日(土)より大阪・九条のシネ・ヌーヴォで開催される。今回、磯部鉄平監督にインタビューを行った。

 

磯部鉄平監督は、ビジュアルアーツ専門学校大阪出身。映画を作り始めたのは30歳を過ぎてから、という遅咲きの俊英だが、独自の視点で数々の短編映画を制作。SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2年連続受賞、Kisssh-Kissssssh映画祭グランプリ、賢島映画祭3年連続受賞、札幌国際短編映画祭、大阪アジアン映画祭、ニッポンコネクション等、様々な映画祭の賞で入選・受賞の結果を残してきた。友人を失った高校生、いき遅れたOL、夢を追うフリーター…、磯部監督の作品の中には様々な喪失感を抱えながら踠いている人物が登場する。世代や性別、環境は様々であるが、常に描こうとしているのは”青春”。モヤモヤ感を抱えながらも、希望を見出す優しい視点を持ち合わせていることが特徴だ。今回は、初長編作品『コーンフレーク』をはじめ、『ミは未来のミ』『真夜中モラトリアム』『そしてまた私たちはのぼってゆく』『凪の憂鬱』『予定は未定』『オーバーナイトウォーク』が上映される。

 

ビジュアルアーツ専門学校を卒業後の磯部監督は、しばらくは撮っていなかった。だが「このままではやばい」と焦燥感と共に決意し、コンスタントに撮り出した2016年から約3年間で12本の作品を制作し、数多の映画祭に応募していく。制作しながら、シナリオや演出や撮影の改善点に気づいていくが、通常の映画制作のように1年後に撮る場合は「自身の成長につながらない」と痛感。コンスタントに直ぐ次の作品を手掛けており「反省点を活かして3年で10本以上撮っていた。上手くなっている」と監督自身は語る。

 

短編作品の制作にあたり「ダラダラ説明していたら終わってしまうので、どれだけ端折り分かってもらうか」を念頭に置き「一部分を見せて想像してもらえるか」を重視して、ストーリーを作り出していく。作品同士においても関連性を見出しており『ミは未来のミ』においては高校時代の実話を盛り込んでいる。長編作品の制作では「1ヶ月かけて合宿して撮影した作品があります。長編とはなんという戦いなんだ」と実感。だが、短編作品については直ぐに着想でき「撮影は大変ですが皆が躁状態で勢いよく出来ます」と自信がある。

 

とはいえ、作品毎に苦労を重ねており「『ミは未来のミ』は台風によって1日延びて困惑した。『真夜中モラトリアム』は河川敷で−5℃、前日の雨で地面がぬかるんでいた。『オーバーナイトウォーク』は、毎日終電集合して日々2〜3万歩も歩いてヘトヘトになった朝に解散。『予定は未定』は毎日38℃で死にそうな思いをしました」屋外ロケならではの天気に左右されることなどの大変さを身に染みて感じた。しかし、夜の撮影を気に入っており「都会における夜の街は良いですよね。大阪市内を自転車で行動しているので、夜だけど明るい場所があることに気づく」と明かす。

 

助監督として自作以外の制作に携わっていた当時、スタッフ含め気になっていた方々に声をかけてながら、監督作品に関わってもらっており「主演で出演してもらったら、次は脇役として出演してもらうことの繰り返し。1本撮って仲良くなり、また撮りたくなっていた」と振り返り、阿吽の呼吸を意識的に作り上げてきた。「映画がよくなるには、1本だけでは分からない」という自負もある。特に、屋敷紘子さんについては、制作部として映画に関わった時に知り合い「当時はアクション全開の女優。年齢が近く仲良くなり『映画を作りたい』と言っていたら『撮るなら出るよ』と言ってもらっていた」と嬉しそうに話す。当時から「アクションしない屋敷さんを見たい」と望み「オファーがないなら僕が撮ってみせたい」と意気投合。「今後も出てもらいたい」と願っており「いつかは屋敷さんのアクションも撮ってみたい。その前にアクションをしない日常を撮り、いつかアクションのある長編が撮れたら。アクションやノワールも撮りたい」と期待は膨らむばかりだ。

 

「いつかは映画館で上映したい」とアクションし続けてきたが、昨年より東京の劇場から特集上映が始まった。今回の特集では、『コーンフレーク』が最新作であり特にお薦めしており「『コーンフレーク』を観て、どいう監督でありか知ってもらい、3年間でどういう作品を撮ってきたのか振り返ってもらえたら」と期待している。監督自身は、幼い頃から雑食的な映画が好きであり「今後は、SFやアクションも含め幅広く撮っていきたい。助監督としても携わってきたので現場ならではの楽しさがある。映画だからこそ出来る表現がまだまだある」と未来を目を輝かせていた。

 

「磯部鉄平監督特集」は、3月27日(土)より4月9日(金)まで大阪・九条のシネ・ヌーヴォで開催。なお、3月27日(土)~3月30日(火)、4月1日(木)には磯部監督ほか舞台挨拶を実施予定。また、京都・烏丸御池のアップリンク京都でも順次公開予定。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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