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75歳以上の高齢者に死を選ぶ権利を保障し支援する制度に人々が翻弄される姿を描く『PLAN 75』がいよいよ劇場公開!

2022年6月14日

(C)2022『PLAN 75』製作委員会/Urban Factory/Fusee

 

75歳以上の高齢者が自ら死を選び、国が支援する制度”プラン 75”施行後の日本を舞台に、命の選択を迫られる女性に姿を描く『PLAN 75』が6月17日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『PLAN 75』は、75歳以上が自ら生死を選択できる制度が施行された近未来の日本を舞台に、その制度に翻弄される人々の行く末を描く。少子高齢化が一層進んだ近い将来の日本。満75歳から生死の選択権を与える制度「プラン75」が国会で可決・施行され、当初は様々な議論を呼んだものの、超高齢化社会の問題解決策として世間に受け入れらた。夫と死別し、ひとり静かに暮らす78歳の角谷ミチは、ホテルの客室清掃員として働いていたが、ある日突然、高齢を理由に解雇されてしまう。住む場所も失いそうになった彼女は、「プラン75」の申請を検討し始める。一方、市役所の「プラン75」申請窓口で働くヒロムや、死を選んだお年寄りにその日が来るまでサポートするコールセンタースタッフの瑶子らは、「プラン75」という制度の在り方に疑問を抱くようになる。

 

本作が長編デビュー作となる早川千絵監督が、是枝裕和監督が総合監修を務めたオムニバス映画『十年 Ten Years Japan』の一編として発表した短編「PLAN75」を自ら長編化。年齢による命の線引きというセンセーショナルな題材を細やかな演出とともに描き、初長編監督作にして第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品。初長編作品に与えられるカメラドールのスペシャルメンション(次点)に選ばれた。ミチ役で倍賞千恵子さんが主演。磯村勇斗さん、たかお鷹さん、河合優実さんらが共演する。

 

(C)2022『PLAN 75』製作委員会/Urban Factory/Fusee

 

映画『PLAN 75』は、6月17日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや難波のなんばパークスシネマ、京都・三条のMOVIX京都、神戸・三宮のkino cinéma 神戸国際等で公開。

2018年に公開された『十年 Ten Years Japan』における短編「PLAN75」では、「プラン75」の制度を背景に、端的にある家族を描いていた。公開当時から、長編作品を準備していると聞いていたが、ついに公開を迎える。

 

本作を手掛ける早川千絵監督は、障碍者施設殺傷事件や後期高齢者医療制度といった昨今の出来事や制度から「プラン75」を着想した。今作の冒頭においても、制度のきっかけとなった出来事が描かれていく。現実の日本では実際には起こっていない出来事ではあるが、今後も絶対に発生しない、とは言い難い。2025年には日本国民の5人に1人が 75 歳以上に なると云われており、少しでも国がおかしな方向に舵を切ってしまえば「プラン75」は起こり得てしまうのだ。

 

作中で描かれていく人間ドラマには敢えて余白が多いものになっている。今作は、あくまでディストピアな未来を描くことに着眼を置いているように感じる。何気ない日常の中に徐々に入り込んで、さぞ素晴らしいものであるかのように伝えていく「プラン75」。しかし、誰もが従順に従うわけでなく、抗う者は必ず存在する。誰もが疑問や葛藤を抱いていることを端的に表現している。「プラン75」のコールセンタースタッフを演じた河合優実さんが、コールセンターの真意を聞いた時に放つ強い眼差しには、国や観客に訴求しているようにも感じた。最終的に希望を感じることが出来たなら、本作が制作された意義は大いにある、と受けとめたい。

 

 

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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