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2年連続の中止を経て豪華ゲストを迎え、大阪の映画ファンのための映画祭「おおさかシネマフェスティバル2022」授賞式開催!

2022年3月6日

大阪の映画ファンのための映画祭「おおさかシネマフェスティバル2022」が、3月6日(日)に大阪・堂島のホテル エルセラーン大阪で開催。豪華ゲストの登壇による表彰式が行われた。

 

おおさかシネマフェスティバル」は、1976年に大阪・中之島の関電ホールで「第1回映画ファンのための映画まつり」としてスタート。 関西在住の映画ファンが選ぶ前年度の邦・洋画ベストテンと個人賞を表彰するイベントで、受賞者の映画人と映画ファンが、 大阪でスキンシップを図る映画祭として多くのファンに愛され、親しまれてきた。 第25回(2000年)で「映画まつり」の灯は一度消えたが、2006年に「」として復活し毎年開催している。選考対象となる映画は、2021年1月1日から2021年12月31日までに大阪で公開された作品。年間200本以上の映画を鑑賞した関西の映画ファンによる投票を基に、選考会を開き「ベストテン」と「個人賞」を決定した。

 

授賞式では、まず、自主制作作品を中心に若き才能を対象にしたワイルドバンチ賞をリム・カーワイ監督の『』が受賞。「おもろいから」が一番の理由として大阪を舞台にした作品であり、監督自身も中崎町在住である。コロナ禍前に撮影しており、インバウンド需要がピークだった頃だが「アジア各国と日本を行き来する人達に関心を持ってもらいたい」と考え制作した。また、コロナ禍の中で、沖縄から北海道までの道のりを撮ったロードムービーを既に撮っていたり、2025年の大阪・関西万博までの大阪を振り返る大阪3部作を構想していたりと制作意欲は止まらない。なお、20歳の時に留学生として来日して以来、各地を回ってきたが「精神的に、大阪が一番アジアに近い。凄く暮らしやすい」と大阪を気に入っていることを伝えた。

 

新人監督賞は、2人の監督が受賞しており、まずは『ねばぎば新世界』の上西雄大監督。監督と主演を兼ねているが「僕は監督というより役者。役者でありたい、と思う中で、監督もやっています」と謙遜。そもそもは大阪で劇団テンアンツを旗揚げ、劇団員の皆と映画を作るようになったが「この動きは何一つ変えずに、映画も舞台も続けていきたい」と語る。大阪を舞台にした作品を撮り続けてきたが「大阪で生まれ育ち、大阪で喜びも悲しみも感じました。様々な感情をこの場所で描ければ。大阪人でこそ大阪の映画を作れる。大阪弁でしか表現できない人間があり、表現できるのは映画しかない。今後も大阪を舞台に映画を作っていきたい」と力説。さらに「大阪はおもろいけど厳しい。おもろいけど真面目。くだけているようでくだけていない。人と人の心の間をあたたかいものでつないでいる。喧嘩しても直ぐ仲直りできる。仲良くやっていける。笑いを用意していないと」と話す。

 

そして『』の春本雄二郎監督。主演の瀧内公美さんについて「一作目の『かぞくへ』を東京の映画館で上映した際、毎日舞台挨拶をしている時、ロビーで、彼女から『次回作を撮る機会があったら、私を出演させてもらえないでしょうか』と云ってもらい、プロフィールをお渡し頂いた。彼女が主演の『』で難しい役を体当たりで演じており、私の映画に出演しても十分にやっていける」と直感。演技ワークショップで監督の作品に出ている梅田誠弘さんと演じてもらい「彼女なら主演でも大丈夫だ」と確信した。隙間のない演出が施されている『由宇子の天秤』だが「お前は完璧主義者じゃないのか」と云われることもあり「ちょっとでもお客さんから突っ込まれるのが怖くて…」と告白。映画を制作するにあたり「映画館を出た後に、映画の中だけで終わらず、日常に戻った時に我々はどうしたらいいんだろう」と受けとめ「日常まで映画を持って帰って頂きたいので、現実に肉迫したような作品を作っていきたい」と語った。

 

音楽賞は、『』の石橋英子さん。2時間59分の長さがある作品への音楽制作について「撮影中から自由に様々なことを試しながら音楽を作ることができ、楽しかったです」と振り返る。また、脚本や撮影、録音やミックス、演技を讃え、音楽が育っていったことを感謝していた。

 

撮影賞は、『』の四宮秀俊さん。撮影当時について「目の前で起きる素晴らしい演技やロケーションを用意してくれて。撮影するのが楽しかった」と振り返る。撮影スタイルとしては、カメラの横で演技を見ながら撮影しており「濱口監督はモニターを通さずカメラの横にいて、生の演技を観ているので、撮る側としても心強い」と明かした。

 

脚本賞は、『』の濱口竜介さんと大江崇允さん。お二人とも多忙のため、濱口さんから「大江崇允さんは大阪の出身で、一番最初にお会いしたのはCO2という大阪の映画祭でした。大阪から評価を頂けることは嬉しいことです。3時間という長尺になりましたけども、この物語はこれでいいんだ。と励ましてくれていたのは大江さんだと感じています。彼がいないと、脚本のクオリティはなかったと思っています」とコメントを頂いた。

 

日本映画作品賞は『ドライブ・マイ・カー』。さらに濱口監督から『村上春樹さんの物語の世界を映画で表現するのは、本当に大変なことだったと思います。役者さんの体で世界観を表現しないといけない。役者さん達にとっても大変なことだったと思います。西島秀俊さん、三浦透子さん、岡田将生さん、霧島れいかさんらをはじめとして素晴らしい演技の役者さん達が演じてくださいました。そのおかげでこの結果があると思っています。この場を借りて役者の皆さんにお礼を言いたいと思います。そして、撮影賞と音楽賞を頂いておりますけれども、役者さん達の仕事を最大限に守りながら素晴らしい仕事をしてくれたスタッフの皆さんにもこの場を借りて感謝したいと思います」とコメントを頂いた。

 

監督賞は、『すばらしき世界』の西川美和監督。佐木隆三さんの小説「身分帳」を読み「過去に犯罪を犯して刑務所に13年いた男が普通の社会に戻ってきて、当たり前の日常を取り戻す話が書かれていた。様々なことに戸惑い、世間から咎められているような気持ちに苛まれながら、当たり前の日常を取り戻すことがどれだけ難しいか書かれた興味深い小説だったので、是非もう一度様々な人に読んでもらいたい。当時は絶版状態だったので、映画にしたら出版社が再販して様々な人が読むかもしれない」と映画化に至った。とはいえ。30年前に書かれた小説であり「様々なところで社会の受け入れ態勢も変わっており、しっかり取材して描かないといけない」と心がけ、大阪でも取材しており「原作で書かれていた時代とは違う問題や難しさは何なのか調べた上で脚本を書きました」と明かす。監督自身にとっても身近な世界ではないので「ハードルが高いと思ったが、様々な苦労をしていたり、人には言えないこともあります。こちらが耳を傾けると、立て板に水の如く話してくれたことが多かった」と振り返る。主演の役所広司さんについて「福岡生まれで全国を転々としていた方を演じた。ご自身は長崎なので、自分の生まれたところと似ているけどズレている方言をどのぐらいフィットさせるか、語尾の細かい言い回しまで確認されていました」と話す。とはいえ「下積み経験の長い方なので、クランクインまでの準備をしており、現場に入ってからは質問や注文がない。カメラを回したら主人公が立っていた」と絶賛した。

 

新人賞は、4人の俳優が受賞しており、まずは『夏、至るころ』の倉悠貴さん。スケジュールが合わず「初めての映画賞を地元である大阪で受賞することができ、光栄な気持ちです。受賞に満足せず、もっと精進していければ、と云いたいところですが、今日は素直に喜びたいと思います。これからも自分らしく映画というものに真摯に携わっていけたらなと思います。最後に僕に関わってくれた皆様、支えて下さった皆様、本当に感謝しています」とコメントを頂いた。

 

そして『』の駒井蓮さん。来場できなかったが「『いとみち』は地元青森の撮影だったので、本当に思い入れの強い作品でもあります。その『いとみち』で受賞させて頂けたことが本当に嬉しいです。これからもおもしろい映画を作っていけるように、より一層精進していていきたいと思っています」とコメントを頂いた。

 

さらに『』の津田晴香さん。元町映画館の10周年記念映画『まっぱだか』に出演し「私の充て書きの役で大変だったけど、自分と向き合う貴重な機会を頂けたので、やって良かったな」と感慨深い。作品を手掛けた安楽涼監督と片山享監督も来場しており「二人の作品のファンだった。舞台挨拶で来られた際に会って泣きながら感想を伝えたことを覚えてくださり、今回の映画に声をかけてくださった」と感謝している。

 

最後に『茜色に焼かれる』の片山友希さん。演じた役について「自分が演じられるだろうか、不安が大きかった。自分が全然出来ない苛立ちと、演じた役の苛立ちがリンクしたのではないか」と受けとめている。演技に悩むことが多く「尾野真千子さんと二人で話しているシーンは、撮影前からプレッシャーが大きかった」と振り返った。

 

助演男優賞は、『孤狼の血 LEVEL2』の鈴木亮平さん。お仕事の都合で来場できず「『孤狼の血 LEVEL2』は広島で撮っていた作品です。僕は出身が兵庫県ですが、関西弁と広島弁は少し似ているのかなと思ったら、全然違い苦しめられたなという印象があります。演じた上林という役は残忍で凶暴な役ですが、どのように演じれば、人間の皮を被った怪物ではなく、怪物のような人間に出来るか考えながら演じました。暴力の中にも彼の背景があり、どこかに悲しみや切なさや哀愁をお客様に感じて頂ければいいなと思いながら演じました。これからも頂いた賞に恥じない俳優になるべく精進していきます」とコメントを頂いた。

 

助演女優賞は、『浜の朝日の嘘つきどもと』の大久保佳代子さん。今までは作品の中で1シーンや2シーンに出演したことはあるが「沢山の台詞を頂いて、本編に関わる役は初めてだった。監督が充て書きをしたんじゃんないか、とよく云われるぐらい、自然に演じさせて頂いた」と感謝している。50歳を迎え「台詞の量が多く、覚えられない。喋っていても上手く言葉が出てこず、大変でした」と明かし「改めて、役者の仕事は凄いことなんだ」と実感した。とはいえ「女優のお仕事に関する大変さが分かりつつも、増えたらいいな」と願っており「役者やスタッフの皆さんが本当に映画が大好きで、1秒でも良い作品を作ろうとする現場に一定期間いられたことは楽しかったので、再びあの感覚を味わいたいな」と期待している。

 

主演男優賞は、『空白』の松坂桃李さんと古田新太さん。まずは、撮影スケジュールの都合が合わず松坂桃李さんから「おおさかシネマフェスティバルは2016年に助演男優賞を頂いた時、樹木希林さんと久しぶりに再会でき、久しぶりに楽しくお話しさせて頂いて、良い時間だったなと思っています。他の映画賞と比べて、変な硬さもなく、和やかでアットホームな感じで温かかったと覚えています。『空白』は、コロナ禍になる直前の撮影で、キャスト・スタッフの全員が撮り切れるのか不安と恐怖の中で撮影していたのをよく覚えています。そんな中で古田新太さんと吉田恵輔監督が引っ張って下さって、チーム一丸となって作品を撮ることが出来ました。現場の皆さんが心の拠り所でした」とコメント。

 

そして古田新太さんが登壇。映画と共に舞台でも活躍しているが「映画は撮られちゃうと出来上がるまでワクワクがあります」と説く。『空白』については「桃李を追い詰めていくモンスターなお父さんだった。桃李がどうなっているのか全然分からないので、まさか寺島さんにあんなことをされているとは…」と面白く話す。映画と舞台について「どちらも楽しいです。テレビも映画も舞台も全然違う仕事なので」と各々の面白さがあり、存分に演じていることが伝わった。

 

主演女優賞は、『茜色に焼かれる』の尾野真千子さん。台本を頂いた時には「物語に納得できた。台本に血が通っていた。生きていると思った。今の世の中を変えないといけないな、と台本だけで思わされた」と印象に残っている。演じた役が立ち向かうアルバイトについて、最初は「ありえへんやろ、こんなことせぇへんやろ」と思ったが、演じていくうちに「あり得るな、こういうことをしてまでも家族を守りたい。守りたいものが強ければ強い程、あり得ないことまでしてしまうんだろな」と納得した。今まで様々な役を演じてきたが「頂いたら、演じたいと思ってしまうから、引き受けるんです」と断言。完成した作品について「監督やスタッフのおかげだと本当に思いました。あの人達がいなかったら、全く違う作品になっていた。監督が近くで獲物を狩るような眼で観ていました。あれが無かったらこんな演技はしていなかった。気持ちがこんなに表に出なかった」と感慨深い。今後も「出来る限りやります。ずっと女優をやっていきたい」と力強く語った。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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