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様々な過去があっても、今を前向きに生きていけるようになったらいいな…『ちょっと思い出しただけ』松居大悟監督、池松壮亮さん、伊藤沙莉さんを迎え関西プレミア上映会開催!

2022年2月2日

今はもう別れてしまった男女の恋愛の軌跡を、1年間のある1日を6回描くことで映しだす『ちょっと思い出しただけ』が2月11日(金)より全国の劇場で公開される。2月2日(木)には、シネ・リーブル梅田に松居大悟監督、リモートにて池松壮亮さんと伊藤沙莉さんが登壇し、関西プレミア上映会が開催された。

 

映画『ちょっと思い出しただけ』は、『バイプレイヤーズ もしも100人の名脇役が映画をつくったら』『くれなずめ』など意欲的な作品を手がけ続けている松居大悟監督のオリジナル脚本を、池松壮亮と伊藤沙莉の主演で映画化。ロックバンド「クリープハイプ」の尾崎世界観が自身のオールタイムベストに挙げる、ジム・ジャームッシュ監督の代表作のひとつ『ナイト・オン・ザ・プラネット』に着想を得て書き上げた新曲「ナイトオンザプラネット」に触発された松居監督が執筆した、初めてのオリジナルのラブストーリー。怪我でダンサーの道を諦めた照生とタクシードライバーの葉を軸に、様々な登場人物たちとの会話を通じて都会の夜に無数に輝く人生の機微を、繊細かつユーモラスに描く。

 

上映前、まずは松居大悟監督が登壇し「去年、『くれなずめ』という映画を作った時、4月29日の公開が延期になり5月12日になったんですが、その時、大阪の映画館が開けられず、その後の公開になったので、公開日より少し先に届けられて凄く嬉しいです」と感慨深くなりながらご挨拶。また「シネ・リーブル梅田はodessaが入っていて、極上音響で楽しめると思います」とお客さんの期待を集めていく。さらに、池松壮亮さんと伊藤沙莉さんがリモートで登場し挨拶を行った。

 

当日は、大阪に滞在した松居監督は「シュウマイがこんなに美味しいのか」と驚いており「551のお弁当を食べさせて頂いたです。豚まんの方が存在感強かったんですけど、シュウマイってこんなに美味しんだな」とハイライトな出来事を話す。池松さんも551の豚まんを気に入っており、ニコニコしながら話すと、伊藤さんは「新世界のお酒を嗜むお店が並んでいるところにある串揚げ屋さんが凄く美味しかった」と応じる。松居監督も「新世界は良いですよね。スーパー銭湯と串揚げは最高の好物ですね」とお気に入り。

 

いよいよ来週から全国公開を迎えるにあたり、松居監督は「当たり前のことが当たり前ではなくなってきているので、どうにか無事に公開してほしいな」と願っており「『ちょっと思い出しただけ』という作品が、どういう風に届くのか。今の押さえつけられた状態で観てもらえるからこそ、映画を観ている間と観た帰り道が少し救われるものになったらいいな」と期待している。本作は、松居監督にとっては、キャリア10年で初めてのラブストーリーであり「クリープハイプの楽曲を聴いた時、これまでとは違っていた。相手のことを想ったり、世界は自分だけじゃないもの気づいたりする、という曲を歌っているような気がした」と振り返りながら「ジム・ジャームッシュの『ナイト・オン・ザ・プラネット』があり、クリープハイプの「ナイトオンザプラネット」があり、『ちょっと思い出しただけ』になった。繋がりも含めて、男女それぞれの愛おしさやすれ違いを描けたらな」と思いを込めて制作した。

 

伊藤沙莉さんとは初共演となった池松さんは「去年の夏、2週間という短い期間で、リスクがある中で短期決戦になって、難しい撮影でした。リハーサルも出来ず、いきなり6年間を演じなきゃいけないので、積み上げていくには時間がなくて大丈夫かな」と不安だったが「伊藤さんが作品の物語に寄り添う意識や勘の良さに助けられながら、二人でしか生み出せない空気を刻んでいけたかな」と助けられ、撮影を楽しんだ。松居監督作品に初参加となった伊藤さんは「バランスがとても良い制作組だな、という印象です。皆で同じ方向に向いて、熱く作品を如何にどれだけ良いものにしていくか、どういう作品を届けるのか、をとても考えている方々。松居さんに従い動いていくけど、支えることもしている。素敵なグルーヴがある良い組だな」と信頼を寄せている。

 

1年間のある1日を遡っていく、ユニークな設定について、松居監督は「クリープハイプの「ナイトオンザプラネット」を2年前の春に聴かせてもらって、1年ぐらいかけて台本を書いた」と打ち明けながら「ジム・ジャームッシュの『ナイト・オン・ザ・プラネット』は、同じ時間の世界中の様々な場所の話。今作は、東京近郊ロケになるだろうと思い、同じ場所の様々な時間の話にしようと思いついた」と説く。「順に進むラブストーリーは、別れて終わりになるのが寂しいな」と思い「出会いで終わりたいな」と着想し「坂を登っていくことと考えると、思い出すっていう話がいいな、と苦戦しながら作ってきました」と明かす。撮影について、池松さんは「どうしても撮影は飛び飛びになってしまう部分はあった」と気にかけていたが「松居さんをはじめ、このチームの配慮として、6年間をさかのぼっていくことは幸せの方に向かっていく。過去をさかのぼる度に。過去に向かうようになるだけスケジュールを組んでくれていた」と感謝している。

 

最後に、池松さんは「こういう御時世ではありますけど、2時間は様々なことを忘れて楽しんでってもらえれば、とても幸せです」と願いながら「もう会えなくなった2人の過去の話は、切ないような印象を持たれるかと思いますけれども、決してそういう話ではなく、登場人物達の人生や、これから観て頂く方々の人生、今生きていることを肯定するためにちょっと思い出す作業、過去に自分がどこに属していたのか思い出しながら、人生にある過去が無かったことになりませんように、今が無かったことになりませんように、願いを込めて演じました」と伝えた。伊藤さんも「この作品が大好きで、皆さんに届くことが幸せなんです」と楽しみにしており「様々な過去があっても、その人が存在していたり、意外と要らなかったことは無かったり。今の自分の背中を押したり支えたりしてくれる出来事であったりするのかな。帰り道の足取りが軽くなっていたらいいな。なにかをちょっと思い出して前向きに生きていくようにして頂けると嬉しいな」と期待している。松居監督は「2021年のコロナ禍から映画は始まります。誰かのことを想いながら、観た人の記憶に残る映画にしてもらえたら凄く嬉しい」と感じており「今、辛いですけど…人に会える時、昔よりも今の方が嬉しい。今苦しいからこそ気づいた愛しい感情があると思うので、そういうものが見つかったら嬉しいな」と思いを込め、舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『ちょっと思い出しただけ』は、2月11日(金)より全国の劇場で公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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