Now Loading...

関西の映画シーンを伝えるサイト
キネ坊主

Now Loading...

関西の映画シーンを伝えるサイト
キネ坊主

  • facebook

性格、仕事や生活スタイルの全てが異なる韓国・ソウルに暮らす三姉妹を描いた人間ドラマ『三姉妹』がいよいよ関西の劇場でも公開!

2022年6月21日

(C)2020 Studio Up. All rights reserved.

 

それぞれ家庭を築きソウルで生活する、性格も生活スタイルも異なる三姉妹が、父親の誕生祝いのために集まり、それまで触れることのなかった幼い頃の傷に向き合う姿を描く『三姉妹』が6月24日(金)より関西の劇場でも公開される。

 

映画『三姉妹』…

ソウルに暮らす三姉妹。花屋を営みながら元夫の借金を返済している長女ヒスクは、娘に疎まれながらも大丈夫なふりをして毎日をやり過ごしている。高級マンションで家族と暮らす次女ミヨンは、模範的な信徒として熱心に教会に通い、聖歌隊の指揮者も務めている。そんな彼女の完璧な日常が、次第にほころびを見せはじめる。劇作家の三女ミオクはスランプに陥って自暴自棄になり、酒浸りの日々を送っている。父の誕生日を祝うため久々に集まった三姉妹は、そこで幼少期の心の傷と向き合うことになり、それぞれもがき苦しみながらも希望を見いだしていく。

 

本作は、ドラマ「愛の不時着」のキム・ソニョン、『オアシス』のムン・ソリ、『ベテラン』のチャン・ユンジュが三姉妹を演じ、第42回青龍映画祭をはじめとする韓国の主要映画祭で多数の女優賞を受賞した。

 

(C)2020 Studio Up. All rights reserved.

 

映画『三姉妹』は、関西では、6月24日(金)より大阪・梅田のシネ・リーブル梅田や京都・烏丸の京都シネマ、7月8日(金)より大阪・心斎橋のシネマート心斎橋や神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。

手をつないで夜道を駆ける、幼い姉妹。ファーストシーケンスから不安が募る。入れ替わり立ち代わりに描かれる、3人の姉妹たちのどこか抑圧されて悶々としている日常。卑屈さ、自分勝手さ、虚勢、閉塞感に満ちたドラマが幕を開ける。

 

序盤から三姉妹の鬱屈した生活の描写は精緻でリアリティがあり、観ていてフラストレーションが溜まる一方で、その生き様に対して、怒りすら覚え始めてしまう。どうして妹たちはこんなにもネガティブで、頑ななのか。だが、さらに見続けることで、彼女達の言葉の端々に現れるわずかな違和感や、一瞬の表情と目線に見せるメッセージに少しずつ気づいていく。三姉妹に絶対的に欠けているものは、それなのだとほのめかされる中盤でハッとして、その先の展開で涙があふれる。「どうすれば、みんなに嫌われないの?」というセリフで、私はそれまで堪えていた涙の表面張力が決壊してしまった。

 

本作で取り上げられる悲しくて根の深いこのテーマは、珍しい題材ではない。むしろこれまでも数々の作品の中で、ときには安易にドラマを仕立てやすい設定として何度も使われてきたものだ。しかし、本作ではそれを過剰に描くことはせず、都合よく省略することもなく、ただひたすら丁寧に語り、観るものの心の奥にそれをしっかりと刻んでくる。

 

俳優陣の演技が本当に神がかって上手いのも見ごたえがあった。主役の次女を演じるムン・ソリが上手いのはもはや当たり前の感があるが、この人の演技は本作でも何か所もで鳥肌が立つほどに場面を引き締める。長女を演じるキム・ソニョンは、困り顔が絶妙で、『愛の不時着』のファンは感情移入が止まらないだろう。三女を演じるチャン・ユンジュはモデルが本業の長身美人だが、本作では身勝手に怒鳴り散らす姿が鬱陶しいほど自然すぎて見事だ。スナックをボリボリとむさぼり、片膝を立てながら音を立てて食べ物をすする食事の汚さがすごい。

 

ストーリーもキャストも見どころしかなく、オススメせざるを得ない。韓国映画ファンは言わずとも必見、そうでない方も、ずっしりとした満足感を保証するので是非ご覧になっていただきたい。

fromNZ2.0@エヌゼット

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

Popular Posts