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『愛∞コンタクト』大阪で上映開始!初日アフタートーク開催!

2017年5月27日

5月27日(土)より大阪・十三のシアターセブンで、AV界の巨匠・代々木忠の著書「つながる/セックスが愛に変わるために」を基にしたオムニバス映画『愛∞コンタクト』が上映されている。公開初日には、本作を企画・プロデュース・出演の中原翔子さんと助産師であり日本アマナ性共育協会代表理事の池本千有さんによるアフタートークが行われた。

映画『愛∞コンタクト』は、アダルトビデオ界の巨匠・代々木忠による原作を、2人の新鋭女性監督の手により映画化し、自分と向き合うことができない現代女性の愛のかたちを描いたオムニバス。原作は、代々木がAVの撮影現場で出会った女性たちの愛や性にまつわる悩みを知り、恋愛ができない男女が増える現代社会を独自の視点でつづった『つながる セックスが愛に変わるために』。女優の中原翔子が早川ナオミ名義で映画初プロデュースを務め、渡辺あい、深井朝子という2人の若手女性監督が、「感電」(主演:長谷川るみ)、「おはよう、マコちゃん」(主演:広澤草)、「LOVE REVOLUTIONS」(主演:加藤夏希)と3話のエピソードに仕立て上げた。

上映前には、中原翔子さんより挨拶があり「本作はアダルトビデオ界の巨匠、代々木忠さんの原作『つながる セックスが愛に変わるために』を基にして、若い女性監督たちによるオムニバス型式でつくりました。ちょっとシュールな悲喜劇になっており、性的な描写は多くないが、3人のヒロインを楽しんでいただけたら」と想いを込めた。

上映後には、中原さんと池本さんが登壇。中原さんはお客様に感謝を伝え、池本さんが代表理事を務める、今春に大阪で発足した性教育者を育てる団体「日本アマナ性共育協会」について紹介。中原さんは、本作がアダルトビデオに出演している男女を基にして書かれているドキュメンタリー本『つながる セックスが愛に変わるために』を原作としており「一般的な20代前半/後半・30代前半の3人のヒロインに託して各々が”自分”とつながる話に構成している」と説明した。

1本目の「感電」は、主人公の女子大生である泉が、20歳を過ぎても母親の聖子からの過干渉になすがままの日々を送っていたところから始まる。ある夜、ラジオから聞こえてきた、電気によって感情を研究しているという森本の発言に惹かれた泉は、彼の研究所を訪れる。泉の身体から発する強い電流に気づき、興味を覚える森本。泉の電流は、聖子から受ける無意識の抑圧から発せられるものだった。互いに惹かれ合い、電気的交流によって結ばれる泉と森本。初めて人を好きになった泉の変化に気づいた聖子は…
原作の中では、「門限九時半のお嬢様」とタイトルが付けられているが、中原さんは「AV出演後に死のうと思っていた女子大生のお話を基にしてつくった。原作者の代々木さんは、その女子大生は親の過干渉にあっているのではないか、真綿で首を絞められているような感覚だったのではないかと考えた。一見何不自由なく見えるのに、死にたい、消えてなくなりたいと思った女性のことを綴っているパートを映画にした」と話す。これを受け、池本さんは「赤ちゃんの頃から人に依存していたのが、思春期になって自立のプロセスを踏む時に性的なホルモンが動き出す。母親との拒絶が諍いとしてエネルギーを持ち、母親から自分を切り離して自立のプロセスを歩むことになる」と論じる。「自立のプロセスが上手くいかず、そのエネルギーが滞ってしまい爆発する。自立できた瞬間が描かれている」と池本さんは思った。中原さんは「親子の関係性に引っかかりがあると反応する作品。自分自身とつながれていないと、他者とのつながりが形だけになってしまう。自身とつながれず、自分がないヒロイン」だと捉えた。

2本目の「おはよう、マコちゃん」は、29歳のOL・マコが、年下の彼氏・ユウタへの執着心から、浮気されないよう必死に恋愛マニュアル本を実践していたところから始まる。彼の全てが知りたくて、夜な夜なスマホのロック解除も試みている。 ある日、とうとうロック解除に成功したマコだったが、ユウタが風俗に通っていることを知ってしまい激しいショックを受ける。 そんなに良いものなのかと、風俗の調査を開始するマコ。そこで出会ったヘルス嬢・アヤからの強引な誘いも手伝って、彼氏が欲情する女になるため、自分も風俗で働き始めるマコだったが…
中原さんは「以前、つながれた感覚があったとしても、執着心によって頭で考え、過去と未来を行ったり来たりしている。原作より”愛は「今」という瞬間に宿る、感情は今にしか宿らない”の一節が書かれた2,3ページを引用した」と明かす。「今の積み重ねが大切なんだ、という部分を大阪出身の深井朝子監督が感銘を受けて、フィクションを立ち上げていった。実在のモデルがいるが、監督の心の実体験も反映されているかもしれない」と捉えている。

3作目の「LOVE REVOLUTIONS」は、著名な音楽家と熱愛報道中の女優・愛子が主人公の物語。 熱愛を肯定するかのような思わせぶりなブログを投稿した途端、恋人から別れを告げられてしまう。世間の目やプライドの高さから破局を公にできない愛子。 一方、主演女優を決めかねていた映画監督の喜多見は、偶然目にした雑誌やワイドショーの愛子に強く惹かれ、オファーを決意する。 マネージャーから促され、しぶしぶ出演を承諾した愛子だったが、リハーサルで喜多見から課せられた「愛してる」という台詞を頑なに拒否し、帰ってしまう。 その夜、愛子は元恋人に電話を掛けるのだが…
中原さんは「女優の話であることから、お客様はフィルターが掛かった状態で観てしまうかもしれない」と思ったが「私たちの中では一番のチャレンジ。一回原作を忘れることから始まった」と明かす。結果的に「ヒロイン自身が持っている真の意味の誇りとつながる。それに、こんなに映画の中で『愛してる』と言う作品は他にないのではないか」と思っている。

作品を通して、中原さんは「最初から3本を綺麗に構成してつくった映画ではない。それぞれの監督達に任せた3作品になっている。1本目の「感電」も、2本目の「おはよう、マコちゃん」も監督にやりたいページを決めてもらって作った。3本目は引用ページを明確に決めずに、キャラクターのテイストだけは原作の中から自尊心が高そうな女性をピックアップしてつくった」と話しながら「撮影中は、”嬉しい”や”ありがとう”といった感覚があり、多幸感満載の現場だった」と振り返る。本作は102分の作品となっているが「本当は、100分の作品に納めたかったが、それぞれの作品を幕間映像でつなげてみると102分になった。特にラスト2分間は作品を1本にした時に重要で、なければ締まらないと思ってそのままの尺にした」と中原さんは考えている。

中原さんから池本さんにどの作品が良かったか伺うと、池本さんは「『おはよう、マコちゃん』が共感できる作品。マコちゃんが自分に自信を取り戻していくプロセスが、多くの女性にとって必要なプロセスになっていく」と応えた。池本さんは、現在の女性が持つ性の捉え方を説き、自身が理事を務める日本アマナ性共育協会が取り組んでいることについても伝えた。

最後に、中原さんは映画『愛∞コンタクト』について「自分の感情とつながるということをヒロインに託した。映画を観た後に原作を読んで頂くとビックリすると思うし、既に読んだ方はビックリされているかもしれない。でも、心の中にストンと腑に落ちるところや、共感できるところがあったら」と思いを込め、アフタートークは締め括られた。

映画『愛∞コンタクト』は、5月27日(土)より6月2日(金)まで大阪・十三のシアターセブンで上映。5月27日(土)と5月28日(日)は19:20~、5月29日(月)は20時20分~、5月30日(火)~6月2日(金)は19時20~にて、料金は一般1,500円、シニア1,100円、専門・大学生1,200円、中学生・高校生1,000円、小学生以下700円、シアターセブン会員1,000円となっている。また、リピーター割引として2回目以降は1,000円(1回目の入場整理券要提示)で鑑賞できる。
また、連日先着3名様にはパールアクセサリー、ご来場者全員に『愛∞コンタクト』特製しおりがプレゼントされる。
なお、5月29日(月)から6月2日(金)は『愛∞コンタクト』本編上映前に「桃まつり presents なみだ」作品が日替わりで上映される。ラインナップは5月29日(月)は岡田まり監督による『東京ハロウィンナイト』、5月30日(火)は小口容子監督による『愛のイバラ』、5月31日(水)は加藤麻矢監督による『貧血』、6月1日(木)は森田亜紀監督による『雨の日はしおりちゃん家』、6月2日(金)は渡辺あい監督による『MAGMA』となっている。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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