休館状態だった洲本オリオン、営業再開へ 映画上映会や音楽イベント開催の場に
2013年に一旦営業を終了し休館状態だった兵庫県洲本市(淡路島)にある映画館「洲本オリオン」が営業を再開する。映画上映会や音楽イベントを月に1回のペースで開く劇場として再始動する。
淡路島は、自然が多く海に囲まれていることから、これまで多くの映画やドラマのロケ地となっている。2015年に東京で行われた「映画やドラマのロケ地」と「ご当地グルメ」をテーマに、どれだけ多くの方がその地域を訪れたいかを競う『全国ふるさと甲子園』では、55地域の中から「兵庫県淡路島」がグランプリに選ばれるなど、全国的に注目を集めるエリアだ。だが、定期的に上映を行う映画館は現在はない。
洲本オリオンは、デジタル上映や3D上映も導入したが、時代の波に逆らえず、オリオンを含め洲本市内がロケにも使われた熊切和嘉監督の『夏の終り』を最後に、2013年秋に営業を終了し休館状態だった(現在、淡路島で映画館の建物が残っているのは洲本オリオンのみ、ロードショー上映を行う映画館はなくなっている)。
洲本オリオンの休館後、2014年6月に映画上映会企画を立ち上げたのが「島の映画やさん」。小規模ながらもコンスタントに上映会を行ってきた。昨年は、『ガールズ&パンツァー』に注目し、GWと夏休みに2回と三度も上映会を開催。TVシリーズ全話・OVA・劇場版を1日に一挙上映するという企画を敢行した。昨年末から年明けにかけては、「2016年の締めくくり!年末年始アニメ3本感謝上映!」と題して『映画 けいおん!』、『ガールズ&パンツァー 劇場版』、『この世界の片隅に』を上映。大みそかには『ガールズ&パンツァー』の一挙上映による年越し上映を行った。
上映した作品の人気に加えて、洲本オリオンのファンがいることについて手ごたえがあることを実感し、今回、営業再開に踏み切る。今後はこれまで上映してきた作品のジャンルを広げた映画上映会や音楽イベントを月1のペースで開く劇場として再始動する。まずは、1月15日(日)に震災を知らない世代に防災の重要性を伝えようと淡路島内外のバンド8組が集う「くにうみの島 音楽フェス2017」が開かれる予定。
淡路島出身の筆者は、外国映画を洲本オリオンで鑑賞して育ったものだ。父親にお願いして一緒に鑑賞した『ジュラシック・パーク』が初めて映画館で観た外国映画だ。高校生になって以降は、週末や学校帰りに行ったものだ。次はどんな作品が上映されるかいつも楽しみだった。淡路島を離れて大阪でよく映画を観るようになってからはしばらく訪れていなかったら、休館の知らせを知ったのだった。
昨年、ふとしたきっかけに休館中のオリオンでおもしろいことをやっていることを知った。塚口サンサン劇場のTwitterが、洲本オリオンと『ガルパン』に関するツイートをリツイートしていたことで知ったのだった。それ以来、「島の映画やさん」の活動には注目し続けていた。一個人の活動を契機にして映画館が営業を再開する…豊岡劇場とは違った映画館の復活方法を知った。淡路島の映画文化を絶やさないためにも、無理のない営業が続いてほしいと心から願うばかり。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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