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MOOSIC LAB 2017準グランプリ受賞!『なっちゃんはまだ新宿』大阪単独上映初日トークイベント開催!

2018年3月17日

若手映像作家と音楽アーティストがコラボレーションした映画を対象とする「MOOSIC LAB 2017」で準グランプリ、ベストミュージシャン賞、女優賞を受賞したオリジナル長編映画『なっちゃんはまだ新宿』が3月17日(土)から大阪・十三のシアターセブンで単独公開。公開初日には、首藤凜監督と劇団子供鉅人 座長の益山貴司さんを迎えてトークイベントが開催された。

 

映画『なっちゃんはまだ新宿』は、ごく普通の恋する少女・秋乃と、彼女の嫉妬から生まれた女の子なっちゃんの2人の行き場のない逃避行を、2人組バンド「POLTA」の楽曲にのせて描く。同級生の岡田に恋をしている女子高生の秋乃。しかし、岡田には他校に「なっちゃん」という彼女がおり、岡田が「なっちゃん」のことを話す様子に秋乃は嫉妬を募らせていく。そんなある日、秋乃が自分の部屋のタンスを開けると、そこになっちゃんがいた。それ以来、戸惑う秋乃の前に、なっちゃんは何度も現れて……

 

シアターセブンでの『なっちゃんはまだ新宿』単独公開初日、上映後 に首藤凜監督(以下、首藤監督)と益山貴司さん(以下、益山さん)が登壇。

 

☆作品への感想

益山さん:

最後は『田園に死す』のエンディングのようでビックリしました。
今日は青春18きっぷを使って新宿から4時42分発の始発列車で出発し8時間かけて来た。こんなに手間暇かけて映画を観に来たことがない。道中の伊豆や熱海で海が見えて、主人公達が住んでいるような街を通過してきたのでトリップした気分。映画を観て、自分の旅路が重なって、最後は映画を体験したような感じがします。

 

☆本作の制作経緯について

首藤監督:

私の中になっちゃんのモデルがいる。その女の子に向けて作りたいなと思って作り始めた時、POLTAさんとのコラボが決まり、作品の構想を決めていった。POLTAからは、夢を追うテンプレート的なイメージとは違う、一つのバンドマンのリアルを発見した。23歳の私が30歳のリアルを描けているかわからないが、POLTAを観て影響を受け、応援している。POLTAを映画で撮る時に何が最適か考えた時、良い歳になったが売れたいけど現状売れておらず、平日働きながらバンドを続けているところが良いなと思った。

女の子が好きな人の彼女としてなっちゃんが見えてきてしまう構想があった。私自身は、高校生の話をやったことがなく、今まで作ってきた作品はあまり青春っぽくなかった。洋画の青春映画は好きだが、邦画では暗い作品が多い印象があり、あまり好きじゃない。洋画の気の利いたことを言い合い続けるみたいのが好きでやってみたかった。

 

☆女性の半生を描く脚本について
首藤監督:

ずっと同じヒロインで撮っており、彼女を当て書き部分があり、彼女の素の部分を出していると思う。彼女は芸能活動をしている子ではなく、中高の同級生。今作では、八方美人でバンドのアシスタントをしているタイプとして書いている。

益山さん:

自分が男だから、同性ではイメージが付き過ぎてしまう部分がある。物語になる時は、なんらかのファンタジーであってほしい気持ちが働く。自分のファンタジーを形にする場合は異性かな。自分の中にある女性本能を奮い立たせ、執筆するエンジンがかかる。もしかすると、首藤さんが30歳の人を書く感覚に近い。それが物語性やファンタジーを投下できる才能。どうしても身近なものを書いてしまうので、そうじゃないところにチャレンジするのは勇気が要ること。

首藤監督:

感情移入はするんですか?

益山さん:

女性にはしますよ。自分で殺しておいて、可哀想な気分になりますね。

首藤監督:

私も感情移入しますが、可哀想だなと思うのは達観しているんじゃないですね。

益山さん:

達観というか神目線ですよね。キャラクターを動かしていく形があると思います。自分の中のエピソードを日々の暮らしの中から出していますか?

首藤監督:

人から聞いた話をすぐ使うこともあり、反映することは多いかもしれないですね。

益山さん:

高校生活がリアルな感じがしますが、ご自身もあんな感じですか?

首藤監督:

私は中高大ずっと女子校出身で、しかも東京。田舎の共学は妄想です。憧れもあり、こういうのは楽しそうだなと思って書いていました。

 

☆登場人物の描き方について

首藤監督:

なっちゃんという存在はいるかどうかはわからない。なっちゃんは主人公にとって都合のいいことしか言わない。いないというより何も考えていない存在。思春期は全然違うタイプの他人に自分を見たりすることが私にはあった。他人であり自分でもあるオルターエゴの部分もあるかな。

益山さん:

好きな男の子の彼女で、その当時は見たことがなく、彼女が幻として見えてしまって、嫌いなものと同一視してしまうんですね。怪物が怖いから自分も怪物になることが人間にはある。嫌いなものであるが故に百合の展開として愛してしまう。気持ちの上では共感できつつ、歪んだ耽美さが妖艶な感じがします。自分の中に秘められた可能性を思春期の頃に直視できる人は結果を出せる。直視できなくて妄想するしかない。その中で自我を求めてしまうことがある。

首藤監督:

POLTAの愛ちゃんによるナレーションを入れていて、主人公を見守っているイメージにしています。

益山さん:

劇中に出てくる男は全体的に軽薄ですよね。

首藤監督:

私は男性を掘り下げられていない人間なんですけど…

 

☆キャスティングについて
首藤監督:

私は18歳の頃から大学のサークルで映画を撮っていた。プロを呼ぶ空気ではなく、そこら辺にいる人にお願いして出演してもらっていて、それが好きだった。知人に演技をさせるのが好きだったので、ヒロインを演じた池田さんにずっと出てもらっている。良いなとずっと思っていたので、プロの方を使う発想にならなかった。演出は、細かく言う時もあれば、ざっくりしている時もある。拘りがあるわけでなく、ピンとくればいい。

益山さん:

自分の劇団には弟2人がおり、私は家族を使うのが好きなタイプですね。幼馴染とやられているのは良いなと思いました。幼馴染や家族でしか共有できない空気感があり、言葉に出来ないこと。私の場合、笑いのツボが同じなので話が早い。自分がやりやすい環境で役者さんを選ぶとそうなる。

首藤監督:

普段を知っているから、演技指導もやりやすい。最初に近くに彼女がいた。現在、就職しており、POLTAさんとも通じる。普通の人の愛おしさがある。

 

映画『なっちゃんはまだ新宿』は、3月17日(土)から3月23日(金)まで大阪・十三のシアターセブンで公開。また、5月2日(水)にはDVD発売予定。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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