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役者さんのおかげでここまで来れた…!『寝ても覚めても』東出昌大さんと濱口竜介監督を迎えプレミア上映舞台挨拶開催!

2018年8月22日

柴崎友香さんの同名小説を『ハッピーアワー』の濱口竜介監督が映画化した『寝ても覚めても』が9月1日(土)から公開される。本公開に先駆け、8月22日(水)に大阪・難波のなんばパークスシネマでは東出昌大さんと濱口竜介監督を迎えてプレミア上映舞台挨拶が行われた。

 

映画『寝ても覚めても』は、瓜二つの顔を持つ2人の男の間で揺れ動く女性・朝子の姿を描くラブストーリー。大阪に暮らす21歳の朝子は、麦(ばく)と出会い、運命的な恋に落ちるが、ある日、麦は朝子の前から忽然と姿を消す。2年後、大阪から東京に引っ越した朝子は麦とそっくりな顔の亮平と出会う。麦のことを忘れることができない朝子は亮平を避けようとするが、そんな朝子に亮平は好意を抱く。そして、朝子も戸惑いながらも亮平に惹かれていく…

 

今回、大阪・難波のなんばパークスシネマで上映前に東出昌大さんと濱口竜介監督が登壇。朝ドラ出演の際に大阪に10ヶ月住んでいた東出さんは「大阪に帰ってきました。今年は公開作が続いたので、大阪での舞台挨拶もやらせて頂きましたが、大阪は東京以外で感慨深い土地。今日この場に来れて満員のお客さんに迎えられて大変光栄です」と感謝の気持ちを込めて、挨拶した。神戸に3年程度住み、映画『ハッピーアワー』を撮った濱口監督は「僕も関西に所縁があり、こんなに満員でプレミア上映を迎えられて本当に嬉しく思っております」と素直な気持ちを伝える。

 

大阪での撮影も行われた本作について、東出さんは「物語は大阪から始まる。関西弁の芝居も『ごちそうさん』以来」と感慨深い。これを受け、濱口監督も「柴崎友香さん自身が大阪出身。大阪と馴染みの深い映画」と添える。撮影に入る前には、濱口さん指導による本読みが何度も行われ、東出さんは「熱が出るかと思いました。本読みはクランクイン前に沢山やった。シーンによっては何十回もやるんです」と振り返った。さらに、ニュアンスを抜いた本読みが行われ「他の現場で経験したことがない。否定的な言葉なのにニュアンスを抜いて喋ることは非常に難しい。それでも、関西弁はリズム感あって素敵で温かさもある」とおもしろさを語る。濱口監督は「変なことをやらせてすいません」と謝りながらも「方言指導の村上かずさんに付いて頂いた。的確に適切な一音一音に音程を変え、テープを渡して皆が何度も聞きながらやって頂いた」と振り返った。

 

なお、本作は第71回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品された。東出さんは「カンヌってフランスにあるんだ」と浮かれた時を思い返しながら「誰もカンヌに行ったことないのに『この映画でカンヌに行きたいね』と、草野球チームがメジャーリーグを夢見るように、撮影中に言っていた」と振り返る。でも、不思議と自信があり「その自信は正直、監督の映画愛がとにかく凄いからこそ。この純真無垢な監督の映画愛に掴まって突き進んでいったら、何かしらのことになるんじゃないかと漠然とした希望的観測があった。映画を撮り終わったら、招待して頂いたので、夢みたいなことって叶うんだな」と喜んだ。濱口監督も「驚きましたよ、決まった時は。本当にそんなことがあるのか」と本音を明かしながら「2000人ぐらい収容の劇場で大画面でお客さんと観ていて、スクリーンに映り、ズバ抜けているは役者しかいない。役者さんに連れてきてもらったカンヌである」と賞賛。

 

東出さんは、本作で1人2役を演じたが「今までなかった。プレッシャーはあったが、監督が『演じ分けは考えないでいい』と最初に仰った。今まで2つとして同じ役はやってこなかったように、同時期に偶然にも濱口監督とスタッフと共演者が同じだけど、2つの現場を同時期に経験した感覚に近かった」と振り返る。濱口監督は「麦と亮平の2つの役柄があり、カメラが回っている時は全然違う。カメラが回っていない時も含め、麦を演じている時は麦の雰囲気があり、亮平を演じている時も亮平だ」と解説。醸し出すものが全然違うと感じながら「客観的に判断できないが、映画を観て、きっとそう思って頂ける」と太鼓判を押す。

 

台本を読み、現場も経験し、原作も読んだ東出さんは「こんなに観終わった後に飲み込めない作品は初めてでした。胸の中でズキズキ疼くような凄いものを観た。なんて言ったらいいんだろう」と素直な感想を述べる。完成した作品を2回鑑賞し「2回目には『あ、良い映画だ』と思った。1回目は皆さんの中で怒る人がいれば悲しむ人もいるかもしれない。何かしらの疼くものを持って帰ってくださるんじゃないか。疼きは考えれば答えが出るものじゃなく、それすら娯楽として楽しんで頂ければ」と思いを込めた。これを受け、濱口監督は「本当に役者さんのお陰。東出さんが1人2役で出てくることまで含めて、有り得ないことが沢山ある。現場で観ていても、作品を編集していても、100回ぐらい観ている僕でさえ、役者さん達が掴み取り、お互いに与え合ったものに気づく」と告白する。

 

最後に、濱口監督は「撮っていたのは去年の夏ですが、本当に思い出深い1ヶ月が駆け抜けた。この役者の皆さんと撮らせて頂いて本当に良かった。映画は皆さんに観て頂いて受け取って頂いて完成だと本当に私は思っている。意外と痛かったと思うことがあるかもしれませんが、ぜひ受け取って帰って頂きたい」と感謝の気持ちを込めた。東出さんは「僕は、監督の演出方法が独自で濱口メソッドと呼んでいる。こんなお芝居の仕方や喋り方は今まで見たことがない。お芝居なのか何なのかというニュアンスがある。そういう意味でもストーリー性も全てひっくるめて僕は問題作だと思っています」と評しながら「でも、僕はこの問題作が大好きなので、何かしら観て感じて持って帰って頂けたら幸いです」と思いを込め、舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『寝ても覚めても』は、9月1日(土)より大阪・梅田のテアトル梅田、難波のなんばパークスシネマ、京都のMOVIX京都、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸ほか全国公開。

 

(C)2018 映画「寝ても覚めても」製作委員会/ COMME DES CINEMAS

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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