幼なじみの大親友による友情の危うさを描いた青春映画『HAPPYEND』がいよいよ劇場公開!
©Music Research Club LLC
幼なじみで大親友のふたりの少年が、高校卒業を控えて自分自身と向き合い、徐々に変化していく姿をユーモラスかつシニカルに描く『HAPPYEND』が10月4日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『HAPPYEND』は、ありうるかもしれない未来を舞台に、友情の危うさを独特のサウンドとエモーショナルな映像美で描いた青春映画。XX年後の日本。幼なじみで親友のユウタとコウは、仲間たちと音楽を聴いたり悪ふざけをしたりしながら毎日を過ごしていた。高校3年生のある夜、こっそり忍び込んだ学校で、ユウタはとんでもないイタズラを思いつく。翌日、そのイタズラを発見した校長は激怒し、生徒を監視するAIシステムを学校に導入する騒ぎにまで発展。この出来事をきっかけに、大学進学を控えるコウは自身の将来やアイデンティティーについて深く考えるようになり、今まで通り楽しいことだけをしたいユウタとの間に溝が生じ始める。
本作は、『Ryuichi Sakamoto | Opus』の空音央監督が長編劇映画初メガホンをとり、共にオーディションで抜擢され本作がスクリーンデビューとなる栗原颯人さんと日高由起刀さんが主人公ユウタとコウをそれぞれ演じ、『ロストサマー』の林裕太さん、『サマーフィルムにのって』の祷キララさんが共演。2024年の第81回ベネチア国際映画祭オリゾンティ・コンペティション部門出品作品。
©Music Research Club LLC
映画『HAPPYEND』は、10月4日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のテアトル梅田や難波のなんばパークスシネマ、京都・三条のMOVIX京都、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸等で公開。
新しい才能が世に出ていく瞬間を目にしている時の興奮を感じられる作品だ。
架空の近未来を描いた作品なのに、どこかで見たことのあるような、こんな世界が来ることを知っている気がするような風景。自分たちが生きている世界の延長上にある未来のようなリアリティ。近未来のディテールはどれもユニークで、かつ技術的には現代で既に実現しているものばかりなので違和感がない。街中や学校内に設置されている大型の多目的サイネージなどは、最新IT技術の実証実験を見ているかのようだ。ちなみに、劇中で設置されるAI監視システム「panopty」は、panoptic = ”whole view”(すべてを見通す)という意味に由来する。監視する側の傲慢さがにじみ出たネーミングが、いかにもなディストピアではないか。他にも、相手の気をそらせるための”なんだネコか”装置とでも言うべきガジェットは可笑しかった。
一方で、自分が高校生だった頃の記憶を揺さぶっていく。子供の頃にテレビで見ていたジュブナイルSFのような懐かしさも滲んでいる。少年少女達の感情表現を伴った演技や映し出し方は瑞々しく、一つ一つの場面の切り取り方は美しく、それらが本作における一番の魅力だ。既に上映された映画祭からの絶賛が聞こえており、期待が高まっているが、評判が高いことも頷ける作品である。
fromNZ2.0@エヌゼット
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
- 最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!