日本のビジネスパーソンが雄大な自然の中で“真のカウボーイ”に成長していく姿をコミカルに描く『東京カウボーイ』が第19回大阪アジアン映画祭のクロージング作品として海外初上映!
上昇志向の強い日本人ビジネスマンが、出張先であるアメリカ・モンタナ州の牧場でカウボーイ文化に触れて変わっていく姿を描く『東京カウボーイ』が第19回大阪アジアン映画祭のクロージング作品として海外初上映された。
映画『東京カウボーイ』…
東京でブランドマネージャーとして働くヒデキは、上司でもある婚約者ケイコと新居を探す一方で、経営不振に陥ったモンタナ州の牧場で和牛を飼育して収益改善を図る計画を立ち上げる。ヒデキは神戸牛づくりの名人であるワダをアドバイザーに迎えて現地入りするが、初日からワダがトラブルに見舞われ、説明会や現地視察をヒデキ1人で行うことに。いつものスーツ姿で事業計画をプレゼンするヒデキだったが、祖父の代から牧場を運営するペグから見込みの甘さを指摘されてしまう。牧場の従業員ハビエルやその家族との交流をきっかけにスーツを脱ぎ捨てたヒデキは、文化の違いを越えて土地や仕事を理解することの大切さを学んでいく。
井浦新さんがアメリカ映画で初主演を務め、恋人ケイコを藤谷文子さん、アドバイザーのワダを國村隼さんが演じた。テレビ番組のディレクターやプロデューサーを長年務めてきたマーク・マリオットさんの長編映画初監督作で、キャリア初期に山田洋次監督作の海外現場に参加した際の経験をもとに本作を撮りあげた。
上映前には、井浦新さん、 藤谷文子さん、マーク・マリオット監督、プロデューサーのブリガム・テイラーさん、脚本のデイヴ・ボイルさん、編集の井上ヤスさんが登壇。海外初上映となり、喜びが伝わってくる舞台挨拶が繰り広げられた。
まずは、ブリガム・テイラーさんからは「みなさん、こんばんは。楽しんでください」と御挨拶。続いて、マーク・マリオット監督は「大阪にいること。この映画を皆さんにお見せできることが嬉しいです」と感激。井浦新さんは、映画祭各受賞者へのお祝いの言葉、審査員やスタッフの皆さんへの労いの言葉、お客さんへの感謝の言葉を伝えた上で「アジア・プレミアです。是非楽しんでください」と盛り上げていく。藤谷文子さんは、久しぶりの来阪であることを伝え「大阪アジアン映画祭に来るのは3度目なんです。特に本作は脚本にも携わり、日本とアメリカで作った映画です。特に、今日は日本で皆さんに観てもらえる初めての日なので、楽しんでもらえたらな」と期待。デイヴ・ボイルさんは「初めて日本に来たのは、大阪アジアン映画祭でした。私の中では、日本は大阪です」とお気に入り。井上ヤスさんは「大阪のお客様は日本一厳しい、と聞いています。緊張しています」と正直に話す。
井浦さんについて、マーク・マリオット監督は「本当にお上手です。そして、素晴らしい人物であり、役者としても素晴らしい方です。新さんが持っている資質を役に加えて下さり、嬉しく思っています。映画に参加して下さったことを感謝しております。素晴らしい演技を見せて下さった」と讃えると共に、藤谷さんの演技にも感謝の気持ちを伝えた。
アメリカ映画初主演となった井浦さんは「アメリカ・モンタナ州、イエローストーン国立公園の近くにある小さな町をベースにして、雄大な大自然の中で、1ヶ月程度の撮影が行われました。日本での撮影もありました。毎日、単身で現場へ向かっていったんですが、英語もろくに出来ない自分をアメリカのクルーの皆さんがどう扱えばいいのか」と大変な現場ではあったが「藤谷さんや現地の日本語を勉強しているボランティアスタッフの方、皆が監督・プロデューサーが作るあたたかな座組に吸引され、家族のようなチームになり、皆に支えられ見たことのない大自然の中で撮影が行われ、毎日が刺激的で新しい発見がある撮影でした」と振り返る。日本での撮影については「マーク監督の下では、いつも見る街並みが新しく見えてきた」といった不思議な体験でもあった。
デイヴ・ボイルさんとの共同脚本や製作の立場としても関わった藤谷さんは「共同脚本自体が初めてだった。どうなるかな。喧嘩しちゃうかな」と不安もあったが、制作を進めていく中で「日本とアメリカの文化が混ざっていく瞬間が日々ありました。それが映画に表われている、と思います。今日は皆さんにリラックスして楽しんでもらえたらな」と伝え、舞台挨拶は締め括られた。
映画『東京カウボーイ』は、6月7日(金)より全国の劇場で順次公開。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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