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皆が何かを頑張っていったら、何かバランスが取れるのかな…『ありがとうモンスター』舞台挨拶開催!

2024年3月8日

夢も希望もなく、漫然と生きる二人の売れない劇団員が騒動を巻き起こす『ありがとうモンスター』が3月8日(金)より大阪・難波のなんばパークスシネマで公開。公開初日には、佐藤太一郎さん、都若丸さん、シャックさん、マグナム弾吉さん、かなた狼監督を迎え舞台挨拶が開催された。

 

映画『ありがとうモンスター』…

売れない小劇団員の虫太郎と先輩のジョニー松風は、才能がないにもかかわらず努力することもなく、漫然と日々を過ごしていた。二人はゴミ清掃業のアルバイトをしながら劇団の脇役を務めていたが、ジョニーの身勝手なアドリブに座長が激怒し、退団を余儀なくされる。自分の非を認めず座長を逆恨みするジョニーは、あるとき伝説のダークヒーローの存在を知ったことで、とんでもないアイデアを思いつく。無気力な虫太郎はジョニーに翻弄され、思いも寄らぬ事態に巻き込まれていく。

 

今回、佐藤太一郎さん、都若丸さん、シャックさん、マグナム弾吉さん、かなた狼監督が登壇。現場での大変な日々が伝わってくる舞台挨拶が繰り広げられた。

 

コロナ禍真只中の2021年に撮影された本作。ようやく初日を迎え、佐藤さんは「普段は吉本新喜劇、都若丸さんは大衆演劇の都若丸劇団で、舞台を我々2人主戦場にやらせてもらっている。稽古して、すぐ舞台に出て、そしてお客様の反応を見て、でまたブラッシュアップしていく日々を過ごしているんです。映画は、作品作るのが妊娠、公開するのが出産だとしたら、あまりにも妊娠期間が長いですよね。三年、我々お腹中にずっといる状態、ようやく世に送り出せたな」と感慨深げだ。

 

また、映画と舞台の違いについて、佐藤さんは「映画の場合、完成して観て頂く。だから、お客さんの反応に合わせて何か変えることが出来ない。仕上がったものを観て頂く」と説明。都さんは「普段、舞台では決め顔を当たり前のようにやるんです。映画で絶対そんなことしたらもうアウトなんですね。監督がこうしてほしいっていうものをできるかどうか。良かったらオッケーって言ってくれる。ちゃうな、となった時に『何が違うんやろう?』と何回もやり直している。舞台ではありえない。そういう監督とのやり取りの中でお芝居を本番中にどんどん変えていくところが勉強になりました」と感心していた。

 

 

苦労したシーンについて聞かれ、佐藤さんは「まさしく(ポスターになっている)キスシーンです。お互い、役者人生においてのファーストキスだったんですよ。だから、僕はキスシーンはちょっと憧れがあったんです。こんなんじゃない。こんなおっさん同士のキスシーンだとは思っていなかったんですよ。こんなキスシーンは望んでなかったんですよ」とわ笑わざるを得ない。都さんは「同じシーンで、何テイク撮ったか僕は分からないです。役者として苦しいのもあるんですけど悔しい。負けたらあかんから挑んではいくんです。涙を流すシーンですけど、目の前にはあのガリガリの緑の化け物がいて、そいつを愛さなきゃいけない。うん、圧倒的にちょっと僕にその気持ちはなかった」と苦笑していた。

 

本作の出演にあたり、体重を大幅に減量して臨んだ佐藤さん。その減量方法を問われ「今は64~5 Kg程度なんです。あの時48Kgまで減量しました。撮影が始まる前、監督に『太一郎、どんな役やりたいねん?』と聞かれた時、僕は今の自分を超えたかったので『監督が僕にやらせたいと思う役をやりたいです』と応えたんです。それで、監督から『お前にちょっと病んでる役をやらせたいんだ。お前48Kgまで落とせるか?『と言われた時に、僕の中で選択肢はないわけですよ。3ヶ月間かけて減量したんですね。16,17Kg程度を落とすために、最初は3食の食事を2食に減らし、食事もサラダとチキンだけにしたんです。それでも、60Kg から50Kg台にはなるんです、55Kgを切らない。1日1食にして
いくんですけど、そうすると貧血で倒れそうになるんですね。たまたまお仕事でご一緒させていただいた長谷川穂積さんに『サプリで鉄分と亜鉛を摂取した方が良い』とアドバイスを頂き、サプリを取るようになってから貧血治まったんです。ただ、やっぱりそれでも50Kgを切らないんですよ。これ以上減らない。撮影までの1 週間は1日ウイダーinゼリー1個だけ。肌の艶も悪くしていきたい。無加工であの状態にしている。水分をわざとアルコールだけにしました」と壮絶な日々を振り返る。女性の方に『どうやって減量したんですか?』と聞かれることもあるようだが「絶対お勧めしないです。本当にもう単純に食わないっていう形で三ヶ月間かけて痩せていき、戻すのも三ヶ月かけて戻しました」と力説した。

(減量当時の佐藤さん)

 

減量だけではなく、虫太郎になり切るために、役になりきって生活をして過ごした日々もあり、佐藤さんは「家を離れて撮影現場で寝泊りして減量もしていた。仕事も全部休んで、撮影期間中は、この映画だけに集中してずっとやっていました。撮影が始まる半月前頃からは、電気をつけずに一人でいた。SNS も一切やめて、誰でも接触せずにっていう状況でやっていた。つらいというより、嬉しかったんです。次第に自分じゃなくなっていく。だんだん虫太郎なれている気がしていた。減量より、虫太郎に近づいている感じがしていた。撮影前日頃、監督から『お前、芝居せんでええよ。虫太郎になっているから。お前が喋った言葉は全て虫太郎やから』と言って頂いたのが一番嬉しかった。迷いなく撮影に挑めました」と自信がある。逆に、体重を増やした都さんは「虫太郎は減量しなきゃいけないですけど、ジョニーは太れ、と言われた。通常の体重より10Kg太って演じました。撮影の最中は汗をかくので、痩せたらあかんから、どんどん弁当が出てくるんです。『ずっとずっと食べてください』と言われた。一番辛かったのは、撮影終わって2日後には舞台に復帰したんですけど、その時に女形をしたら、雪見だいふくみたいにまん丸だった。もう都まん丸。あれはね、ちょっと困りましたけどねえ」と苦笑いするしかなかった。

 

最後に、かなた狼監督は、この作品に込めた思いについて「2021 年に撮影をしたんですけども、奇しくも現実が虫太郎が感じているような世界にどんどんなっていった。テレビでも戦争や震災や様々な悲しいことを目にします。その時は心痛めていた。でも、十分後にもなれば、誰かと話して笑ってる自分もいた。ふと我に返った時に『あれ、俺はちょっと頭がおかしいのかな』と。さっき、何百人も空爆で誰かが死んだ、というニュースを聞いたのに、なんで俺は今笑ってんのかな、と。なんで美味しい、美味しいってご飯食べてるのかな、と。魂の置き場がなかなか見つからない。そういうものが根底にあった。何が善なのか、何が悪なのか?何のふりをしてきてんのか?こうだよ、という答えを出したかったわけじゃない。誰の中にもあるんじゃないか、という感覚を描きたかった」と話す。そして「こうやって映画を見れるということも、本当に平和なことだと思う。悲しいこともいっぱいあるんですけど、世界中の全ての人達が下を向いてしまったら、どんどんおかしくなることもある。元気な人は元気で、平和な人は平和なところで何かを頑張っていったら、何かバランスが取れるのかなっていうふうにまあ自問自答してます」と思いを込めて話し、舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『ありがとうモンスター』は、3月8日(金)より3月14日(木)まで大阪・難波のなんばパークスシネマで公開。また、舞台挨拶についても以下の通り連日開催予定。

3月9日(土)14:00~/19:00~の回:佐藤太一郎さん、都若丸さん、かなた狼監督
3月10日(日)14:00〜の回:佐藤太一郎さん、都若丸さん、椿姫ひろ美さん、かなた狼監督
3月10日(日)19:00〜の回:佐藤太一郎さん、都若丸さん、粋坊主さん、純れのんさん、かなた狼監督
3月11日(月)19:00〜の回:佐藤太一郎さん、シャックさん、マグナム弾吉さん、かなた狼監督
3月14日(木)19:00〜の回:佐藤太一郎さん、かなた狼監督

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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