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ザ・スミス解散のニュースにショックを受ける若者達を描いた青春映画『ショップリフターズ・オブ・ザ・ワールド』がいよいよ劇場公開!

2021年11月29日

(C)2020 SOTW Ltd. All rights reserved

 

1987年に起きたザ・スミスを巡る事件に着想を得て、迷える若者たちの一夜を描く『ショップリフターズ・オブ・ザ・ワールド』が12月3日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『ショップリフターズ・オブ・ザ・ワールド』は、1980年代後半のアメリカを舞台に、イギリスのロックバンド「ザ・スミス」の名曲の数々と貴重なインタビュー映像を全編に散りばめながら描いた青春音楽映画。1987年、コロラド州デンバー。スーパーで働くクレオは、大好きな「ザ・スミス」解散のニュースにショックを受け、レコードショップの店員ディーンに「この町の連中に一大事だと分からせたい」と訴える。ディーンはクレオをデートに誘うが、彼女は仲間たちとパーティへ出かけてしまう。1人になったディーンは地元のヘビメタ専門ラジオ局を訪れ、DJに銃を突きつけて「ザ・スミス」の曲を流すよう脅す。一方、クレオと3人の仲間たちはパーティでバカ騒ぎをしながらも、それぞれ悩みを抱えていた。

 

本作は、『WE ARE X』などの音楽ドキュメンタリーで知られるスティーブン・キジャクが監督・脚本を手がけ、長年語り継がれてきた「ザ・スミスファンのラジオ局ジャック事件」に着想を得て描いた。ディーンを『6才のボクが、大人になるまで。』のエラー・コルトレーン、クレオをドラマ「ソーシャルディスタンス」のヘレナ・ハワードが演じた。そのほかエレナ・カンプーリス、ジェームズ・ブルーア、ニック・クラウス、ジョー・マンガニエロらがキャストに名を連ねている。なお本作ではザ・スミスの楽曲20曲以上が使用された。

 

(C)2020 SOTW Ltd. All rights reserved

 

映画『ショップリフターズ・オブ・ザ・ワールド』は、12月3日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマや難波のTOHOシネマズなんば、京都・烏丸の京都シネマ、神戸・三宮の神戸国際松竹等で公開。

1986年9月、イギリスの若者を圧倒させたロックバンド、ザ・スミスが解散した。 ファンにとってその衝撃はひとたまりもなかっただろう。そのうちの一人、主人公クレオはスーパーでの仕事を終え、朝のニュースを観た瞬間に絶叫した。友人の大事な送別会がある日なのに、愛してやまないバンドが解散した。外にまで聞こえるほどの悲鳴が悲壮さを物語る。自分の信じていたモノが突然いなくなる喪失感はどんなものだったか、想像を絶さざるを得ない。クレオが「奇妙な恐怖に陥った」と表現したのが印象的だ。

 

そして、もう一人、同じくバンドの解散を嘆く男性がいた。しかし彼が取った行動はクレオとは逆だ。自分がどれほどザ・スミスを愛しているか証明しようと、銃を片手にラジオ局を訪れる。同時進行で進む送別会では「鏡に映る自分が他人に思えるんだ」と悩む友人や、禁欲する恋人の愚痴を漏らす親友がクレオを慰めていく。友人達の間で交わされる言葉や感情に寄り添うようにザ・スミスの曲が当てられる演出にため息が漏れた。

 

本作のコンセプトにはエモーショナルさが存分に込められている。大好きなバンドが解散した日に、ラジオ局のDJ(メタル好き)を脅し、スタジオをジャックしてアルバムの楽曲を流させた。無謀で、若者らしく愚かだが そのくらい”大好き”だという真っ直ぐさが、なぜだかキラキラ輝いており、羨望の眼差しで観ていく。ディーンがクレオに話す「解散しても彼らのレコードは残る」「曲は永遠だ。誰にも奪えない」というフレーズは、今作が観る者に一番伝えたいことでもある。スティーブン・キジャク監督がザ・スミスへ向けた敬愛の言葉だと思うと、胸がぎゅっと苦しくなる。こんなに愛されているのは、彼らは幸せ者だからこそ。ザ・スミスが再結成することはないだろうが、モリッシーやジョニー・マーをはじめ、現在も積極的に活動している姿を追いかけたい。

from君山

 

活動期間も短く、現在の日本国内では知る人ぞ知る伝説的バンド、ザ・スミス。解散発表当日のファンの苦悩を、実際にあったラジオ局ジャック事件から着想を得て描かれた今作。バンドのインタビューを挟みながら、進むドラマに、ザ‪・‬スミスを知らない人でも楽しめる。

 

名曲『There Is A Light That Never Goes Out』の歌詞をそのまま形にしたような描写も、ファン心をくすぐりながらも、ストーリーとしてどこかせつなく、その儚い様子が、解散当時のファン心理を上手く表現していて、観ているコチラの感情を揺さぶれた!特段、魅入ってしまったのは、ヘビメタラジオDJとの対話シーン、そして感涙必至のラストシーンに、音楽映画の名作『パイレーツロック』『あの頃ペニーレインと』『シングストリート』に通ずるものがあり、音楽映画好きは鑑賞必須!

from関西キネマ倶楽部

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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