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感情には名前がない。観た人の数だけある!『アイスと雨音』松居大悟監督を迎え舞台挨拶開催!

2018年6月9日

演劇を志す若者たちが、現実と虚構の狭間での格闘する様を活写する『アイスと雨音』が6月9日(土)より関西の劇場で再び上映開始。大阪・十三のシアターセブンでは、松居大悟監督を迎えて舞台挨拶が開催された。

 

映画『アイスと雨音』は、現実と虚構、映画と演劇の狭間でもがきながら生きる若者たちの姿を74分ワンカットで描いた意欲作。ある小さな町で舞台が上演されることになり、オーディションで選ばれた6人の少年少女が初舞台に向けて稽古に励んでいた。しかし突然、舞台の中止が告げられてしまう…

 

上映後に松居大悟監督が登壇。今作に関して初の来阪の松居監督は「ようやく大阪に来れました。シアターセブンでの舞台挨拶は初めてですが、距離が凄く近いですね」と朗らかに挨拶する。

 

本作は、Simon Stephensの『MORNING』を昨年3月に日本初上演を松居監督が企画し、役者やスタッフが決まっていたが、1月にプロデューサーに呼び出され撤退しますと宣告されたことがきっかけ。劇場まで抑えた演劇についてそんなことは滅多になく、松居監督は「腹が立ち、気が済まなくて…上演する本多劇場は2週間空いていたので、どうしようか」と憤っていた。当時、MOROHAのアフロさんから「言っているだけでいいの?半年ぐらい経ったら、その感情は次の作品によって消えちゃうけど、それでいいの?」と言われ、作ろうと思っていた舞台が中止になる映画を作ることに。MOROHAも賛同し自主映画として企画し、オーディションを募りプレスリリースを出すと、VAPが関心を持ち出資して頂いた。脚本を組み立てながら「『MORNING』は大切なものを失いながら、何が出来るんだと叫ぶ物語。舞台がなくなってしまった僕の感情とシンクロした。この舞台の戯曲を使いながら作り直そう」と決意する。

 

1シーン1カット74分の本作について、松居監督は「演劇が止まらないように、自然に1カットでやるべき。他の1カット作品のようにしないためにも、1ヶ月間の話にしようと思った。演劇で用いる手法は映画でも出来る」と確信。撮影は2日間で行い、何度も撮れない。どうしようもない時は除き、最後まで撮ろうとルールを決める。1日に2回しか撮れない環境下で2日間最後のテイク4が本作になった。撮影前のオーディションでは400名程度の応募があったが「決め手は、おもしろいことをやってくれそうか。上手さは興味ない。演技経験者の量と熱意のバランスが整った」と満足している。2週間で準備し、1週間は稽古場でリハーサル、その後に導線やスタッフの配置をおこなったが「人通りの量に違いがあったり雨が降ったり。外に出るとドキドキします」と思い返す。役者の演出については「何も言わない。役者に任せるが、変える時もあり、役者に考えさせる。このメンバーだからこの作品になったことを大事にしたい」と述べ「決めたり固めたりするべきではない。メンバーが存在することで生まれる空気や感情が混在しているのが好き」だと、最終的に役者を信じ委ねている。なお、作品内ではMOROHAの楽曲が印象的に用いられ、劇中にも効果的にMOROHAが登場していく。あくまでミュージシャンであるが「今作では舞台装置のような存在。魂込めて演じてもらった。ギターとマイクがあれば、どこでもできる」と太鼓判を押す。

 

松居監督は、リアルに対しての工夫やこだわりについて「本作での本人役に対し、虚構より説得力のあるものになるようにやっている。ドキュメンタリーの力は強過ぎるので、虚構が敵う方法はないか」と模索し続てきた。映画には言語化されていない感情があると捉え「笑いや感動、安心等ではない。感情には名前がない。観た人の数だけある」といつも意識している。今作においても「言葉に出来ない。聞こえてくる声などあるが、最後はボロボロ泣いた。自分の中ではOKだった」と撮影から1年以上を経て、振り返った。

 

映画『アイスと雨音』は、6月9日(土)より大阪・十三のシアターセブン、神戸・元町の元町映画館で上映中。また、京都・烏丸の京都シネマでも6月23日(土)より上映予定。なお、松居大悟監督の新作『君が君で君だ』は7月7日(土)より全国公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する
映画好き。映画ライター講座を受講し
関西の映画情報サイトを中心に執筆

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