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コルビンさんが戦争の現場から伝えていった意義は大いにある…『プライベート・ウォー』玉本英子さんと中村一成さんを迎えトークショー開催!

2019年9月14日

黒い眼帯がトレードマークの伝説の女性戦場記者、メリー・コルヴィンの半生を描いた伝記映画『プライベート・ウォー』が9月13日(金)より全国の劇場で公開中。9月14日(土)には、大阪・心斎橋のシネマート心斎橋で玉本英子さんと中村一成さんによるスペシャルトークショーが開催された。

 

映画『プライベート・ウォー』は、レバノン内戦や湾岸戦争など世界中の戦地を取材した実在の女性記者メリー・コルビンの半生を映画化。イギリスのサンデー・タイムズ紙の戦争特派員として活躍するアメリカ人ジャーナリスト、メリー・コルビンは、2001年のスリランカ内戦取材中に銃撃戦に巻き込まれて、左目を失明してしまう。黒い眼帯を着用し、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しみながらも、人びとの関心を世界の紛争地域に向けたいという彼女の思いは強まっていく。2012年、シリアの過酷な状況下にいる市民の現状を全世界に伝えるため、砲弾の音が鳴り響く中での過酷なライブ中継がスタートする…
『ゴーン・ガール」のロザムンド・パイクがコルビン役を演じ、ジェイミー・ドーナン、トム・ホランダー、スタンリー・トゥッチらが脇を固める。『カルテル・ランド』『』など骨太なドキュメンタリーを手がけてきたマシュー・ハイネマンの初劇映画監督作品となった。

 

上映後、玉本英子さんと中村一成さんが登壇。アジアプレス記者の玉本英子さんは、これまでイラク、シリアなどの紛争地域を取材してきており、紛争地域を舞台にしたドキュメンタリーが公開された際には、貴重な過去の戦闘地取材映像を用いて興味深いトークショーを展開してきた。ジャーナリストの中村一成さんは、パレスチナ、在日朝鮮人などの問題に取り組んでおり、幅広く活動している。今回、2人が嘗ての経験から現場で見えてきたもの等について語っていく。

 

本作を観た中村さんは、自身の来歴を振り返るような気分になり「一気に惹き込まれてしまいました。最後には現在の状況が伝えられ、2時間近くの映画では終わらない構成にハッとしました」と告白。コルビンさんの活動について「端的に言えば、彼女は遠い出来事をに近くにしようとした。他者の痛みに対する想像力を知らせることによって喚起しようと一生懸命にやっていた。それに世界はどれだけ応えられているか」と訴えた。さらに「彼女が云う『人間の想像力を信じて、書いた記事を読むことで変化が起きると信じること』が難しい時代になってきている。それでも言葉を紡いでいくしかない」と自身の考えを伝えていく。玉本さんは「取材は一人ではなく、通訳や運転手、地元の様々な人の協力で行っている。彼らを危険な目に遭遇させてしまった」と自身に置き換えても辛かったことを語った。

 

ここで、玉本さんは、かつてTVで放送された取材時の映像をスクリーンに映し、シリアでの攻撃真っ最中の最前線を伝えていく。フリーランスの記者である玉本さんは、取材を自ら企画し場所を決めて取材費を捻出し、現地へ一人で向かっている。現場では、小型のビデオカメラで撮影してインターネットで送ったり、ノートPCからSkypeで生放送したりしながら取材をしてきた。安全状況は十分に気をつけており「我々は戻ってきて伝えてこそ意義がある」と説く。国際ジャーナリスト連盟が開催している危険地帯取材講座で勉強し、訓練を受けているが「訓練を受けても、その後に武装勢力に殺害されたカメラマンがいた。さらに勉強が必要だが、それだけで100%大丈夫ではない現実があります」と物語った。中村さんの場合は、同様の講座を受講したことがなく「パレスチナに2002年に行く時、死んだ時に遺体を運ぶのにお金が必要だから高額な保険に入らされた」と明かすと、玉本さんは「保険に入れたことは素晴らしい。会社が入れてくれたんですよね」とフォローしていく。コルビンさんの場合、サンデー・タイムズ紙の記者だったため「あくまで彼女は会社員。フリーランスと違い、会社から予算が出て企画を立てて現地に向かう。日本では、会社から危険地帯に向かうことは難しいので、フリーランスが現場に向かう」と、メディアの取り組み方に関する国柄の違いを明らかにした。コルビンさんは、2001年のスリランカ内戦取材中に銃撃戦に巻き込まれ、左目を失明してしまう。コルビンの行動について判断し難がったが「あそこで立ち上がって『私は記者です』と伝えることで、アメリカ人の彼女は助けてもらえるというおごりがあったからかもしれない。だが、記者だと伝えなかったら、敵として殺された可能性がある」と解説する。

 

トルコ南東部にいるクルド人の問題に関心を持った玉本さんは現地に通っており、中東地域での取材が多かった。現状は全く変わってないと感じており「日本からの関心がおさまってしまうと発表する場さえ無くなり、皆さんに届けられない。現状は厳しいので、伝えていくには行く必要がある」と意義を語る。中村さんは「今でも、知ることは状況を動かさない。SNSの時代となり発信されているのに状況が動かない。今だって爆弾が落ちている。ジャーナリズムに何が出来るのか」と憤っていた。玉本さんは「メディアによる発信がなければ人々の関心もゼロになってしまう。現地で少しでも見てきた自分としては知ってもらいたい」と、伝えたい気持ちがあり「現場に行って見えてくることが大きい。戦争の実像を伝えることは非常に必要なこと。伝え続けることが大事」だと訴える。

 

最後に、玉本さんは「彼女が伝えたかったことがあります。シリアでレポートした意義は大きい。シリアは市民記者が多いですが、それとは違う大きな意味があると思っているので、彼女は頑張った人なんだなと思います」と述べ、トークショーは締め括られた。

 

映画『プライベート・ウォー』は、大阪・梅田の大阪ステーションシティシネマ、大阪・心斎橋のシネマート心斎橋をはじめ、全国の劇場で公開中。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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