少年時代に花火遊びでアパートを全焼させたことによって人生が変わり、過去にとらわれたままの大人を描く『mentor』がいよいよ劇場公開!
©2026「mentor」製作委員会
幼少期、火遊びでアパートを全焼させた過去を持つ青年たちが、対照的な態度で生きる中、その火事で妻子を失い火傷を負った男性が再び彼らの前に現れ、その再会が3人の人生を大きく変えていく様を描く『mentor』が10月16日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『mentor』は、過去に囚われたまま大人になった2人の青年と、彼らの運命を狂わせていく”メンター(助言者)”の存在を描いた人間ドラマ。ある日、龍之介と拓海という2人の少年の無邪気な花火遊びが、アパート火災を引き起こした。アパートは全焼し、巻き込まれた住人の埜本は妻子を失い自身も全身に火傷を負った。その日を境に、龍之介と拓海の時間は止まってしまう。15年後、龍之介は罪の意識に蓋をし、アーチェリーのオリンピック日本代表候補として前に進もうとしていた。その一方で、拓海は罪の記憶から抜け出せず、陰鬱な日々を過ごしていた。そんな2人の前に、埜本が突然姿を現す。2人に恨みの言葉をぶつけることもなく優しく接する埜本に、龍之介はどこか違和感を抱き、拓海は救いの光を見いだす。やがて埜本は、拓海にとって心の拠りどころとなるメンターのような存在となっていく。
本作は、『ミッシング』『空白』『ヒメアノ~ル』の吉田恵輔さんが監督・脚本を手がけ、『ヤクザと家族 The Family』『月』などの磯村勇斗さんが龍之介役、アイドルグループのAぇ! groupのメンバーで本作が個人として初の映画主演となる末澤誠也さんが拓海役で主演を務め、物語の鍵を握るメンターの埜本役で綾野剛さんが共演した。

©2026「mentor」製作委員会
映画『mentor』は、10月16日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田や大阪ステーションシティシネマや難波のTOHOシネマズなんば、京都・二条のTOHOシネマズ二条や三条のMOVIX京都や九条のT・ジョイ京都、神戸・三宮のOSシネマズミント神戸やシネ・リーブル神戸等で公開。
吉田恵輔監督の前作である『四月の余白』の舞台挨拶を取材した際、「今年、『mentor』という作品があるんですけど、これが兄弟作のような。ココから派生した発生した『mentor』があるので、書いているとずっと続いていく感じはありますね」と述べた。『四月の余白』は、かつては加害者側であった主人公が更生し、新たな加害者を生み出さないように取り組んでいくが、過去が現実を引き摺り、思うようにいかない姿を描き出した作品だ。そして、今作において、幼い頃に加害者になってしまった者達が成長して大人にあり、改めて現実と対峙し変化していく姿を描いていく。磯村勇斗さんが演じる龍之介は、過去の出来事を反省した上で、ポジティブに生きていた。一方、末澤誠也さんが演じる拓海は、いつまでも罪の意識を引き摺ってしまい、ネガティブに日々を過ごすだけだ。1つの出来事に対する向き合い方について、こんな風にも対照的に描いていく視点は実に興味深い。この2人の物語だけでも成立しそうだ。だが、そんな2人が出会うことになるのが、綾野剛さんが演じる埜本である。彼は、出来事の被害者であり、心身共に多大な被害を受けていた。最も過去を引き摺りそうな人間であるが、穏やかそうに日々を過ごしているのだ。その穏やかさが翻って恐ろしさを感じさせる。これは、綾野剛さんによる演技力だからこそ発揮できるのだろうか。まさに不穏な人間と再会するのだが、それが2人にどのような影響を与えていくのか、を注意深く観てほしい。ポジティブに生きるように懸命に生きてきた龍之介にどのような歪みを起こしていくのか。ネガティブの塊だった拓海が、埜本の生き方に感化されてどのような変化を起こしていくのか。そして、2人を前にした埜本の深層心理には何が生じていくのか。穏やかな作品には絶対にしないであろう吉田恵輔監督は、どのようなストーリーテリングを展開していくのか、期待せずにはいられない作品になっている。この物語の行く末に光があるのか、闇しかないのか。これまでのフィルモグラフィを踏まえた上でも只事ではない作品をじっくりと鑑賞してほしい限りだ。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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