東京大空襲で記憶を失った女性の終末を描く『八月の杜』がいよいよ劇場公開!
©2026Hideko Takeshima
幼い頃に空襲に遭い空襲以前の記憶を失うも、毎年、春季慰霊大法要をたよりに育った家や両親の名を探し求め続けている女性が、人生の晩年にさしかかり、尚も失った記憶を取り戻そうとする姿を描く『八月の杜』が8月22日(土)より全国の劇場で公開される。
映画『八月の杜』は、1945年の東京大空襲で記憶を失い、自分が何者かもわからぬまま戦後を生き抜いてきた女性が、人生の終末に失われた記憶と向き合う姿を描くヒューマンドラマ。幼い頃の空襲で両親の記憶を失った中原文(ふみ)は、親に名を呼ばれる温もりも知らぬまま、戦後を必死に生き抜いてきた。死期を間近にしながらも慰霊大法要に通い、断片的な記憶を頼りに、生まれ育った家や両親の名を探し続けている。そんな彼女は長期滞在先のホテルで、経営難から立ち退きを迫られる若き経営者の田島佳奈と出会う。それぞれに痛みを抱えた2人はやがて心を通わせ、止まっていた時間が静かに動き始める。
本作では、烏丸せつこさんが主演を務め、CMやPV、短編映画などを手がけてきた映像ディレクターの岩本崇穂さんが長編劇映画初監督に挑んだ。佳奈役の菜葉菜さんのほか、上村侑さん、坂巻有紗さん、とろサーモンの村田秀亮さん、白川和子さんが脇を固める。製作・原案・脚本は、長年小学校教員として子どもたちと向き合った経験をもとに、歴史や生活に根ざした物語を紡いできた竹島秀子さんが担当した。

©2026Hideko Takeshima
映画『八月の杜』は、8月22日(土)より全国の劇場で公開。関西では、9月25日(金)より京都・烏丸御池のアップリンク京都、9月26日(土)より大阪・十三の第七藝術劇場で公開。
1945年3月10日未明にアメリカ軍が東京の下町を中心に行った大規模な都市無差別爆撃、である東京大空襲。当時、日本各地で大規模な空襲を受けていたが、東京大空襲は、様々な書物や映像などでも伝えられてきた。本作においては、幼い頃に東京大空襲を経験し、両親の記憶を失ったことから、断片的な記憶を頼りに、生まれ育った家や両親の名を探し続けている女性を映し出していく。そんな彼女に寄り添っていくのが、長期滞在先であるホテルの経営者と家族やスタッフだ。当初は、あくまでも長期滞在をしている1人のお客さんとして接していたが、良からぬ者の接近により、怪訝な姿勢になってしまうこともあったが、彼女の真摯な想いに向き合っていく姿には、考えさせられるものがある。近年のTVドラマや映画作品においては、戦争孤児に目を向けられた内容を見かけるようになり、正確な数を把握できていなかった中で、劇中の彼女も当時は大変な思いをしていたんだろうなぁ、と自然と思わずにはいられない。だからこそ、激動の時代を経て老後を迎えた今だからこそ、幼い頃の記憶についても、生前整理をしっかりとしておきたい、と考えるのではないだろうか。そんな彼女の思いに寄り添っていく真摯な作品である、と受けとめている。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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