ろう者の女性が抱える“疎外感”を描いた『幸せの、忘れもの。』がいよいよ劇場公開!
©2025. Distinto Films SLU, Nexus Creafilms SL, A Contracorriente Films SL, Diverso Films AIE
静かに暮らすろう者の女性が、聴こえない世界とその外側で幸せを見つけようとする姿を描く『幸せの、忘れもの。』が5月1日(金)より全国の劇場で公開される。
映画『幸せの、忘れもの。』は、聴こえない世界に生きる女性とその家族の物語を繊細な筆致で描いたスペイン映画。ろう者のアンヘラと彼女に優しく寄り添う夫エクトルは、手話というかけがえのない言葉で心を通わせている。陶芸工房で働くアンヘラは、心地よい土の匂いと気を許せる仲間たちに囲まれながら、静かで平穏な日々を過ごしていた。しかし、ある“幸せな出来事”をきっかけに、彼女の日常は少しずつ壊れはじめる。疎外感に揺れながら、聴こえない世界とその外側で見え隠れする“本当の幸せ”をつかまえようとするアンヘラだったが…
本作は、劇作家・社会学者としても活動する新鋭エバ・リベルタ監督が、2021年に手がけ高く評価された短編映画『Sorda』を元に制作。ろう者の俳優でリベルタ監督の実妹であるミリアム・ガルロを主演に迎え、監督と妹自身の長年の実体験を反映させながら、ろう者と聴者とのわずかなすれ違いや、それぞれが抱く異なる疎外感を映し出す。2025年の第75回ベルリン国際映画祭にてパノラマ部門の観客賞とアート・シネマ賞、第28回スペインマラガ映画祭にて”金のビスナガ(最優秀作品賞)”および観客賞・主演女優賞・主演男優賞等を受賞した。

©2025. Distinto Films SLU, Nexus Creafilms SL, A Contracorriente Films SL, Diverso Films AIE
映画『幸せの、忘れもの。』は、5月1日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のテアトル梅田や京都・烏丸御池のアップリンク京都や兵庫・神戸のシネ・リーブル神戸で公開。
ろう者のアンヘラと聴者のエクトル。互いが互いを理解しあう素敵な夫婦。アンヘラは仕事場の陶芸工房で聴者と仕事をしている。視覚と触覚を駆使して対等に仕事をしているし、周辺にはろう者の仲間も多く存在し平穏に幸せに暮らしている。しかし、そんな幸せの過程で妊娠し、出産を目の前に不安がもたげてくる。平穏だった毎日、クリアだった世界が徐々に遠ざかっていく。エバ・リベルタ監督の長編デビュー作である本作は、実の妹で、この映画の主演を務めるミリアム・ガルロとの対話をきっかけに制作された短編映画をもとに制作された。
周りが子育てに協力的になればなるほど、アンヘラは世界から隔絶されたように思えてしまう。それは一見仕方のないことのように見えるが、アンヘラの不安な気持をないがしろにしていいはずがない。今まで上手く機能していたエクトルとの関係まで徐々に歪みをみせるが、これはろう者と聴者だけでなく、どのような夫婦の間でも抱える不和がさらに大きくなっているように感じる。どれだけ言葉を尽くしても、得体のしれない子供という初めての存在を前に、誰しもが視野が狭くなり、協力し支えあわなければいけないお互いに余裕がなくなっていく。どうしようもなく難しいと思うが、子供を中心にしながら何とかお互いの心を見失わないようにしたいものだ。様々な見どころがある作品だが、壮絶な出産シーンと、結末に向かう演出の巧みさに注目してほしい。
fromブライトマン
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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