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家業の銭湯を継いだ女性が突然失踪した夫を探しつつ、謎の男と奇妙な共同生活を送る『アンダーカレント』がいよいよ劇場公開!

2023年10月3日

©豊田徹也/講談社 ©2023「アンダーカレント」製作委員会

 

失踪した夫と、家業を再開させた妻、住みこみで働く謎の男の心の内を描き出す『アンダーカレント』が10月6日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『アンダーカレント』…

かなえは家業の銭湯を継ぎ、夫の悟とともに幸せな日々を送っていた。ところがある日、悟が突然失踪してしまう。かなえは途方に暮れながらも、一時休業していた銭湯の営業をどうにか再開させる。数日後、堀と名乗る謎の男が銭湯組合の紹介を通じて現れ、ある手違いから住み込みで働くことに。かなえは友人に紹介された胡散臭い探偵の山崎とともに悟の行方を捜しながら、堀との奇妙な共同生活の中で穏やかな日常を取り戻していくが…

 

本作では、『愛がなんだ』『街の上で』の今泉力哉監督が真木よう子さんと初タッグを組み、フランスを中心に海外でも人気を誇る豊田徹也さんの長編コミック「アンダーカレント」を実写映画化。謎な男である堀を井浦新さん、探偵の山崎をリリー・フランキーさん、失踪した夫の悟を永山瑛太さんが演じる。『愛がなんだ』の澤井香織さんが今泉監督とともに脚本を手がけた。

 

©豊田徹也/講談社 ©2023「アンダーカレント」製作委員会

 

映画『アンダーカレント』は、10月6日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田の T・ジョイ梅田や難波のなんばパークスシネマ、京都・九条のT・ジョイ京都や烏丸御池のアップリンク京都、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸等で公開。

『アンダーカレント』を見ながら、ずっと自分の中でさまざまな感情がぐるぐると巡っていた。切なさと優しさが同時にやってくるような感覚。分かったような気もするし、分からなかったような気もする。言葉にできないような機微を今泉力哉監督は見事に捉えていた。しかも、かつてないほど繊細に。

 

今作に登場する人々は、誰もが奥底に秘めた弱さを上手に隠して生きていて、もはや隠していたことを忘れてしまっている。自分のことすら曖昧で分からないという状態なのに、隣にいる誰かのことはもっとよく分からない。突然消えた夫のこと、主人公が営む銭湯で働きたいとやってきた男のこと、自分自身のこと。世界には人の数だけ「分からない」が存在している。そして、物語は底が見えない水中を深く潜るように心の暗流を見つめていく。分からないことはどこまでも分からない。それでも、分かり合おうとする瞬間がある。断絶と相互理解のコントラストが心を掴んで離さなかった。

 

また、撮影の美しさも印象に残る。自然光を活かした照明や水をイメージさせるような青いトーンによって、懐かしさと寂しさが映像から匂い立つ。これまでの今泉力哉監督作品の中でもトップクラスに美しいのではないかと思った。優しくも不穏さがある細野晴臣の劇伴も素晴らしい。そして、役者陣の繊細な演技と存在感。どの登場人物たちにも不器用さと温もりが感じられ、観客の繊細な部分に優しく触れていく。

 

分からないことや曖昧さを愛するのはなかなか難しい。でも、人との関わりによって少しは心が軽くなるかもしれない。誰かに思いを馳せてみたくなる映画だ。

fromマリオン

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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