見えない力や見えない才能の思いを受け取ってくれたら…『スイート・マイホーム』齊藤工監督を迎え大阪先行上映会開催!
極寒の地で地下暖房設備の整った一軒家を手に入れた一家が、身の毛もよだつ恐怖に襲われる様子を描く『スイート・マイホーム』が9月1日(金)より全国の劇場で公開。8月25日(金)には、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田に齊藤工監督を迎え、大阪先行上映会が開催された。
映画『スイート・マイホーム』…
スポーツインストラクターの清沢賢二は、愛する妻と幼い娘のために念願の一軒家を購入する。地下の巨大な暖房設備により、家全体を温めるその家は、「まほうの家」の呼び名の通り、冬は寒冷な長野県では理想的な物件だった。マイホームでの幸せな生活をスタートさせた清沢一家だったが、その幸せはある不可解な出来事をきっかけに恐怖へと転じていく。
本作では、「齊藤工」名義で監督やプロデューサーとしても活躍する斎藤工さんがメガホンを取り、2018年に第13回小説現代長編新人賞を受賞した神津凛子さんのホラーサスペンス小説「スイート・マイホーム」を映画化。窪田正孝さんが主人公の清沢賢二を演じるほか、蓮佛美沙子さん、奈緒さん、窪塚洋介さん、中島歩さん、里々佳さん、松角洋平さん、根岸季衣さんらが顔をそろえる。
今回、上映前に登壇した齊藤監督は「コロナ前は映画が生まれると東名阪にこうやってお邪魔することが常だったが、いつの日からかなかなか来るのが難しくなったこともあったので、久々に、しかも監督作品を持って大阪に来れたことがとても幸せです」とご挨拶。完成披露試写会を除いては国内最速となった今回の大阪の先行上映会について「作品に勢いをくれる、追い風のように応援してくれる関西のエネルギーを今までたくさん頂いていたので本当に心強いです」と感謝を述べた。
当日は早朝のABCテレビ「おはよう朝日です」への生出演に始まり多くの番組の生出演、収録をしたことについて聞かれ「ツカミはないのか?みたいな空気が耐えられないとこはありますよね…」と話し「で、オチは?と求められていることを肌で感じるときに背筋が凍る思いがしました(笑)当たり前にスタッフの方も含めて皆さんの会話がしっかりオチに向かうことが素晴らしいです」と関西人の話術に感心していた。
2019年の冬に原作の映画化のオファーを受け「目を覆いたくなる描写が多い、容赦のない原作で、自分には難しいのではないかという思いがありました。しかしコロナ禍に入り、ステイホームという期間に聖域である“自宅”という場所が人によっては逃れられない環境であるということを報道などで知り、改めて“自宅”について向き合わされました。そんなタイミングで今回のお話を頂いていることはもしかしたら必然なんじゃないかという思いに変わっていき、お話を引き受けるに至りました」と振り返る。
主演の窪田正孝さんについて「原作を読んでいる時から、自分の中での主人公のイメージが窪田さん的な人物でした。実は原作の神津先生も窪田さんの大ファンで、窪田さんを主人公のモデルにした作品が他にあるようで驚きました」と語り、撮影に関しては「全て理解した状態でそこに佇んでいてくれて、むしろ僕の“こうしてほしい”の1.5倍くらいの表現を常にしてくださっていたので言うことがなかったです」と絶賛。
現場の雰囲気について「小さなお子さんが撮影に参加していたので繊細な現場の作り方を意識していました。寝かしつけるとか無理やり起こすとかを大人の都合でするのはやめようと。初日に子役の子が寝るシーンで本当に眠ってしまい、起こすのもしのびないので、そのまま大人たちも休憩時間にしたり、作風とは裏腹に非常に保育園感のある現場になりました」とホラー作品とは思えない和やかな撮影現場を振り返り「お子さんたちの純然たる目線は真実を見抜きますから、ちゃんと心を通わさなければ親子に見えないと今回改めて思いました。窪田さんも蓮佛(美沙子)さんも空き時間に本当に親子のような距離感で接してくれていたので助かりました」と両親役の二人へ感謝を述べた。
また子役の磯村アメリさんについて「彼女は本当にプロフェッショナルで、現場でもスタッフ達にあだ名をつけたり、俳優部とスタッフのブリッジになってくれました。自分より小さいお子さんたちの面倒も見てたりして、彼女がこの作品の現場の母性みたいなものを担っていましたね」と女優として恐ろしささえ感じると感服。
制作にあたって「自分が関わる日本の映像の現場は、予算でまず先に削られるのが食べるもの。僕は食べるものと体のコンディションとクリエイティブは直線で繋がっていると考えていて。コロナ禍になってから腸活とか菌活を日々しているんですけど、偶然、窪田さんや窪塚(洋介)さんもそういう意識の高い方たちで、この現場中はオーガニックなお弁当を差し入れたり、なるべくお味噌汁や納豆をお弁当に添えるなど、みんなの腸内環境をより良い状態にすることを心がけました。それが作品の仕上がりに繋がるということが今回、実証された気がします。日本は発酵の楽園なので、今回の試みが今後のモデルケースになったらいいなと思っています」と語った。
また海外の映画祭でも上映された本作。現地での反響について「思わぬところで大爆笑や悲鳴が起こったり、アトラクションのような感覚で受け止めてくださっていました。僕が俳優であることを認識していない方が多いので純粋に作品として見てくださって、上海、NYからこの映画のリアクションを僕自身が受け止めることができて良かったです」と振り返る。
最後に「“家の中で”何が起こるかを“映画館という館の中で”皆さんに体験してもらうべく作った作品なので楽しんでいただければと思います。今の映画業界、アメリカのストもありますが時代の変わり目にあると思います。この作品はキャスト、スタッフがコロナ禍でどうなるか先が見えない中でしっかりと現場を守りながら撮影をさせてくれました。彼らの汗はこの作品の中に滲み出ていると思います。そんな見えない力や見えない才能の思いを皆さんが受け取ってくださることが最大の僕らの報いではありますので、ぜひ楽しんでください」と作品と映画業界への思いを語り「ここにいる皆さんが最大の宣伝部です。良いと思ったら拡散していただいて、この作品に限らず今、公開されている映画を劇場で観るということをしていただけたら嬉しいです。また映画館にいらしてください」と大阪の観客へ熱いメッセージを届け、舞台挨拶は締め括られた。
映画『スイート・マイホーム』は、9月1日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のTOHOシネマズ梅田や難波のTOHOシネマズなんば、京都・二条のTOHOシネマズ二条や九条のT・ジョイ京都、神戸・三宮のOSシネマズミント神戸等で公開。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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