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新陳代謝している浅草で探偵モノをやってみたらマッチしておもしろい…『エスパーX探偵社 ~さよならのさがしもの~』木場明義監督に聞く!

2023年7月7日

©️2023 イマズマ社

 

浅草を舞台に、ある超能力を持った探偵が、超能力がらみの依頼を受けたことがきっかけで、刑事と反発しながらも捜査を進めていく『エスパーX探偵社 ~さよならのさがしもの~』が大阪・十三のシアターセブンでも7月8日(土)より公開。今回、木場明義監督にインタビューを行った。

 

映画『エスパーX探偵社 ~さよならのさがしもの~』は、『つむぎのラジオ』『サイキッカーZ』等のインディーズ作品を手がける木場明義監督が、東京の下町・浅草を舞台に、超能力を持つ探偵が事件解決のために刑事とともに奔走する姿を描いた新感覚の探偵映画。「殴られると、相手の感情がわかる」という超能力をもった探偵の松田聖人は、ある女性から「悪意をもった超能力グループの仲間になってしまった妹を連れ戻してほしい」という依頼を受ける。調査を進める松田は、その超能力グループが絡む犯罪を捜査している刑事の南野と出会う。当初こそ反発しあっていた松田と南野だったが、同じ事件を追ううちに絆を深めていく。しかし、南野にはある秘密があった。主演は、劇団「おぼんろ」を主宰し、舞台の脚本や演出も手がけるなど幅広く活躍する末原拓馬さんが務めた。

 

10年近く前に本作のベースとなる脚本を書いていた木場監督。役に立たない超能力達が集まって皆で事件を解決して人助けしよう、という内容だったが、企画自体は実現せず。その後、『サイキッカーZ』を制作し「超能力を題材にした作品をもう少し広げていきたいな。そして過去に書いた探偵が登場する作品にしたいな」と構想。そこで2つの要素を組み合わせ、本作の制作に至った。『探偵物語』が大好きで影響を受けており「探偵モノは、ハードボイルドであってもアクションであっても、物語のベースはミステリー」と考察。とはいえ、ミステリーの作り方は暗中模索状態ながらも、試行錯誤しながら書き上げた。なお、本作の中盤では、大きくストーリーがツイストしていくが自身では意識せず書いている。

 

キャスティングにあたり、主演の末原さんは、以前に知り合いの結婚式で偶々知り合ったことがあり、舞台で頑張っている方で気になっていた。「彼は、格好良過ぎず探偵にピッタリな方。松田優作の影響が大きく、細身で独特な雰囲気がある」とオファーしている。他のキャスティングに関しては、キャスティング会社を通じたオーディションを行った。なお、新日本プロレスの田口隆祐さんやでんぱ組.incの鹿目凛さんは事務所から紹介頂いている。各々のキャラクターを立たせたかったこともあり「キャラクターの雰囲気を優先させて決めさせて頂いた。ヤンキー役の2人は、役の雰囲気にピッタリだった。秋月三佳さんが着たロリータファッションは、違和感も持たせたかったが意外と自然に収まっていて良かった」と満足できた。

 

ロケーションに関しては「自分の好きな街で撮りたいな」と希望しており、いくらか候補を挙げた中で「浅草は、街並みとしておもしろい。古い街だけど再開発によって綺麗になっていくことが繰り返されている。古いものがあったり、新しいお店が流行ったりして、若者も来ているし、地元の方もずっといる。新陳代謝していく様子がおもしろい」と気に入った。「街並みが好きですね。変化していく中で街を歩いていると良い雰囲気がある。探偵モノをやってみたらマッチしておもしろい」と興味津々になり、浅草で撮影することに。商店街が中心にある街であり「本当はもっと有名な街並みの中で撮りたかった。だが、人が多いので、許可が撮れず」と希望通りにはならなかったが「雰囲気が良い周辺エリアで撮らせてもらった」と感謝している。浅草に拘ったことでロケ地を探すのは大変だったが「1ヶ所で撮るので、次の現場にスッと歩いて移動できる。1日に沢山のシーンを撮らないといけない日は、スムーズに撮影出来て良かった」と安堵した。8日間の撮影でハードスケジュールではあったが「初日から6日間は天候が良かった。残り2日が雨予報で、6日目に翌日分もギュッと大急ぎで撮った」と振り返る。

 

ポストプロダクションの段階となり、木場さん自身が編集も行っているが「これで大丈夫だろうか。『脚本がおもしろい』と言って頂いたものの、謎解きに対する答えについて、お客さんはどう感じるだろうか、ずっと不安でした」と吐露。「初号試写でも不安で恐怖で見られなかった。『大丈夫なんだろうか』という気持ちしかなかった」と打ち明けながらも、マスコミ試写を数回実施した段階で「思ったより評価が良かった。もしかしたら楽しんでもらえるかもしれない」と思えるようになった。既に東京の劇場では公開しており「上映始まって少しずつ自信を持てるようになった」と話す。お客さんからは「思っていたよりおもしろかった」という声があったり、観客の表情が笑顔になっていることに気づいたりしながら「社交辞令ではない『おもしろかった』という声がホッとする。嬉しい瞬間ですね」と安堵している。

 

現在、日本各地のミニシアターのお客さんが減っている状況を鑑み「もう少し何かできないかなぁ」と考え、本作のスピンオフ作品『ボクたちの宇宙戦争』(仮)を撮影し、大阪でも上映予定だ。また、短編作品や長編作品も同時進行で脚本を執筆しており「毛色の違うものを撮ろうとしています。SF的な作品は自分のテイストですが、偶にはそうでないものを。僕らしい映画が作れれば」と今後も楽しませてくれそうだ。

 

映画『エスパーX探偵社 ~さよならのさがしもの~』は、関西では7月8日(土)より大阪・十三のシアターセブンで公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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