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ドナーになって頂いた方が、どこかで観てくれていたらいいな…『みんな生きている』樋口大悟さんと榎本桜さんと両沢和幸監督を迎え舞台挨拶開催!

2023年4月15日

稽古中に運ばれた病院で白血病と診断された空手講師が、衰えながらも闘病する中で骨髄移植に望みを託す姿を描く『みんな生きている』が関西の劇場でも公開中。4月15日(土)には、大阪・九条のシネ・ヌーヴォに樋口大悟さんと榎本桜さんと両沢和幸監督を迎え、舞台挨拶が開催された。

 

映画『みんな生きている』は、俳優の樋口大悟さんが骨髄移植によって命を助けられた自身の経験をもとに、企画・原案・主演を務めたヒューマンドラマ。稽古の最中に倒れて病院に運ばれた空手講師の桧山大介は、白血病との診断を受ける。闘病により体力は衰え、空手も恋人も失った。助かるためには骨髄移植しかないと医師に告げられるが、適合するドナーはなかなか見つからなかった。そんな中、新潟県糸魚川に住む桜井美智子という女性が適合すると判明するが、彼女の家族は彼女がドナーになることに反対していた。主人公の大介役を樋口さん、骨髄移植を依頼される美智子役を松本若菜さんがそれぞれ演じ、岡田浩暉さんほか、武藤令子さん、大西武志さん、森下能幸さん、池田良さん、中村久美さんらが顔をそろえる。監督・脚本はドラマ「ナースのお仕事」などを手がけた両沢和幸さんが務めた。

 

上映後、樋口大悟さん、両沢和幸監督、榎本桜さんによる司会にて舞台挨拶を開催。樋口さんの思いが作品を作り上げたことが伝わってくる舞台挨拶となった。

 

25歳の時、急性骨髄性白血病と診断され、5年間の闘病後、匿名の方から骨髄液を頂いて骨髄移植を受け、現在も俳優として活動している樋口さん。感謝の思いがあり「骨髄バンクを知ってほしい。誰かの善意によって助かる道があることを伝えたい」と願っていた。この思いに両沢監督が共感し、本作の構想から5年を経て劇場公開を迎えている。

 

骨髄移植のドナーになる方のドラマも描いている本作。樋口さん自身の体験を映画化するにあたり、両沢監督は「今までは描かれていないドナーサイドの話も調べていくうちに、ドナー側の方が決断してくれないと、助からない。どんなに医師が優秀でもドナーがいないと助けられない」と理解し、取材を重ね、患者とドナーの両方について描いている。

 

なお、骨髄移植後1年以内に患者はドナーとの2往復での手紙を匿名で送り合うことが可能で、樋口さんは「絶対に出会わない関係。知っているのは、関西在住の同世代の女性だということ。関西に来れば、どこかで観てくれていたらいいな」と願っており「他のドナーの方々にも、”きっと自分が提供した方も元気なんだな”と思ってほしい」と望んでいた。

 

本作のオリジナル・サウンドトラックに収録されている楽曲「僕は飛行機」は、10年前に樋口さんが無菌室のベットから曇り空を見ていた時に飛行機が飛んでいるのを見て、自身の境遇と重ねて書いた詞を、ミュージシャンの鈴木周哉さんが作曲したもの。15年を経て「映画の中で流れているのは思いもよらなかった」と個人的にも喜んでいる。

 

最後に、両沢監督は、ラストシーンにふれながら「ドナーになった方が、この映画をどこかの映画館で観てくれるのであれば届いて下さい、と演出しました。より多くの観客の方に観て頂きたい」と思いを込めていく。樋口さんは「僕がこの映画を作ったのは、一つでも多くの命が救われてほしいな、という思いからです。亡くなった方も沢山見てきました。今苦しんでいる方もいっぱい知っています。少しでも、そんな方の勇気や希望になり、骨髄バンクの知ってもらえたら嬉ししい」と日々感じており「日常生活を普通に送れることは凄い幸せなんだな、と思っています。今日観て頂いた皆さんにも心のどこかがあったかい気持ちになったり、勇気や希望を持ったりして劇場を出て頂ければ嬉しい。皆さんにも素敵な人生の日々を過ごして頂ければ嬉しいな」と思いを込め、舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『みんな生きている』は、関西では、大阪・九条のシネ・ヌーヴォ、京都・九条の京都みなみ会館で公開中。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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