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人と繋がり関係性を持ち、コミュニケーションの難しさや美しさや魅力に気づけました…『はざまに生きる、春』宮沢氷魚さんと葛里華監督迎え舞台挨拶開催!

2023年4月12日

発達障害により感情を隠すことがない画家と優柔不断で自己評価の低い雑誌編集者の恋模様が描かれる『はざまに生きる、春』が5月26日(金)より全国の劇場で公開される。4月11日(火)には、大阪・梅田のシネ・リーブル梅田に宮沢氷魚さんと葛里華監督を迎え、舞台挨拶付き先行有料上映会が開催された。

 

映画『はざまに生きる、春』は、『エゴイスト』『レジェンド&バタフライ』の宮沢氷魚さんが主演を務め、発達障がいを持つ画家の青年と女性編集者の恋の行方を描いた恋愛映画。出版社に務める雑誌編集者の小向春は取材のため、「青い絵しか描かない」ことで有名な画家の屋内透と出会う。発達障がいを持つ屋内は自分の思ったことをストレートに口にし、感情を隠さず嘘もつけない。人の顔色ばかり見て生きてきた春にとって、そんな彼の姿は新鮮で魅力的に見えた。恋人に怪しまれながらも屋内にひかれていく春だったが、相手の気持ちを汲み取ることが苦手な彼に振り回され、思い悩む。屋内との恋を通して変わっていくヒロインの春役に『初恋』『ファンシー』の小西桜子さん。出版社で漫画編集者として働きながら自主映画を制作してきた葛里華さんが長編初監督・脚本を手がけた。

 

今回、上映前に宮沢氷魚さんと葛里華監督が登壇。大阪に親しみを込めた和やかな舞台挨拶が繰り広げられた。

 

久しぶりの来阪となった宮沢さんは、歓迎ムードに「大阪って良いなぁ」としみじみとしていた。また、たこ焼きが大好きで「子供の頃、自分で作っていたんですよ。実家にガスの炎で焼く機械があり、作っていたんです」と明かす。葛監督はUSJが大好きで年間パスを所持しており1年に4,5回は訪れており「実は今日も行ってきました」と場内を驚かせていく。「ハリー・ポッターになっていました」と話すと、宮沢さんが、葛監督のスーツケースに衣装が入っていることを明かし「本気なんだ」と驚愕する時間となった。

 

映画コンテスト”感動シネマアワード”にて大賞を受賞し制作が決まった本作。葛監督が嘗て発達障害の方に恋をしていた経験を映画にしたいと思っていた中で「宮沢さんに屋内透という役を演じて頂きたいな」と願い、脚本を書き始め企画を提出した経緯がある。宮沢さんも選考に携わっており「葛さんが書かれた脚本が一番印象に残った。葛さんがどんな人か知らない状態で呼んでいる時、キャラクターへの愛情が凄く深かった。文面からも伝わってくる。この方なら信頼できる。是非これだけの情熱を注ぎ込んだ作品を映画化して皆さんに観てほしい」と当時の思いを語っていく。葛監督は受賞当時を思い出し「物凄く嬉しかった。選考中にリモートで宮沢さんとレプロの方々とお話しする機会があり、宮沢さんにどうしてこの作品を作ったのか。どうして映画を作っているのか、と話した時、作品に対して質問して下さった。興味を持ってくれているのかな」とワクワクしていた。

 

撮影に入るにあたり、2人で役作りについて話し合っており「監督と医療監修の先生と発達障害の特性を持っている方とお話をしました。監督は様々な方に取材しており、その動画を観ました。発達障害の方がどういう風に言葉を発するのか、どういう動きをされるのか、吸収して透君という人物が誕生しました」と説く。葛監督としても、宮沢さんの演技には太鼓判を押している。監督の実体験をベースにしており「当時の私が感じた気持ちを基にして、宮沢さんにどういう風に演じて頂きたいか、というところから脚本を作り始めている。キャラクターや出来事に関してはフィクションも多いです」と話す。演じた透君について、宮沢さんは「本当に真っ直ぐで、嘘のない人間。コミュニケーションが得意ではないですけども、自分が思ったことを直接言葉にして伝えている。そこで幾つもの壁にぶつかりますが、ピュアさが透君の見所」とアピール。葛監督は宮沢さんが演じるキャラクターについて「放っている透明感や澄み渡った優しさを前面に出せたら良いな。言葉を扱うことが苦手なキャラクターでもあるので、言葉が上手く出てこない時に、どういう風に表現するのか、と2人で話して作りました」と思い返す。透君には手の動きを付けており、宮沢さんは「心の中で上手く言葉が出てこない時や伝えられない時にモヤモヤを手で表現している。手を選んだ一つの理由として、透君が天才的な画家で素晴らしい絵を描きますが、自分の感情が一番伝わるのは手や指先なんじゃないか、と思い演じました」と語った。

 

作中には、透君が雨ではしゃぐシーンがあり、宮沢さんは気に入っており「子供の頃は雨が降っているとテンションが揚がっていた。後先考えず、その瞬間を楽しむ自分がいた。今は落ち込んでしまう自分がショックだった。あの時にいた純粋で何事も楽しめた自分はどこに行ってしまったんだろう」と打ち明け「透君みたいに目の前のことを100%楽しんで様々なものを吸収して感動できることに、僕は羨ましいな。そんな人間でいたいな」と望んでいる。葛監督は、壁に画を書いているシーンが気に入っており「その時の手だけでも眩しい。凄く綺麗だった」と思い入れがあった。

 

最後に、葛監督は「この映画は宮沢さんが選んで下さって始まりました。この映画が届くべき人のところに届いて完成だと思っているので、皆さんが観て下さることで完成することが嬉しく思います。この映画を観てくれた人があたたかい気持ちになったらいいな、と思って映画を作っているので、観て下さった方が最後にあたたかくなったらいいな」と願いを込めていく。宮沢さんは「この作品は本当に美しい作品で、僕の中でもこんなにあたたかい気持ちになる作品は久しぶりです。改めて、人と繋がること、人と関係性を持つこと、人とコミュニケーションをとることの難しさや、その奥にある美しさや魅力に、この映画を通して気づくことが出来ました」と感慨深く思いを込め、舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『はざまに生きる、春』は、5月26日(金)より全国の劇場で公開。関西では、5月26日(金)より大阪・梅田のシネ・リーブル梅田や難波のなんばパークスシネマ、京都・烏丸御池のアップリンク京都、6月2日(金)より神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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