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金魚が象徴しているものをアナーキーのモチーフにしよう…『GOLDFISH』藤沼伸一監督に聞く!

2023年3月30日

メンバーを亡くし人生の折り返しの年代に差しかかったミュージシャンがアイデンティティを問い直し、悩む姿を描く『GOLDFISH』が3月31日(金)より全国の劇場で公開される。今回、藤沼伸一監督にインタビューを行った。

 

映画『GOLDFISH』は、1978年から活動するパンクバンド「亜無亜危異(アナーキー)」のギタリストである藤沼伸一さんが、永瀬正敏さんを主演に迎えて撮りあげた映画監督デビュー作。1980年代に社会現象を巻き起こしながらも、メンバーのハルが傷害事件を起こして活動休止に追い込まれたパンクバンド「ガンズ」。30年後、リーダーであるアニマルの不純な動機をきっかけに、メンバーのイチが中心となって再結成に乗り出す。しかしリハーサルでは、バンドとしての思考や成長のズレが浮き彫りになっていく。ためらいながらも音楽に居場所を求めて参加を決めたハルは、仲間たちの成長に追いつけない焦りによって次第に追い詰められ、かつてのように酒と女に溺れていく。主人公のイチを永瀬さん、ハルを北村有起哉さん、アニマルを渋川清彦さんが演じる。藤沼監督が音楽も手がけ、『宮本から君へ』等の港岳彦さんが脚本に参加した。

 

アナーキーのオリジナルメンバーである逸見泰成さん、通称マリさんが生きていた頃に「(オリジナルメンバーの)5人で1回だけ再結成しよう」という話があった。だが、LIVEの1ヶ月前頃、マリさんが急逝。残った4人でLIVEをやることになり、以降は4人で活動しており、藤沼さんが作詞作曲を全て担っていった。そこで、アナーキーとして20歳でデビューした頃からお世話になっていたスタッフの小林千恵さんが現在は映画プロデューサーの仕事をしており「自分の軌跡を映画にしてみる気はないか」と提案があり「おもしろそうだね」と賛同。だが「ドキュメンタリーのような作品は望まない」と伝え「金魚が象徴しているものをメインにしたい。金魚は鮒から奇形に品種改良されて鑑賞されるための生き物になった。これを、エンターテインメントで活動している全ての皆さんとリンクさせ、アナーキーというバンドのモチーフにしよう」と脚本家の港岳彦さんに依頼。キャラクターが存在し、ストーリーがあるドラマを企画してみると、イマジネーションが沸々と湧いていき「アナーキーであってアナーキーではない。アナーキーを前面に打ち出すと偏見を持たれかねない。ドラマがある作品にするが、ベースにはアナーキーがある作品にしたい」と港さんとディスカッションしていく。なお、作中に登場するのは、「アナーキー」ではなく「ガンズ」と呼ばれるバンドであり「皆の名前を少し変えて、真実とフィクションを織り交ぜた。息子がいるけど、娘にした」と説く。「娘は、この世界は誰かに支配されて管理されている、と俯瞰で感じてしまっている女の子。何かが見えている子だと匂わせている。父親より達観している」と捉え「彼女は、言語化せず絵画で表現している。論理的ではないが映画的である」と気に入っている。

 

脚本が出来上がるにつれて、藤沼監督の中でも個々のキャラクターが出来上がっていき、キャスティングでは様々な候補を挙げていった。藤沼さんをイメージしたイチ役について、永瀬正敏さんを挙げてもらい「格好良過ぎて、本当に演じてもらえるのか信じられなかった」と告白。永瀬さんに台本を送った数日後に会うことになり「(永瀬さんは)完全にやる気モードがアグレッシブだった」と気に入った。「ガンズ」のメンバーを演じた北村有起哉さんや渋川清彦さんは売れっ子俳優であり、どうにかスケジュールを調整してもう。また、怒髪天の増子直純さんにもメンバーの1人を担ってもらっており「以前から仲が良い。演技が上手いので出演させたい。永瀬さんと渋川さんの間にいても物怖じしない。緊張せず、同級生の雰囲気を醸し出していた。スタッフからも評判が良かった。喧嘩シーンでは煽ってみたら本領発揮してくれた」と普段のLIVEでのパフォーマンスとは違った一面を見せてもらった。「ガンズ」メンバーの若かりし頃は、バンドWENDYのメンバーで固めており「特にドラマー役は役者だとバレる。叩ける人が良い。山岸健太は撮影中にメキメキと良くなっていった」と評価している。なお、キャスティングで最初に決めたのは町田康さんであり「死神を演じさせたらおもしろい。立っているだけで存在感があった。半笑い状態で台詞を言わせても怖くて、撮影現場の空気をゾッとさせた。最初は標準語だったが、関西弁でやってもらうとハマっていた。変な方がおもしろい」と太鼓判を押す。他にも多くのミュージシャン達が出演しており「皆、友達だから快く応じてくれた」と話す藤沼さんが備えている人間性の良さが感じられた。

 

クランクインの前には、映画業界の友達らに、監督の仕事やあるべき姿を教えてもらい「監督は好かれる必要がある」と実感。「皆のパフォーマンスを上げるには、頭ごなしに怒るとNG。2週間のスケジュールでは、各々の技量で必殺技を出してもらえば上手くいく」と考え、皆のパフォーマンスが上がるように、声をかけていった。最初の撮影からベストを発揮してもらい、不安になった時は絶えず確認して、最終的に判断を下していく。拘りがあるシーンは事前にリクエストもしており、2週間程度で撮りこぼすことも無かった。また、皆が深夜遅く帰宅するようなことにならないようにしたり、お弁当を楽しみにしている人に向けて前日にリクエストを募ってみたりと細かいところにも配慮している。だが、藤沼監督は「設計図となる脚本は2年もかけて、しっかりと出来ているので、それに合わせてオーダーしただけ」と謙虚な姿勢で撮影に臨んでいた。

 

編集作業については「ぼさっとしているところを切っていきながら、100分以内に収めたかった。短くてスパッと進んでいった方がパンキッシュで良い。プロデューサーらと皆で観て次第に良くなっていった」と振り返り「劇伴を入れると映画らしくなっていった。冒頭シーンでは柴山俊之さんが歌っていたり、ピアノはDr.kyOnが弾いていたり。音が付いて台詞が整うと、出来上がっていく」と映画が完成していくプロセスを体感できた。出来上がった本作について評判は良く「これは単なるバンド映画ではない。バンドをベースにしているけども、人間ドラマであり、フィクションとしておもしろい」と気に入っており、お客さんに対しても「皆の思ったまんまで良い。映画は公開したら、観た人のもの」と楽しみにしている。

 

映画『GOLDFISH』は、3月31日(金)より全国の劇場で公開。関西では、3月31日(金)より大阪・心斎橋のシネマート心斎橋や京都・烏丸の京都シネマで公開。また、京都・九条の京都みなみ会館や神戸・元町の元町映画館で公開予定。なお、シネマート心斎橋では4月1日(土)11:35~回の上映後、京都シネマでは4月1日(土)15:35~回の上映後にRICO(REGINA)さんによる司会にて藤沼伸一監督を迎え舞台挨拶開催予定。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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