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ナ・ホンジンと目標にしていたことを達成した…『女神の継承』サワニー・ウトーンマ、ナリルヤ・グルモンコルペチ、バンジョン・ピサンタナクーン監督を迎え舞台挨拶開催!

2022年7月30日

タイ東北部イサーン地方を舞台に、祈祷師一族をめぐる恐怖の物語を描く『女神の継承』が全国の劇場で公開中。7月30日(土)には大阪・心斎橋のシネマート心斎橋にキャストのサワニー・ウトーンマ、ナリルヤ・グルモンコルペチ、バンジョン・ピサンタナクーン監督を迎え、舞台挨拶が開催された。

 

映画『女神の継承』は、『チェイサー』『哭声 コクソン』のナ・ホンジンが原案・製作、ハリウッドリメイクされた『心霊写真』や『愛しのゴースト』を手がけたタイのバンジョン・ピサンタナクーン監督がメガホンをとった、タイ・韓国合作のホラー。タイ東北部の村で脈々と受け継がれてきた祈祷師一族の血を継ぐミンは、原因不明の体調不良に見舞われ、まるで人格が変わったように凶暴な言動を繰り返すようになってしまう。途方に暮れた母は、祈祷師である妹のニムに助けを求める。ミンを救うため、ニムは祈祷をおこなうが、ミンにとり憑いていたのは想像をはるかに超えた強大な存在だった。

 

今回、上映後にサワニー・ウトーンマ、ナリルヤ・グルモンコルペチ、バンジョン・ピサンタナクーン監督が登壇。ナリルヤさんは「今日は皆さんに会えて本当に嬉しいです。これから宜しくお願い致しま~す」と日本語でご挨拶。バンジョン監督は「大阪には何度も来たことがあります。いつもは大阪アジアン映画祭に来ているんですけど、大阪での劇場公開は初めてなので、とってもドキドキしています」と話し「大阪の皆さんに気に入って頂いて是非口コミで拡げて頂いて次のタイ映画にチャンスがあるようにお願いします」と伝えた。

 

今回、予め台本が予定されていたが、監督たっての希望によりお客さんの質問を受けて頂けることとなった。まずは、いきなり次回作について問われたが、バンジョン監督は「今いろんな作品の企画が同時進行しているんですが、まだ言えません。秘密です」と応えていく。次に、今作の着想について聞かれ「今回の映画は珍しいケースなんです。今回のプロデューサーのナ・ホンジンさんが最初は韓国映画を作るつもりで準備していた。でも、やっぱり他の国で撮ってみたらおもしろいかな、と思われて、元々知り合いだった私に声をかけて下さったんです」と明かし「祈祷師がテーマなんですが、私自身も全く知らなかったので、時間をかけてリサーチをしました」と思い返す。タイ東北部イサーン地方には祈祷師が存在し精霊信仰があり「自分は知らなかったので、調べながら、とてもワクワクしました」と振り返る。

 

今作は、ドキュメンタリー風の作品だが、サワニーさんは「ニム役を丁度良い匙加減で演じることが大変でした。撮影前に演技のワークショップがあり、役の理解を深めていきました」と振り返りながら「但し、どのように演じるか、きっちりとは決めておらず、撮影現場で監督が演技を常に役者と一緒に考えてくれた。素晴らしい監督」と称賛。ナリルヤさんは「今回、ドキュメンタリー風の撮り方ということで、演じているけど、演じてないように演じるのが難しかった」と打ち明けながら「その土地で生まれて育ったような役を演じました。脚本には出来事が書いてあり大事な事を云うといった内容は書いていましたが、台詞は書いていなかったので即興の演技です」と明かした。

 

ここで、タイ人の方から、韓国の文化をタイの文化に置き換える難しさについて聞かれ、バンジョン監督は「最初のプロットは韓国版だったので、全く知らないことだらけだった」と困ったが、改めてタイについてリサーチし「意外とタイと韓国は似ている部分が多い。例えば、祈祷師の代替わりは重い病を患い耐えられない表情になるのが凄く似ており、おもしろかった」と興味津々。そして、タイらしさについて「例えば、どこにでも霊は宿る。田んぼでも動物にでも犬にでも宿る」といった新しい視点があった。さらに、映画を作る際のインターナショナルな視点について聞かれ「元々、ナ・ホンジンさんと私の名前があり、世界中で公開されることを最初から予想していた。制作する時は一切意識しませんでした。如何にタイらしさを表現できるか意識して作りました」と説き「プロデューサーのナ・ホンジンさんは海外の観客の視点で様々にアドバイスして下さいました。最終的に世界の数ヶ国で上映されることになりました」と述べていく。最後の質問として、劇中での、黒い車に対して「この車は赤い」というステッカーが意味することを問われ、バンジョン監督は「タイ人の迷信なんです。例えば、車を買って、霊媒師や占い師に『この色の車をあなたが運転すると運が悪い』と云われたとしても、もう買い替えるお金がないんですよ。だからシールを貼っている。この考え方が最後の儀式に繋がっていく」と敢えてざっくりと解説し、この質問に対して「私とナ・ホンジンさんが目標にしていたことを達成したと思います。観客がこの映画を観て自分と繋がるところがあり、様々な疑問を持つ。だからこそ、わざとはっきりと書かないで様々に考えてもらって楽しんでもらう。議論してもらうことを意図しているんです」と言及。様々な掲示板も見ており「アメリカの掲示板で、脚本に書いていたことを当てている人がいた。全員が分かっているわけではないが、驚いた気持ちになります」と打ち明けた。

 

最後に、サワニーさんは、作品の展開に呼応するように「私は生きてる」と日本語でメッセージ。ナリルヤさんは「タイ映画を応援して頂いて、本当にありがとうございます。制作者として凄く元気をもらいました。これから先も宜しくお願いします」とお願いしていく。バンジョン監督は「私の映画はアジア中では劇場公開されているんですが、日本では、なかなか公開されなくて…今回が3本目になります。今回、劇場公開されて、とても嬉しいです。気に入って頂けたら是非口コミで拡げて頂いて、この先もタイ映画が日本に来られるように応援宜しくお願いします」と伝え、舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『女神の継承』は、全国の劇場で公開中。関西では、大阪・梅田のシネ・リーブル梅田や心斎橋のシネマート心斎橋、京都・七条のT・ジョイ京都や烏丸御池のアップリンク京都、神戸・三宮のシネ・リーブル神戸等で公開中。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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