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台湾南部のろう学校で実際に起きた性的暴力事件を告発する衝撃作『無聲 The Silent Forest』がいよいよ劇場公開!

2022年1月8日

 ©2020 Taiwan Public Television Service Foundation, Oxygen Film Co., Ltd., The Graduate Co., Ltd., and Man Man Er Co., Ltd. All Rights Reserved.

 

同級生の女子が複数の男子生徒から性暴力を受けている現場に遭遇した少年が事件解決のため奔走するさまが描かれる『無聲 The Silent Forest』が1月14日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『無聲 The Silent Forest』は、台湾南部のろう学校で実際に起こった性暴力事件を真正面から描き、アジア各国の映画祭で話題となった社会派ドラマ。聴覚障害をもつ少年チャンはろう唖学校に転校し、学校の創立記念パーティで見かけた少女ベイベイに心ひかれる。後日、スクールバスに乗っていたチャンは、バスの一番奥の席でベイベイが複数の男子生徒から性暴力を受けているところを目撃してしまう。ショックを受けるチャンに、主犯格の少年ユングァンは、その性暴力が「ゲーム」であると語るが…

 

本作は、Netflixでも配信されたドラマ「暗闇は目を閉じて」などを手がけ、長編映画はこれが初となる新鋭女性監督コー・チェンニエンが手掛けた。台湾のアカデミー賞ともいわれる金馬奨で8部門にノミネートされ、ベイベイ役のチェン・イェンフェイが最優秀新人女優賞を受賞。日本でも2020年の第21回東京フィルメックスのコンペティション部門に出品された。

 

 ©2020 Taiwan Public Television Service Foundation, Oxygen Film Co., Ltd., The Graduate Co., Ltd., and Man Man Er Co., Ltd. All Rights Reserved.

 

なお、出演者からのコメントが届いており、チャン・チェン役のリウ・ツーチュアンは「本作をご覧いただくことで、家族や友人をはじめとした他者との関係性について考え直すきっかけになるかと思いますので、重い題材ではありますがぜひ劇場でご鑑賞いただければ幸いです」、ヤオ・ベイベイ役のチェン・イェンフェイは「本作は非常に重い題材ですが、観てくださる方によって捉え方が変わると思うので、皆様から様々な感想がいただけることを期待しています。そして、世界がもっと愛と寛容に満ち溢れることを願っています」、ホー・ユングアン役キム・ヒョンビンは「本作の中で描かれた、物語が意図する痛みについて考えていただければ幸いです。非常に多くの意味を持った本作を、ぜひ劇場でご鑑賞ください」と三者三様に真摯な思いが込められている。

 

映画『無聲 The Silent Forest』は、1月14日(金)より全国の劇場で公開。関西では、大阪・梅田のテアトル梅田や心斎橋のシネマート心斎橋、京都・烏丸御池のアップリンク京都や九条の京都みなみ会館で公開。

興味本位で覗いてよい世界ではない。本作を鑑賞することで、ただ傍観している自分もまた関係者や当事者になり得る、という覚悟が必要だ。「結局、この事件は誰が悪いのか?」という問題に目を向けた時、観ている者には無力感しかなく、気持ちの置き所がない。劇中であまりにも酷い性的暴力を受けた主人公は、「その環境から逃げ出してしまう」という選択肢も選ぶことができるのにもかかわらず、自ら拒否してしまう。その理由のやるせなさが、観る者の心をさらに締め付ける。

 

本作はフィクションだが、「実際の事件に基づいて着想を得た」物語。昨今、日本映画や外国映画でも、聾唖の人々にとってこの世界がどれほど生きにくいかが描かれた作品が増えてきている。今作では、さらにもっと広い意味で、あるマイノリティに対するそれ以外の人々の無関心や無責任さの代償を問いかける作品でもあった。劇中の彼らの声なき声を、鑑賞する方はどうか心から受けとめてほしい。少女ベイベイ役のチェン・イェンフェイには、本当に難しい人物を演じ切っている。大いに敬意を表したい。あまりに不憫な姿を見ていたたまれなくなった方は、Netflixで配信中の『弱くて強い女たち』で演じた明るい女の子を見れば安心できるだろう。こちらもとても良作なのでお薦めしたい。

 

本当に辛い描写が含まれる作品であり、心の準備が必要だと念を押したいが、それを乗り越えて観る価値のある力作だ。この記事や公式HPの紹介を見て興味がわいたならば、ぜひ強い意志を持って鑑賞して頂きたい。

fromNZ2.0@エヌゼット

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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