1964年の東京オリンピックで金メダルを獲得した日本女子バレーボールチームの秘密とその後に迫ったドキュメンタリー『東洋の魔女』が関西の劇場でもいよいよ公開!
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1964年に開催された東京五輪で、金メダルに輝いた、“東洋の魔女”の異名を持つ、日本の女子バレーチームに迫ったドキュメンタリー映画『東洋の魔女』が1月2日(日)より関西の劇場でも公開される。
映画『東洋の魔女』は、1964年の東京オリンピックで金メダルに輝いた女子バレーボール日本代表チームを追ったドキュメンタリー。1964年10月、戦後復興の象徴として開催された東京オリンピック。メダルラッシュに日本国民が熱狂する中、圧倒的な実力を見せたのが女子バレーボール代表だった。インパール作戦に従軍し、奇跡の生還を果たした大松博文監督率いる代表チームのメンバーは、その大半が紡績工場で働く工員で、連日深夜まで徹底的な特訓を受ける生活を送った。その結果、彼女たちは世界から「東洋の魔女」として恐れられる存在となった。市川崑監督の記録映画『東京オリンピック』をはじめとする当時の映像、80代に差しかかった彼女たちの肉声などを交えながら、なぜ日本は彼女たちに熱狂したのかを解き明かしていく。監督はテニス選手ジョン・マッケンローを追った『完璧さの帝国』など、アスリートたちに焦点を当てた映像作品を手がけてきたジュリアン・ファロ。
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映画『東洋の魔女』は、関西では、1月2日(日)より京都・烏丸の京都シネマ、1月7日(金)より大阪・梅田のテアトル梅田、1月15日(土)より大阪・九条のシネ・ヌーヴォ、1月21日(金)より大阪・岸和田のユナイテッド・シネマ岸和田や兵庫・豊岡の豊岡劇場で公開。また、神戸・元町の元町映画館でも近日公開。
世界から「東洋の魔女」として恐れられる存在となった、1964年に開催された東京五輪で金メダルに輝いた日本の女子バレーチーム。如何にして金メダルに輝き東洋の魔女となったのか、フランス人監督の視点を通して、その所以が分かる本作。最も象徴的に映るのが、鬼の大松と呼ばれた大松博文監督。第二次世界大戦中で、最も無謀といわれるインパール作戦に従軍し戻ってきたことを考えると、どれだけのスパルタ教育を実践すると共に、選手への慈愛に満ちた方だっただろうか、と察する次第。実際の試合以上の過酷な練習をこなすからこそ生み出された回転レシーブを繰り広げる映像は口が空いて塞がらなかった。世界の強豪国もさぞ過酷なトレーニングをしていただろうが、紙一重だろうとも日本が世界一に成りえる意義があると感じてしまう。
フランス人監督による日本に関するドキュメンタリー作品は、真摯に日本を捉えた作品が多く好感を持てる。本作においては、1936年のナチス・ドイツ時代のベルリン・オリンピック閉会式まで遡っている。この次のオリンピックが当初は1940年の東京オリンピックを予定していたが、開催権を返上し、実現に至らなかった。そして戦後の高度経済成長期の真っ只中である1964年に東京オリンピックが開催されるという歴史を描く。ニュートラルなジャーナリズムを以て冷静に映し出している。2021年に開催された東京オリンピックを経た現在、本作を観る意味は何重にも重ねられている、とも感じられた。
- キネ坊主
- 映画ライター
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