大好きな父親が女性になった…戸惑いながらも、愛する気持ちは変わらないことを確かめていく『パーフェクト・ノーマル・ファミリー』が関西の劇場でもいよいよ公開!
(C)2019 NORDISK FILM PRODUCTION A/S
突然一家の父親が女性として生きていきたいと言い出し、驚きと混乱に陥る家族の様子を思春期の娘の視点から描きだす『パーフェクト・ノーマル・ファミリー』が12月31日(金)より関西の劇場でも公開される。
映画『パーフェクト・ノーマル・ファミリー』は、1990年代のデンマークを舞台に、父親が性別適合手術を受けることになった家族の物語を、10代の多感な娘の視点から描いたヒューマンドラマ。デンマークの郊外で暮らす11歳の少女エマは、幸せな家庭で充実した毎日を過ごしていた。そんなある日、両親が離婚することになり、彼女の日常は一変。しかも離婚の理由は、父親トマスが女性として生きていきたいからだという。ホルモン治療を始めたトマスは日ごとに女性らしくなっていくが、エマは父親が性別適合手術を受けるという現実を受け入れられず、寂しさといら立ちを募らせていく。
本作が初長編となるマルー・ライマン監督が、11歳の時に父親が女性になったという実体験を基に手がけている。父親トマス役に『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』のミケル・ボー・フォルスゴー。カヤ・トフト・ローホルト、リーモア・ランテ、ニール・ランホルトらが出演。デンマーク・アカデミー賞で9部門ノミネートされた。
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映画『パーフェクト・ノーマル・ファミリー』は、関西では、12月31日(金)より大阪・梅田のテアトル梅田と京都・烏丸御池のアップリンク京都、2022年1月7日(金)より神戸・三宮のシネ・リーブル神戸で公開。
本作における主人公は、11歳の少女エマ。いよいよ思春期を迎えつつ、世の中や自身の周りでの出来事に対して敏感になっていく多感な時期となる。とはいえ、両親や姉に反抗することなく素直に育っていた中で、パパが女性になりたいという理由で両親が離婚する、と云われたら…言語として表現しづらい複雑な感情を抱いてしまうだろう。家族の中で起きた急激な変化に適応するためセラピーセッションを受けても、簡単には受け入れらないことも十分に理解できる。パパはパパであって、パパではなくなるような…自身が同じ立場になったと考えみると、理解したいけども容易なことではないだろう。本作を手掛けたマルー・ライマン監督の実体験を基にした作品だが、真摯に映画作りに向き合っており、尊敬できる人物である。作中には、時折ホームビデオの映像が挟み込まれており、資料によると監督の幼少期を撮ったビデオのようで。エマの幼少期を映し出しているようにも感じて、趣深い。
性別適合手術を受けたパパと対峙していくエマ。複雑な感情は癒えず、モヤモヤを抱えたまま過ごしていく。所属している地元のサッカークラブでの試合ではイライラをぶつけてしまう。パパには当たり散らし、非行じみた行為も。11歳なりに行きつくとこまで至ってしまうが、それでもパパに伝えたい思いを曝け出す。切なくも愛おしい”普通で完璧な家族”の姿を見せてもらった。
- キネ坊主
- 映画ライター
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- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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