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全ての民が文字を読み書きできる国を夢見た朝鮮第4代国王の世宗がハングル創製に命を懸けた『王の願い ハングルの始まり』がいよいよ劇場公開!

2021年6月21日

(C)2019 MegaboxJoongAng PLUS M,Doodoong Pictures ALL RIGHTS RESERVED.

 

朝鮮独自の文字“ハングル”を生み出した、朝鮮第4代国王である世宗の奮闘と葛藤の日々を描く『王の願い ハングルの始まり』が6月25日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『王の願い ハングルの始まり』は、独自の文字創生のため命を懸けた世宗大王の姿を歴史劇。朝鮮第4代国王である世宗の時代。朝鮮には自国語を書き表す文字が存在せず、特権として上流階級層だけが中国の漢字を学び使用していた。この状況をもどかしく思っていた世宗は、誰でも容易に学べ、書くことができる朝鮮独自の文字を作ることを決意する。世宗は低い身分ながら何カ国もの言語に詳しい和尚シンミとその弟子たちを呼び寄せ、文字作りへの協力を仰いだ。最下層の僧侶と手を取り合い、庶民に文字を与えようとしている王の行動に臣下たちが激しく反発する中、世宗大王とシンミは新たな文字作りに突き進んでいく。

 

本作では、『パラサイト 半地下の家族』のソン・ガンホが世宗大王を演じ、『殺人の追憶』でソン・ガンホと共演したパク・ヘイルが和尚シンミ役を演じる。監督は『王の運命 歴史を変えた八日間』の脚本を手がけ、本作が監督デビュー作となるチョ・チョルヒョン。

 

(C)2019 MegaboxJoongAng PLUS M,Doodoong Pictures ALL RIGHTS RESERVED.

 

映画『王の願い ハングルの始まり』は、6月25日(金)より全国の劇場で公開。関西では、6月25日(金)より大阪・心斎橋のシネマート心斎橋と京都・烏丸の京都シネマ、7月10日(土)より神戸・元町の元町映画館で公開。

中国の権力が広く深く朝鮮に及んでいた時代。何故この国に、独自の文字が必要なのか。国民に文字を広めることによって何をなしたいのか。ソン・ガンホ演じる王の熱い言葉に涙がこぼれる。世宗(セジョン)大王の名を知る者は、日本にも多い。韓国語テキストの冒頭には「ハングル文字の生みの親」として、必ずと云っていいほど彼の名前が登場する。映画化されている回数も多く、日本で同様に映像化されている偉人と比較するならば、坂本龍馬や織田信長並みの人気ではないだろうか。

 

本編冒頭でも告げられる通り、本作は歴史の一説を基にしたフィクションではあるが、きっと実際にもこの映画のように、国と民の未来を憂いて心を砕き、その生涯の大半を捧げてハングル文字を作り上げたことが伺えた。国を想う君主と異国の僧達が志を共有し、先人がまだ為しえたことのない、これから続く長い歴史の中で使い続けれらることになる文字を作りあげてゆくドラマには胸が熱くなる。ハングル文字のことを全く知らなくても、本作をとても楽しめるのは間違いない。可能であれば、ほんの少しだけハングル文字の知識を取り入れてから観てみると、劇中の世宗王らの迷いと葛藤、そして道が開けていくプロセスがどれほど物凄いことなのか理解できるはずだ。とはいえ、なかなか難しいという方は、次の2点だけも知っておけば理解を深められる。

 

1つは、ハングルは表音文字であり、母音と子音で構成されている、ということ。アルファベットに置き換え例えるならば「K」+「A」⇒「か」と読むように。実際には細かいルールがいくつかあるが、基本はこれだ。もう1つは、ハングル文字は”誰でも覚えられるように”シンプルで直感的にデザインされていること。母音の発音は日本語のアイウエオヤユヨに似た体系、表記は1~3本の線が、縦か横か、交差するか並行するか、だけで成り立っている(更に派生した合成母音が別にある)。子音は「ㄱ(K)」「ㅁ(M)」など、発音時の口内における舌の位置や、唇の形を模している。

 

既に出来上がっている文字を当たり前のように使っていると真意に気づきにくい。改めて考えてみると、文字体系を纏め上げた労力はどれほど途方もないことか。よくぞこれほどに合理的な構成を思いついたことだ、と感嘆するほかない。1本の映画としても至極上質であり、これから韓国映画を鑑賞する人には、ハングルを学習するきっかけになるかも。この上なく意義のある映画として心からオススメしたい。

fromNZ2.0@エヌゼット

 

本作は、朝鮮民族が日常的に使用しているハングル文字の成り立ちを紐解いた作品。ソン・ガンホ扮する世宗大王が仏教の僧侶であるシンミの力を借りて、訓民正音(ハングル)を発明するまでの道程を描いている。その道程は決して易しいものではなかった。自身の健康状態と戦いつつ、儒教と仏教の対立から漢字を独占しようとする臣下達の反発が背景にあることが彼らの努力に一層の深みを与えている。まるで新しい創造には障害がつきものだと言わんばかりだ。音を記号的に捉え、文字に落とし込んでいく過程は途方もないことなのに、作業そのものが神聖な儀式に見えるのが不思議と美しい。

 

恥ずかしながら筆者はハングルの歴史を全く知らなかった。貧しい民へ広く伝わるよう、難しさを削ぎ落としていったことが興味深いと感じた。とりわけ線の方向(横、縦、曲線)によって音が設定されていたことに驚き、学びでもあった。ハングル文字を創る偉業を成し遂げられたのは一重に世宗大王が、異教徒(シンミ)であろうと能力があれば助けを乞うことも厭わなかったことが、結果的に現在に至るまで用いられた由縁だろうか。

from君山

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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