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観終わって持ち帰る気持ちがバラバラになることも豊かな時間になっていく…『街の上で』今泉力哉監督を迎え舞台挨拶開催!

2021年4月10日

古着屋に勤め、下北沢界隈を生活圏にしている青年が自主製作映画への出演依頼という“非日常”的な状況に直面する様を、彼が出会う女性たちとのエピソードを絡めて映し出す『街の上で』が全国の劇場で公開中。4月10日(土)には、大阪・梅田のテアトル梅田に​今泉力哉監督を迎え舞台挨拶が開催された。

 

映画『街の上で』は、下北沢を舞台に1人の青年と4人の女性達の出会いをオリジナル脚本で描いた恋愛群像劇。下北沢の古着屋で働く青年の荒川青は、たまにライブを見たり、行きつけの古本屋や飲み屋に行ったりしながら、基本的に1人で行動している。生活圏は異常なほどに狭く、行動範囲も下北沢を出ることはない。そんな彼のもとに、自主映画への出演依頼という非日常的な出来事が舞い込む。『』の今泉力哉さんが監督を担い、同作にも出演した若葉竜也さんが単独初主演を務め、『』の穂志もえかさん、『十二人の死にたい子どもたち』の古川琴音さん、『』の萩原みのりさん、『』の中田青渚さんが4人のヒロインを演じた。また、成田凌さんが友情出演している。

 

上映後、​今泉力哉監督が登壇。本来は昨年5月1日に公開予定だった本作。現在の状況下において約1年延期したが無事に公開を迎え「満席のお客さんの前で上映できて嬉しく思います」と感慨深く舞台挨拶を行った。

 

2019年公開『愛がなんだ』のトークイベントで、若葉竜也さんと一緒に登壇する機会があった頃、本作の準備をしていた今泉監督。下北沢映画祭から依頼された小さな映画だったため「ワークショップから無名の人達で作ろう」と最初は検討していたが「『愛がなんだ』の評判もあり、若葉さんなら現場に馴染めて中心にいてもらえるかな。恋愛が上手くいかない役を演じさせたら作品が出来るんじゃないかな」とオファー。作品の真ん中に存在しているキャラクターとなり「ひたすら受け芝居。自分から能動的なことはほぼせずに、ずっとよく分からない人達に絡まれて困るというのを永遠にやる映画には若葉さんでよかったな」と満足している。

 

主人公に絡んでいる主な4人の女性については、脚本が出来上がった時にキャスティングしており「ご一緒したことある方は穂志もえかさん。他の作品のオーディションで面識があったり、舞台で観たりしていたので、ダメ元でオファーして、全員OKになった。年齢が近いので、プロデューサーと4人の役の組み合わせを考えて。今の役以外はありえないかな」と自信あり。公開が延びると決まった時には「この映画をきっかけに知ってもらえたり、さらに活躍したりする機会があるのにな」と心苦しかったが、蓋を開けてみたら「それぞれにご活躍で、一年延びたことで、それぞれのファンの方がお客さんを連れてきてくれて、理想的な形だな」と安堵している。なお、若葉竜也さんも朝ドラ出演俳優になったことを喜んでいた。

 

そして、作中では、関西弁が魅力的な中田青渚さん。元々はドラマ版『his』のオーディションで会ったことがあり「魅力的だったんですが、キャスティングのバランスを考慮して起用しなかったんですが覚えていてオファーした」と明かす。元々の脚本では全て標準語による台詞で書いてあったが、本読みをした時に「関西弁でやった方がおもしろくなるかも。大学生役なので、関西弁でも違和感はない」と気づき、中田さん本人に直してもらいながら台詞を作っていった。創作の過程で中田さんと若葉さんの時間が長く、2人だけで読み合わせした時に若葉さんに直したことを伝えておらず「標準語を全部勝手に関西弁喋っているヤバい女がいる」と困惑させてしまったが「結果的に、関西弁にしたことで魅力的になった」と納得。さらに「一歩間違えると関西弁によって2人の距離が近くなるんですけど、中田さんは気をつけておた。関西弁だけどなるべくぶっきらぼうに、距離が近づかないように気をつけていた」と後で聞き「皆が気をつけながらやってくれていたんだな」と気づかされた。

 

基本的には、撮影前に時間をかけてリハーサルをしたくない今泉監督。「慣れていくとやり取りの新鮮度が落ちちゃいます」と危惧しており「2時間の映画なら本読みは3時間あれば十分です。1回通せれば雰囲気は分かる」と説く。本作の場合は「長回しのシーンや若い俳優で1回試したくて本読みの機会を、2人の時間と全体が揃っている状態でやった」と話し「全体で本読みをやった時、揃ったメンバーを見た時に、男性は皆髪が長いと気づいた。この映画は一つの色があった。短髪の男がいないぞ」と独特の雰囲気があった。なお、主要4人の女性や成田凌さんや若葉さん以外の俳優は、オーディションを兼ねた俳優ワークショップを実施し、200人ぐらいの書類審査から50人程度に絞ってお会いして2日間で演技を見た中で10〜15人を選んでおり、キャストが先に決まりあて書きしている。また、成田凌さんとは『愛がなんだ』より前から偶に呑んでいた仲で「忙しかったんですが『その時期に1日ぐらいなら空けれるかも』と漏れ伝わってきた。『1日だったら出演できる』と気づき、友情出演として1日みっしり成田DAYを作り、ボリューム感ある出演にした」と満足していた。

 

下北沢が舞台の本作。「ザ・スズナリ」という下北沢らしい場所を印象的に撮る手法もあるが「分かりやすい場所ばっかりを撮っても、下北沢で生活している人はそれを見て生活していない。そこに住んでいる人が普通に見ている景色や過ごしている場所で撮りたい」という意識を以て「自分が行きつけの呑み屋さんや行ったことあるライブハウスで勝手知ったるところを中心に作った」と告白。京都・出町柳の出町座で先行上映を行った時に「この商店街で起きそうな物語だ」と言ってもらい「置き換えが効く話だと思っている。皆さんにも今住んでいる場所の周りのそのへんの路地で起きていてもおかしくない話だと思ってもらえたら嬉しい」と願っている。なお、大学卒業後に1年間だけ大阪・新今宮に住んでいたことがあり「新今宮から難波の南海の通りや動物園あたりをウロウロしていた。ホテルも出来て状況が変わったと云われていますけども撮ってみたい。キタで撮るなら、梅田〜福島の動線がいつも迷子になって観覧車を探していたので、それを撮るでしょうね。難波から本町辺りの御堂筋線の上を歩く短いロードムービーとか良いんじゃないですかね」と挙げてみた。

 

本作の公開にあたり「まずミニシアターで上映しよう」と提案しており「ミニシアターで映画を観て監督になった人間の1人なので。映画館のバイトも東京でしていました」と振り返る。昨年30周年を迎えたテアトル梅田では、シアター外側の壁に30年間で上映された作品のポスター(縮小版)が掲示されており「半分は見ていないけど、1/3は観た。テアトル(グループの映画館)やミニシアターにお世話になっっているな」と気づかされた。昨年の映画館に関する動きについて「大変な状況になり、ミニシアターの支援もありました」と挙げ「そこで生まれた関係性や出会えた作品や人が次の土壌を生んでいる。ミニシアターはこれから出る若い監督や俳優や観客が作品を通して出会いつながる場所なので、1年間延期したり何か起きたりすると、その1年だけでなく、そこで生まれるはずだった人達の生まれなかった時間による大きい影響が5年後10年後にあると思っている。これからも是非続いていってほしいな」と期待している。

 

これまで制作してきた作品について「毎回テーマを掲げて、こういうことを伝えたいというより、見る人それぞれの中に物語が立ち上がったり、1個の映画を皆で観た時に同時に笑い声が起こる瞬間のために作っていたりする」と振り返り「観終わって持ち帰る時のお客さんの気持ちが1個になるのも素晴らしいですが、持ち帰る気持ちがバラバラになることも豊かな時だと思っている。穂志もえかは、2回観たら好きなシーンが変わった。繰り返し観ることで、様々なことが分かった上でおもしろがれる。繰り返し楽しんで頂ければな」と本作の今後の展開を楽しみにしていた。

 

映画『街の上で』は、大阪・梅田のテアトル梅田と心斎橋のシアタス心斎橋、京都・出町柳の出町座をはじめ全国の劇場で公開中。(4月23日(金)より京都・桂川のイオンシネマ京都桂川、5月1日(土)より神戸・元町の元町映画館でも公開)

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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