北海道を舞台に男女のすれ違いと恋愛を描き出す『遠くへ,もっと遠くへ』が第17回大阪アジアン映画祭のインディ・フォーラム部門で世界初上映!
北海道を舞台に男女のすれ違いと恋愛を描き出すロードムービー『遠くへ,もっと遠くへ』が第17回大阪アジアン映画祭のインディ・フォーラム部門で世界初上映された。
映画『遠くへ,もっと遠くへ』…
結婚5年目の人妻である小夜子は夫との離婚を考えている。離婚後の住まいを探し始めた小夜子は、不動産屋の男である洋平と知り合う。物件を見ていくうちに次第に打ち解けていく2人。小夜子は離婚を考えていること、洋平は妻が3年前に家を出てしまったことを打ち明ける。そうして小夜子が夫の五郎に別れ話を切り出そうとしていた矢先、逆に五郎から別れを告げられる。衝動的に家を出た小夜子だったが、行く当てはなく不動産屋の前に立ち尽くす。そのまま洋平の部屋に転がり込んだ小夜子は、洋平が失踪した妻・光子に未練を残していることを感じ取る。小夜子が「奥さんに会ってはっきりさせるべきだ」と洋平をけしかけ、光子探しの北海道への旅が始まる。
本作は、『れいこいるか』のいまおかしんじ監督の最新作。小夜子をタレントの新藤まなみさん、洋平を『ミッドナイトスワン』の吉村界人さんが演じ、『悲しき天使』の和田瞳さん、『天然☆生活』の川瀬陽太さんが共演。『溺れるナイフ』の井土紀州さんが脚本を手がけた。
映画『遠くへ,もっと遠くへ』は、3月18日(金)10:10よりシネ・リーブル梅田でも上映。なお、2022年夏に劇場公開予定。
『れいこいるか』『にじいろトリップ』と大阪アジアン映画祭では映画祭では常連となった、いまおかしんじ監督の新作。離婚後の住まいを探し始めた小夜子が、妻に出て行かれた不動産屋の洋平が抱く思いを後押しするべく、妻探しの旅に出かけるロードムービーとなっている。小夜子は計画的に離婚するべく動いていくが、その空気を察したのか夫側から離婚を提示されるのは、なんとも切ない。だが、夫についても決して感情を言葉で表すことが得意ではなく、オランウータンが振る舞うドラミングを行い、どうにか平穏に過ごそうとする姿は悲哀に満ちていた。過去を吹っ切ろうとする小夜子とは真逆で、過去をいつまでも引き摺っている洋平は、いつか妻が帰ってくることを願っている。だが、待っているだけの3年はあまりにも長過ぎた。3年もあれば女性の気持ちは完全に変化し切っている。その変化に気づけない洋平も悲哀に満ちていた。目の前にいる人ではなく、目の前にいない人のことを思ってしまう男女の切ないロードムービーに仕上がっている本作を観て、あなたはどこに行きたくなっただろうか。
- キネ坊主
- 映画ライター
- 映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
- 現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
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