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大洪水に見舞われた村で2人の妻の間で揺れ動く男の姿を描く『地のない足元』が第17回大阪アジアン映画祭の特別注視部門で日本初上映!

2022年3月13日

村が大洪水に見舞われ、2人の妻の間で揺れ動くことになる男の姿を描いた『地のない足元』が第17回大阪アジアン映画祭の特別注視部門で日本初上映された。

 

映画『地のない足元』は…

首都ダッカで救急車運転手として働くサイフル。ジョムナ川流域の中洲にある故郷では家族が壊滅的な洪水被害に遭っているが、仕事で帰ることもできない。一方、ダッカでの過酷な生活の中で、彼は一時の誘惑に負け、問題ある結婚生活に陥る。2人の妻の間で狼狽え、気鬱な仕事と不運な出来事に見舞われるサイフルは、文字通り、そして比喩的にも、足元を固めることができない。追い詰められたサイフルは危険な仕事に手を出すが、良心の呵責と貧困との間で消耗戦を強いられる。

本作は、バングラデシュの新鋭監督ムハンマド・ラッビ・ムリッダのデビュー作。とてつもない格差に苛まれて出口のない困窮に喘ぐバングラデシュの現実を鋭く描き出した。

 

映画『地のない足元』は、3月18日(金)10:10よりABCホールでも上映。

バングラデシュにおける貧富の格差を表す側面は様々に存在するだろうが、本作はその一部分を端的に表現していた。村の家族を養うために、首都のダッカで出稼ぎに来る者達に対して様々な罠がかけられていった。罠だと分かっていても、応じざるを得ないのが、あまりにも切ない。同時に、罠を仕掛ける立場においても、有象無象が蠢くカオスな都市の中でギリギリの生活を送っていた。極々一部の者だけが多くの富を得ており、残りはジリ貧でしかない。消耗戦を見せつけられ、如何ともしがたい気持ちになってしまう。しかし、それら全てを押し流していくのが自然の脅威である。村を大洪水が襲えば、一番の被害を受けてしまうのは弱き者達でしかない。気づいた時には何も誰も残っていないのだ。常時畳み掛けるようにツイストしていく本作の展開を観ていると、救われる者はどこにもいないのではないか、と思えてしまう一作であった。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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