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一発撮りの和太鼓演奏シーンは、まさに気合いが入った一番の見どころ!『夏、至るころ』倉悠貴さんに聞く!

2021年1月21日

福岡県田川市を舞台に、幼馴染の少年ふたりと不思議な少女のひと夏の出来事を和太鼓のリズムにのせて描く『夏、至るころ』が関西の劇場でも1月29日(金)より公開。今回、主演の倉悠貴さんにインタビューを行った。

 

映画『夏、至るころ』は、女優の池田エライザさんが原案・初監督を務めた青春映画。自然あふれる福岡県田川市を舞台に、2人の男子高校生が初めて自分の人生と向き合い、それぞれの一歩を選び取るまでを描く。高校3年生の翔と泰我は幼い頃からの親友で、ずっと一緒に和太鼓の訓練を続けてきた。夏祭りを前にしたある日、泰我が受験勉強に専念するため太鼓を止めると言い出す。自分は何をしたいのか分からず、がく然とする翔の前に、ギターを背負った不思議な少女・都が現れ……。映画初主演の倉悠貴さんが翔、新人俳優の石内呂依さんが泰我、『シグナル100』のさいとうなりさんが都を演じ、リリー・フランキーさん、原日出子さん、高良健吾さんらが脇を固める。地域の「食」や「高校生」とコラボした青春映画制作プロジェクト「ぼくらのレシピ図鑑シリーズ」の第2弾作品。

 

映画初主演となった倉さん。オーディション終了後に「これ、オーディションじゃないんだ、リハーサルだよ」と云われながら「主演!?全然信じられませんでした」と漏らす。クランクイン前は台本を読む時点から大変だったが、福岡県田川市では2週間の合宿を行い、和太鼓の稽古に一生懸命に励んだ。曲を覚えることも難しく「右手と左手の役割を決めて、全てを音で覚えていきました。映画の為に提供して頂いた曲を奏でています。太鼓を叩くのはとても体力が要りますし、手に血豆も作っていました」と共演の石内呂依さんと共に頑張ったことを懐かしむ。

 

大阪府出身の倉さんは、田川弁について当初は「大阪弁に近いかな」と感じたが「どちらかといえば標準語寄りでした。標準語のイントネーションに語尾をつけないといけません」と苦労した。だが、田川弁による台詞が収録された音源を毎日聴き、合宿中に田川市の方とふれあい機会を経て、体に馴染んでいく。思春期の不安定な感情を表現する主人公の翔を演じながら「自分も幸せが何か分からないです。今後どうなりたいか路頭に迷っている状態でもありました。だから共感できる部分が多かったですね」と振り返る。もし実際に翔が存在したら、と考えてみると「かける言葉がなかなか見つからない」と困惑するが「作品を通して一緒に成長してきました。僕自身も成長できました。翔であり僕でもある」と印象的なキャラクターとなった。

 

これまでに映画だけでなくTVドラマやMVにも出演してきたが「規模感の違いはありますが、やることは基本的には同じです。特に意識しないようになりました」と話しており、本作では「池田エライザ監督から自然に演じていいことを教わり、焦りがなくなりました」と俳優として新たな段階に進んでいる。池田エライザ監督について「御自身が女優なので、感情の引き出し方が上手です」と感心しており「俳優によって演出を変えます。女優だからこそ、それぞれの役者に対して演出を変えて感情を引き出せます」と尊敬の念を表す。現場においても「石内呂依君に対しては煽っていき、僕には煽らず、何も言わない時もありました。役柄のうえで何が悔しくて辛いのか問いかけて頂きました。言葉に発することで感情を表現しやすくなりました」とこれまで出演してきた作品の監督との違いを感じていく。共演した俳優の方々も印象的で「TVや映画でずっと観ていた方達と共演出来るので、緊張していました。でも、皆さんが自然に接して下さった。その場にいるだけでいいんだ、という安心感がありました」と自信をもって演じられた。本作のクライマックスでは和太鼓演奏の協演シーンがあり「夏にずっと取り組んだので、一番気合が入っています。寄りのカットは1回しか撮れない状況でプレッシャーに押し潰されそうになりながら感情が込み上がりました。まさに見どころですね」と。一発撮りならではの緊張感あるシーンに自身の成果を残せたことに対する達成感が伝わってくる。今後は「その場に存在するだけで演じることが成立するような良い役者になりたい」と究極の個性を発揮できる俳優を目指しており、その目を未来に向かって輝かせていた。

 

映画『夏、至るころ』は、関西の劇場では、1月29日(金)より大阪・梅田のシネ・リーブル梅田、2月6日(土)より神戸・元町の元町映画館、2月26日(金)より京都・烏丸御池のアップリンク京都で公開。

池田エライザさんが監督ということで、どのような作品になるのかと鑑賞前は期待に胸を膨らませていた。蓋を開けてみると、想像以上に長閑で渋さのある地域作品に仕上がっており、良い意味で令和を生きる24歳の監督が生み出せる雰囲気では仕上がり。監督自身の映画に対する思いや経験があってこそ可能なキャスティングや、叙情的な会話シーンが、作品をより一層引き立てる。池田エライザ監督らしさはしっかりと作品性が存在しており、物語の進むきっかけになるのがインコだったり、都がギターを弾き語る姿など、知っていれば楽しめる要素を、作品の質を損なうことなく、バランスよく練り込んでいたのが非常に好印象だった。

fromねむひら

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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