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「愛とは何なのか」と問い直したい…!『アイニ向カッテ』高山康平監督に聞く!

2020年2月14日

アルコールに溺れ、夢や過去に翻弄される男と周囲の人間関係を通して“愛“とは何かを映し出す『アイニ向カッテ』が、2月15日(土)より大阪・九条のシネ・ヌーヴォXで公開。今回、高山康平監督にインタビューを行った。

 

映画『アイニ向カッテ』は、夢と現実や愛と依存のはざまで揺れる人々の姿を描いた人間ドラマ。同郷の泰子と東京で同棲している漫画家の昭輔は、泰子の献身的なサポートもむなしく一向に筆が進まず、酒の量も増えて次第に依存症になっていく。そして最近は、眠りにつくと、かつて同棲していた佐和子の夢をよく見ていた。昭輔は佐和子を裏切り、泰子と2人で上京してきたのだが、そんな泰子との生活も近頃では破綻しかけている。そんなある日、母が危篤との連絡が入り、昭輔は故郷へと戻ることになるが…

 

三島由紀夫さんの小説を読みながら、高山監督は人間の自由意志について熟考。「自分の身近にありながら自分の意志が及ばないもの、自分の頭の中で起きている出来事だけど自分でコントロールできないもの」こそが夢であると捉え、本作のモチーフに考えていく。また、依存症についても「自分の心の問題だけど、自分でコントロールできない」と理解し、同じテーマとして結びつき、本作を構成していった。『』というタイトルには、夢や自由意志、依存、個人の主観的な幻想を愛という概念で包括しており「作品全体を通じて『愛とは何なのか』と問い直す作品になればいい」と提案。普段読み慣れている漢字やひらがなではなくカタカナにすることで、違和感を覚える文字の組み方にしている。

 

キャスティングはオーディション選考。主人公の昭輔を演じた田中一平さんとは映画祭で出会った際にオーディションにオファーし、迷わず決定しており「一平君は何でも演じてくれる。どんな役でも嫌がらない。普通の人間より変わった役を喜んで演じてくれる」とお気に入り。昭輔をサポートする泰子を演じた向有美さんについて「オーディションでも主人公に対する距離のとり方に注意していた。相手の領域に侵入していく人間ではなく、一歩離れたところから支える女性の役だった。自分を出していくより相手の反応を受けとめていく必要がある」と感じ、難しく技量が必要な演技を成し遂げてもらった。かつての同棲相手である佐和子は、主人公が見る夢のシーンで多く登場しており「彼の観点から見る過去は酷い思い出でしかない」と受けとめ「現実は、自分の記憶とのギャップがある。夢より酷い無の状態を描いた」と明かす。高山監督自身は「主人公を支えている女性や見守っている人々に近いかもしれない」と自らの視点を認識し「泰子は優しい眼差しを持っている人間。佐和子には礼節な視線がある。堕落している主人公に対して、両方からの視点が必要。世間的には厳しい視線が多いけど、優しい眼差しが少ないので、両方を作品では配置した」と解説する。

 

初の長編作品となった本作は、高山監督にとっても最後まで撮り切ることが大変だった。6日間という短い撮影には苦労の連続だったが、伊豆でのロケでは時間的な余裕もあり、感覚を掴んでいく。完成した作品は、第13回大阪アジアン映画祭でも上映され、昨秋には東京で劇場公開。「とても好きだけど、人には薦めにくいです…」という女性からの印象的なコメントを受け「単純なおもしろさではなく、ズッシリとくる重さがある、反応があった」と手応えを感じている。

 

なお、現在は次回作『とうめいな生き物たち』を制作しており、昨秋には完成と上映に向けて実施したクラウドファンディングも達成した。高山監督は、世の中や人間や人生に対する自身の考察から映画制作をしており「最近の世の中は科学技術が発達した結果、かつてのファンタジーが現実的になってきている。今後は、ファンタジーが新たなリアリティを以て感じられるようになってくるのでは…」と考え、映画での先取りを構想している。ファンタジーと映画ならではの相性の良さを信頼し「数学や理科のおもしろさに気づき、文系向けの書籍を読むようになった」と告白。「文系からのアプローチが理系の人にとって新しい視点となる」と気づき「時間を相対化する企画を完成させたい」と目論んでいる。とはいえ「ジャンルに対する拘りはない。お芝居を役者さんと作っていくことが監督として興味がある」と映画に対する真摯な愛情を語り、若手映画監督として未来に期待を寄せていた。

 

映画『アイニ向カッテ』は、2月15日(土)より大阪・九条のシネ・ヌーヴォXで公開。また、京都・九条の京都みなみ会館にて順次公開予定。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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