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ベトナムの女性は自国の伝統を守らなければ…『サイゴン・クチュール』グエン・ケイ監督に聞く!

2020年1月9日

1969年のアオザイ仕立て屋の娘が、ひょんなことから21世紀にタイムスリップすることから起きる騒動と成長を描く『サイゴン・クチュール』が1月24日(金)より関西の劇場でも公開。今回、グエン・ケイ監督にインタビューを行った。

 

映画『サイゴン・クチュール』は、1969年から現代にタイムスリップした女性の成長を描いたベトナム映画。1969年のサイゴンで、9代続いた伝統あるアオザイ仕立て屋の娘ニュイ。ミス・サイゴンに選ばれるほどの美貌の持ち主でスタイルもファッションセンスも抜群の彼女は、家業であるアオザイを野暮ったいと嫌い、アオザイを仕立てる母親と対立していた。そんなニュイがなぜか21世紀にタイムスリップしてしまう。そこで出会ったのは48年後の落ちぶれた自分の姿だった。ニュイは自分の人生の変えるため、ベトナムのトップデザイナーのもとで働くことになるが…
製作総指揮をベロニカ・グゥ名義で『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』にも出演し、ベトナムではファッションリーダーとして人気を集めるゴー・タイン・バンが務める。

 

若きニュイが生きた1960年代は、グエン・ケイ監督にとっても一番好きな年代。様々なことが起こった時代で、・ファッション・アート、そして意識改革があった。1969年には人類が初めて月面着陸を果たしている。1969年は、ベトナム国民にとって印象的な年。当時のベトナムについて「戦争の時は、男性が戦場に行ってしまった。つまり女性が残り家を守っていた」と説き「それでも女性は伝統を守らなければならない」と、監督なりの反戦メッセージを込めている。

 

また、本作には、日本の文化が多く登場していく。ベトナム人にとって、日本人は、心理的イメージの中では憧れの対象となっている。1930年代以降、ベトナムを独立国家にするために日本で知識を得て帰ってこようと動きがあった。特に、アメリカの金融政策が敷かれ、1994年に解除され直ぐに日本が介入し、ベトナムに対して様々な支援を実施していることが大きい。経済支援だけでなく、映画やテレビ番組、漫画やアニメーションにおいても支援しており「私は1984年生まれで1990年代に様々な文化を沢山見てきました。ベトナム人にとっては日本文化だと意識せず自分達の文化として認識しているところがあります」と明かす。なお、”おしん”という単語はお手伝いさんを意味し、ベトナムで固有名詞になっている。1990年頃に「おしん」が放送され大ブームになり、何度も放送されており「主人公のおしんが可愛らしく、物凄い苦労をしている。当時、戦後15年でベトナム人も苦労を味わっている。苦労しているのに可愛らしい」と称え、苦労を乗り越えることを止めない女性に凄く共感した。

 

ニュイがタイムスリップしてきた2017年は、本作がベトナムで公開された年。2人のニュイがシンクロして描かれており「アン・カイン(2017年のニュイ)とニュイはお互いが道連れ。自分自身が将来はどんな自分になっているかを自分の目で見ることで彼女を変わらせるようにした」と解説。「酷い自分に会わないと彼女は変われない」と認識させたかった。なお、現代ベトナムにおける女性の地位は、嘗ての時代よりも大事にされており「ベトナムは女性の役割が重要だと思われている国。歴史的観点では、ベトナムは母系家族だった。その後、中国の影響を受け、一時的に父系家族になりました」と説明していく。また、伝統あるアオザイは、現在では高校の制服、銀行で働く女性や航空会社のCAの制服になっているが「廃れていく傾向にあり、若い女性達には好かれていない」と感じている。アオザイのデザイナーも実在しており「ぜひ皆にアオザイは可愛くてカッコいいと思ってもらいたい」と願っていた。

 

これまであったベトナム映画のイメージを一新した本作は、ベトナム国内で大ヒットを記録し、現在では、本作の2作目、3作目の制作スケジュールが決まっている。続編について「アメリカに住んでいるベト僑の女の子が主人公。ベトナムに帰ってきて祖母のゴーストに出会い1950年代に飛ぶ」とストーリーを検討していた。また、反戦映画のプロジェクトに脚本家兼プロデューサーとして参加し、『』のビクター・ブーが監督を務める予定だ。まさに現代ベトナムを代表する新世代の女性クリエイターは明るい未来に向かって今も邁進している。

 

映画『サイゴン・クチュール』は、1月24日(金)より、京都・九条の京都みなみ会館、1月25日(土)より、大阪・九条のシネ・ヌーヴォ、2月1日(土)より、神戸・元町の元町映画館で公開。

傲慢で自己中心的な主人公が、未来の落ちぶれた自分の姿を見せられて絶望する。はたして彼女は改心して、人生を逆転できるのか?『クリスマス・キャロル』或いは『怪しい彼女』の逆向きバージョンか、とも云えるプロットは、間違いなく面白い展開が待っている人気のジャンルの一つと過言ではない。

 

本作は割り切ったストーリー構成のポップさが勝利である。主人公が暮すのは1960年代、ファッション業界に飛び込んだ若い女性の奮闘と、母親への想いを込め、清々しくてキュートなドラマ西上がった。ベトナムの伝統衣装アオザイの美しさを存分に披露し、ベトナムという国の魅力が全開になっている。

 

とあるシーンでカメオ出演的な登場をする人物が、いかにも有名人です!という扱いで、これは誰なのだろう?と思ったが、ベトナムの人気歌手で本作の主題歌を歌っている、ドン・ニーだ。急な登場なので、観ている側は物語の余韻も冷めやらぬうちに置いていかれてしまいかねないため、この含蓄を知っておいて損はない。

fromNZ2.0@エヌゼット

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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