Now Loading...

関西の映画シーンを伝えるサイト
キネ坊主

Now Loading...

関西の映画シーンを伝えるサイト
キネ坊主

  • facebook

現代のベトナム映画を知る絶好の機会!『漂うがごとく』『ベトナムを懐う』坂川直也さんと清水政明さんを迎えトークイベント開催!

2019年5月11日

ベトナム映画『漂うがごとく』と『ベトナムを懐う』が、5月11日(土)より関西の劇場でも公開。初日には、大阪・九条のシネ・ヌーヴォに、東南アジア映画史研究者の坂川直也さんと、大阪大学大学院言語文化研究科教授の清水政明さんを迎え、トークイベントが開催された。

 

映画『漂うがごとく』は、ベトナム・ハノイを舞台に満たされることのない思いを抱えるベトナム人女性のリアルな姿を描いたベトナム映画。ハノイで旅行ガイド兼通訳として働くズエンは3歳年下のタクシー運転手のハイと出会って3カ月で結婚を決めた。後日、式に参加できなかった友人のカムを訪ねた帰り、カムの代わりに手紙を届けることとなったズエンは、手紙の受取人であるトーに襲われてしまう。どこか危険の匂いを漂わせるトー。夫・ハイとは真逆の野生的なトーにズエンは次第に魅了されていく。
第66回ベネチア国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞。ベトナム映画界の鬼才ファン・ダン・ジーが脚本を手がけ、『夏至』のドー・ハイ・イエンが主演を務めた。

 

本作を拝見した清水さんは「トラン・アン・ユン監督の『夏至』とよく似ている」と率直に話す。綺麗なハノイの言葉が話されており、授業の教材として用いている。ベトナム映画は、南側の方言が話される作品が多いが「この映画は、綺麗なハノイの言葉を使っており、ハノイの綺麗なシーンを1つずつ切り取り繋げたような映画でした」と伝えた。坂川さんは「コメディ映画だと南部の方言が使われるが、国策映画は北側で作られ、教材向けではない。ハノイ方言で教材に使用可能な映画は実は少ない。この映画は使える珍しい映画」と解説を添える。清水さんは「ベトナム語を教える教材を作る目的だけでなく、ベトナムのどういうところを描いているかという観点で観ている」と述べ「この作品では、ハノイの一般的な名所ではお目にかかれない静かな場所が描かれている。一旦、路地裏に入ると静かな空間があり、人々が日常生活を送っている」と評した。また「何度か観ないと分かりにくいシーンがある」と打ち明けるが「見れば見るほど、ベトナムの古典文学から受け継いでいる流れを感じられます。結論は出ておらず行く末はわからない」と解説する。

 

さらに、坂川さんは、本作を手掛けたブイ・タク・チュエン監督について紹介していく。今作が長編2作目の作品。1作目はNHKとの共同制作による『癒された地』、1975年に戦争が終わってから、地雷撤去を命じられた男を描いた話。3作目は一風変わったホラー映画。この変遷について「『漂うがごとく』を観た時はアート映画を撮る監督だと思っていたらホラー映画だった。興行的には成功しておらず、しばらく映画を撮っていない」と解説。現在は、幅広く学生に向けて映画について教えており、学生向けのコンベンションを開催し、優秀な学生を支援している。現在、4作目としてベトナム人作家の小説の映画化作品を準備中だ。

 

映画『ベトナムを懐う』は、祖国ベトナムを離れ、ニューヨークに暮らすベトナム移民たちを描いたヒューマンドラマ。1995年、冬のニューヨーク。雪が降る中を老人ホームから抜け出してきたトゥーは、息子のグエンと孫娘のタムが暮らすアパートに転がり込む。ボーイフレンドの誕生日を祝おうとしていたタムは想定外だった祖父の乱入に困惑。タムとトゥーは口論となり、トゥーは家を飛び出すこととなる。そこへ残業を終えて帰ってきた父グエンは、ベトナム移民である家族の歴史、そして故郷への悲しい思いを娘に語り始める。
ベトナムで有名な舞台作品を、韓国映画『サニー 永遠の仲間たち』のベトナム版リメイク『輝ける日々に』を手掛けたグエン・クアン・ズン監督が映画化。主演を務めたのは、ベトナムの人気コメディアンで俳優のホアイ・リン。

 

本作ついて、清水さんは原題から説明していく。原題は『Da Co Hoai Lang』、夜の(時間を知らせる)太鼓の音を聞きながらあなたを想う、という意味を表す。「ベトナム南部で演じられる古典劇で歌われる唄。戦争に向かう夫を待っている女性の気持ちを歌っている。由緒正しいベトナムの伝統を背負っている唄からつけられたタイトルです」と説く。

 

坂川さんは、本作を制作したグエン・クワン・ユン監督を紹介。「ベトナムで生まれ育った監督がこの映画を撮るのは興味深い」と感心する。本作の後には、韓国映画『サニー 永遠の仲間たち』のリメイク版を撮っており、さらに、もうすぐ『秋の約束』というラブコメディーがベトナムで公開予定だ。

 

映画『漂うがごとく』と『ベトナムを懐う』は、大阪・九条のシネ・ヌーヴォと神戸・新開地の神戸アートビレッジセンターで公開中。また、6月より、京都・出町柳の出町座でも公開予定。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

Popular Posts