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人間の罪を許せるか、憑りつかれています…『東京アディオス』大塚恭司監督に聞く!

2019年12月10日

実在する孤高の地下芸人・横須賀歌麻呂の半生を、本人主演で描き出す『東京アディオス』が、12月14日(土)より大阪・十三のシアターセブンで公開。今回、大塚恭司監督にインタビューを行った。

 

映画『東京アディオス』は、「Mr.マリック超魔術シリーズ」やドラマ「女王の教室」「高嶺の花」など、数々のテレビ番組を手がけた大塚恭司さんの映画初監督作品。大塚監督がほれ込んだ孤高の地下芸人と呼ばれる横須賀歌麻呂さんの半生が大塚流の世界観で描かれる。「地下芸人の帝王」と呼ばれる横須賀歌麻呂は、まったく金にならないライブのネタ作りに追われ、その合間に新宿でティッシュ配りのバイトという日々を送っていた。そんな横須賀の原動力は、とにかく客を笑わせたいという本能と、絶好調のライブに必ず現れる1人の女性客の存在だった。横須賀は彼女の励ましにより、単独ライブの大成功を強く決意するが、彼を取り巻く過酷な現実に襲われる。肉体的にも精神的にも最悪な状態にまで追いつめられた横須賀の創作活動は、狂気と妄想に取りつかれていく。横須賀さんが本人役で主演を務め、柳ゆり菜さんがヒロイン役を演じるほか、村上淳さん、コムアイさん、占部房子さん、藤田記子さん、チャンス大城さん、柴田容疑者さんらが顔をそろえる。

 

過激な下ネタを披露する横須賀歌麻呂さん主演の本作。大塚監督は、『岬の兄妹』を自主映画から見つけ買い付けた当時20代だった行実プロデューサーと出会い、本作に出資してもらい劇場公開が実現した。女優のキャスティングにも苦労したのではないかと想像してしまうが、ヒロインの柳ゆり菜さんは、スタッフ達と議論していく中でタイミングが良くオファーを承諾して頂いた。柳さん本人も事務所側も思い切りが良く、理解があったことには感謝せざるを得ない。コムアイさんは村上淳さんと関東ローカル深夜ドラマで共演しており、そのプロデューサーがオファーして出演してもらっている。キャスティングが決着するまでは苦労があったが「一番良い方にお願い出来ました。やると決めたらクレームはなかった」と満足できる結果となった。

 

自身のネタを披露するステージ以外での横須賀さんの演技について、大塚監督自身は大丈夫だと信頼を寄せている。横須賀さん本人から緊張感が伝わってきたが「スタッフ皆が芸人の演技が上手いと驚いている。ピン芸人は誰でも演技力がある。過去作で何人もピン芸人に出演してもらったが、ちゃんと活動している人は演技が出来る」と確信があり、心配していなかった。作品の導入部分や前半には横須賀さんが経験した芸人半生がリアリティを以て描かれており「実話からいつの間にか虚構に引きずり込まれていく構成を考えた。作っていくうちに不確かになっていき、虚構と現実の境界が曖昧になっている」と明かし、趣向を凝らしたストーリーテリングについて述べていく。

 

なお、本作はモノクロとカラーを有効的に活用している。大塚監督はデジタルハリウッド大学で教えており、日本の戦後15年で公開された白黒映画を主に鑑賞し研究してきた。「白黒映画とその後のカラー映画が混ざっている映画はあまりない」と気づき「映像表現に新しい可能性があるだろう」と考察。テレビでも長い時間をかけて実験していたので「モノクロとカラーを組み合わせることで、観る人に向けて新しい感情を与えられる」と提案していく。そこで、ボクシングにおけるスイッチヒッターを例にして「白黒かカラーかどちらかではなく、合わせて新たな効果を狙うこと」を技術的に考え、カラーと白黒に意味を与えた表現方法を取り入れた。

 

元々は映画マニアで、仕事はテレビ業界を選んだ大塚監督は、両方の長所と短所を理解している。テレビドラマの監督が映画に参画した場合について「TVを引きずっているのがよく分かる」と話す。今作では、テレビ業界の慣習に影響を受けないように映画作りに挑んだ。映画監督経て、テレビ番組制作に戻った後は「戻り切れないこともあり難しかった。画面の大きさだけで映像の作り方が全く違い、苦労しますね」と告白する。実は『』ではスタッフ全員がテレビ番組制作出身だったが「早く撮れることを有利点として活かそう」と考え、13日間で撮り終えた。映画業界関係者にとっては驚かざるを得ない撮影期間である。

 

これまでに、芸人を主人公にした「芸人三部作」があり「また芸人を主人公にした作品も考えている」と次作を検討中の大塚監督。過去に作った作品のセルフリメイクにも関心があり、1992年の『演歌なアイツは夜ごと不条理な夢を見る』は一定数のファンがおり、リメイクへの賛同に期待している。今後の生涯で5本は撮りたいと考えており「どれだけ人を許すことができるかという話にしたい」と模索中だ。「芸人三部作」はどれも主人公は人を殺してしまうストーリーではあるが「一番やってはいけないことをする人間を許せるかどうかというテーマに憑りつかれています」と告白。今作の撮影前にも大きな事件があったが「世間的にはこれ以上ない程に非難されるけど、そんなことしたところで誰も幸せにならない。そのエネルギーは何処に向かっているんだろう」と疑問を感じている。事件とは真反対の作品を作っていると感じながら「人間としての弱さがあり人間らしさがある。単純に非難すればよい出来事ではない」と冷静に世情を見据えていた。

 

映画『東京アディオス』は、12月14日(土)より大阪・十三のシアターセブンで公開。なお、シアターセブンでは、入場者特典として「島爺×東京アディオス コラボ缶バッジ&ステッカー」セット、平日特典として先着40名様限定『東京アディオス』チームのサインが入った超ゴージャス色紙をプレゼント。また、12月30日(月)には、『東京アディオス』大阪上映記念 スペシャルスピンオフイベント「横須賀歌麻呂と大阪芸人」と題して、主演の横須賀歌麻呂さんと関西を拠点に活動中の芸人さんによるネタライブが開催される。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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