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レイシスト集団から抜け出そうともがく男描く『SKIN/スキン』がいよいよ劇場公開!

2020年6月25日

(C) 2019 SF Film, LLC. All Rights Reserved.

 

白人至上主義者として生きてきた男が、過去との決別をする様が描かれる『SKIN/スキン』が、新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴う休業要請の緩和により、6月26日(金)より全国の劇場で公開される。

 

映画『SKIN/スキン』は、2003年にアメリカで発足したスキンヘッドの集団「ヴィランダーズ」の共同創設者であるブライオン・ワイドナーの実話に基づく社会派ドラマ。白人至上主義者に育てられ、スキンヘッドに差別主義者の象徴ともいえる無数のタトゥーを入れたブライオン。シングルマザーのジュリーと出会ったブライオンは、これまでの憎悪と暴力に満ちた自身の悪行の数々を悔い、新たな人生を始めようと決意する。しかし、かつての同志たちは脱会を許さず、ブライオンに執拗な脅迫や暴力を浴びせてくる。そして彼らの暴力の矛先はジュリーたちにも向き始める。

 

本作は、第91回アカデミー賞を受賞した短編映画『SKIN』を長編化した作品。ブライオン役を『リトル・ダンサー』『ロケットマン』のジェイミー・ベル、ジュリー役を短編版『SKIN』にも出演したダニエル・マクドナルドがそれぞれ演じる。イスラエル出身のユダヤ人監督ガイ・ナティーブが、短編に続きメガホンをとった。

 

(C) 2019 SF Film, LLC. All Rights Reserved.

 

映画『SKIN/スキン』は、関西では、6月26日(金)より大阪・梅田のシネ・リーブル梅田と京都・烏丸御池のアップリンク京都と桂川のイオンシネマ京都桂川で公開。また、7月4日(土)より神戸・元町の元町映画館で公開。なお、シネ・リーブル梅田とアップリンク京都と元町映画館では、短編版『SKIN』も本作と合わせて限定上映されるので、各劇場HPにて確認を。

本作鑑賞前に短編版を観た。レイシストの主人公が中盤からクライマックスまで衝撃的な経験をしており、鈍器で殴られたような感覚が残ってしまう。翻って、本作は対称的であり、生き地獄の中から微かな希望の光に向かっていく話であった。

 

主人公のブライオンは、不幸な環境で生まれ育った故に貧困な状況に陥ってしまった中で、レイシストに拾われてしまう。ブライオン自身は、外見も内面も生粋のレイシストになってしまったように見えても、実は違っていた。真っ当な倫理観をもった真面目な人間である。タトゥーも主義主張が備わっていそうでも、実は格好良さだけにとって刻まれた代物かもしれない。しかし、一度刻まれたタトゥーを一切取り除き、心身共に真っ当な人間になることは並大抵にあらず。命の危険を何度も乗り越えてきた。そう、本作は、状劇的な内容ではあるが、実話がベースとなっている作品である。どこまで悲惨な出来事が起こってしまうのか、観る側の緊張感も絶やすことができない。

 

さて、日本でも同様のことが起きるだろうか。レイシスト集団や過激な思想を携えた集団、或いは暴力団に拾われてしまう若者は現実に存在する。彼らが組織から完全に離脱しようとすれば…またゾッとする経験をするだろうか。本作においても、主人公以外に貧困層の若者が拾われて頭角を現していく姿が描かれている。それは、主人公の若き姿を象徴するかのように描かれていると感じた。貧困から過ちを犯さないようにするためにも本作が制作された意義は大いに存在すると信じたい。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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