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1970年の代ソ連を生きた作家達を描く『ドヴラートフ レニングラードの作家たち』が関西の劇場でもいよいよ公開!

2020年6月25日

(C)2018 SAGa/ Channel One Russia/ Message Film/ Eurimages

 

ソ連の厳しい統制下、ドヴラートフをはじめ若き芸術家や活動家たちの姿を活き活きと描くとともに、ブレジネフ時代の光と影をリアルに映し出す『ドヴラートフ レニングラードの作家たち』が、新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴う休業要請の緩和により、6月26日(金)より関西の劇場でも公開される。

 

映画『ドヴラートフ レニングラードの作家たち』は、現代ロシアの伝説的作家セルゲイ・ドブラートフの激動の半生を描いた伝記ドラマ。1971年、ソビエト・レニングラード。言論に自由の風が吹いた“雪解け”の時代を経て、社会には再び抑圧的な“凍てつき”の空気が満ち始めていた。ジャーナリストとして働きながら文筆活動に勤しむドブラートフの6日間を切り取り、後にノーベル賞を受賞する詩人ヨシフ・ブロツキーら若き芸術家・活動家たちのひたむきな生を描き出す。

 

本作は、第68回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(芸術貢献賞)を受賞。セルビア人俳優ミラン・マリッチが主演を務め、『ヴァンパイア・アカデミー』のダニーラ・コズロフスキー、『ウルヴァリン:SAMURAI』のスベトラーナ・コドチェンコワ、『裁かれるは善人のみ』のエレナ・リャドワが共演。『神々のたそがれ』の巨匠アレクセイ・ゲルマンを父に持つアレクセイ・ゲルマン・Jr.がメガホンをとった。

 

(C)2018 SAGa/ Channel One Russia/ Message Film/ Eurimages

 

映画『ドヴラートフ レニングラードの作家たち』は、関西では6月26日(金)より大阪・梅田のテアトル梅田と京都・烏丸の京都シネマで公開。また、7月24日(金)より兵庫・豊岡の豊岡劇場で公開。なお、神戸・元町の元町映画館でも近日公開。

文化の自由化が始まった「雪解け」のソ連の社会に、再び厳しい「凍てつき」が到来した時代。当時の作家は作家同盟への入会を認められなければ作品を発表することさえ出来なかった。作品を発表出来ないことは芸術家にとって世界に自分が存在しないことと同意である。昼夜を問わず仲間と詩についての議論を交し合い、身を焦がすほどに芸術を愛していながらも、日の目を見ず存在しない者のままに亡くなった若い芸術家が当時のレニングラードにどれだけ多くいただろう。才能に溢れ情熱に満ち満ちているのに政治的抑圧の為に最期まで無視され続けた彼らを思うとやるせない悔しさで胸が締め付けられた。

 

ドヴラートフは、ただ少しだけ政府の都合に沿うように妥協すれば作品発表が叶うと理解していたが、自身の文学観にどうしても背けない。文学を愛するが故に実直な不器用さは、当時のソ連を生きる詩人の彼を苦しめていく。葛藤を繰り返し孤独感に苛まれながらも、ありのままで生きようと自由を求めもがく姿に胸を打たれた。

 

「世界は狂気に覆われ、狂気が正常になりつつある。」そんな社会においても芸術を愛し芸術に人生を尽くした多くの若者が確かに存在していたことに希望を感じられる。抑圧に苦しみながらも自分を殺さぬよう一貫して希望を持ち続けた彼らの生は、距離も時代も超越し、現代の日本に生きる人々にも呼応していく。

fromため

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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