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違法宝くじで一攫千金に挑む孤児の少年の姿を描くベトナム映画『走れロム』が第16回大阪アジアン映画祭の特別招待作品部門で日本初上映

2021年3月9日

(C)2019 HK FILM All Rights Reserved.

 

ベトナムにおいて社会問題にもなっている違法宝くじを題材にした犯罪ドラマ『走れロム』が第16回大阪アジアン映画祭の特別招待作品部門で日本初上映された。

 

映画『走れロム』は、サイゴンの裏町を舞台に、孤児の少年が夢をかなえるために巨額の当選金が手に入る違法宝くじに挑む姿を描いたベトナム映画。サイゴンの路地裏にある古い集合住宅。詐欺師の債権者からの借金を背負っている住民たちは、アパートを維持するため大金が当たる違法宝くじに熱中している。14歳の孤児ロムは宝くじの当選番号の予想屋で生計を立てていた。ロムは地上げ屋から立ち退きを迫られている住民たちを救い、生き別れとなった両親を捜すため、危険な違法宝くじで一獲千金をもくろむが…

 

本作の監督を務めたのは、長編デビュー作となる新鋭チャン・タン・フイ。チャン・アン・コアがロムを演じ、『青いパパイヤの香り』『ノルウェイの森』のトラン・アン・ユンがプロデューサーとして参加した。なお、今作は当局の検閲が入り修正を余儀なくされるも、本国ベトナムで大ヒットを記録している。

 

 

映画『走れロム』は、6月より全国の劇場で順次公開予定。

本作で用いられる違法宝くじは、そんなことが出来るの!?と思わざるを得ない。ベトナムでは、「首都建設宝くじ」と呼ばれるものがあり、当せん番号が毎日発表される。だが、正規販売の宝くじを買う者は少なく、マフィアが仕切っている”もぐりの宝くじ”は的中させやすい仕組みを作ることで購入者が殺到してしまう。まさに仕組みを作り出したものだけが得をする。所謂マルチ商法の考え方を取り入れた杜撰な宝くじだ。だが、詐欺師の債権者から多額の借金を背負ってしまった弱い立場の者は、自身の財産を投げ打ってでも違法宝くじに熱中する。エグい!主人公のロムは偶々当選番号を的中させてしまったことにより、住民達に欠かせない少年となってしまう。なんと脆い世界なんだろうか…

 

しかし、ロムは生き別れた両親を捜すために一攫千金の危険な賭けに出ようとしてしまう。そんなに簡単に上手くいくわけがない。大金を手にした者の周りには幾らでも良からぬことを考えた人間が集まってくる。サイゴンの下町になると貧困問題もあり、いばらの道でしかない。それでも夢をかなえようとしたロムの姿には儚さを感じてしまう。そこにベトナムならではの美しい音楽が寄り添っていく…かと思えば、ベトナムのヒップホップまで流れ込んでくる。都会と下町、伝統音楽とヒップホップ、多様な要素が絡まり合った現代ベトナム社会へのカウンターになり得る作品に仕上がっていた。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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