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お気に入りのロックムービーとしてずっと残ってくれたら…『王様になれ』山中さわおさんとオクイシュージ監督を迎え舞台挨拶開催!

2019年9月21日

the pillows結成30周年企画として制作されたオリジナルストーリーの劇映画『王様になれ』が全国の劇場で順次公開中。9月21日(土)には、大阪・心斎橋のシネマート心斎橋にthe pillowsの山中さわおさんとオクイシュージ監督を迎え舞台挨拶が開催された。

 

映画『王様になれ』は、the pillowsボーカルの山中さわおさんの原案を、俳優で舞台の演出家としても活躍するオクイシュージさんが初監督作品として映画化。カメラマンになる夢を抱きながらも、厳しい現実を前に苛立ちと焦りを感じながら叔父のラーメン店で働く祐介。初めて足を運んだ「the pillows」のライブで、思いを寄せるユカリを偶然見かけた祐介は、ユカリと話すようになる。祐介はユカリとの距離が近づいていくにつれ、徐々に「the pillows」の魅力にもはまっていく。
主人公の祐介役を岡山天音さん、祐介が弟子入りを懇願するカメラマン・虻川役を岡田義徳さんが演じる。さらにthe pillowsのメンバーが本人役で出演し、GLAY、ストレイテナーなどthe pillowsと交流のあるミュージシャンたちも多数出演する。

 

上映後、the pillowsの山中さわおさんとオクイシュージ監督が登壇。満員立ち見状態のお客様に感謝の気持ちを込めて賑やかな舞台挨拶が繰り広げられた。

 

2017年の冬、30周年のアニバーサリーを2019年9月16日に迎えるにあたり、山中さんは、何をしようか、と考えていく中で「無謀なチャレンジではあるけれど、映画を作ってみたい」と思いついたが、オクイさんに監督をお願いし「本当に実現したんだな」と感慨深げだった。「映画に好き嫌いはあると思うけど、こんなにちゃんとすると思っていなかった。ちゃんとしている~!」と驚きながらも「本当に映画になったんだ」と嬉しさを表現する。オクイ監督は、観終えたばかりのお客さん達が感情をこみあげている様子を鑑みながら「僕は大阪が地元なので、喜んでくれてる方も沢山いらっしゃるみたいで、特別な気持ちになります」と伝えた。

 

当時、三軒茶屋の居酒屋で、オクイさんは山中さんと話しながら「ピロウズ30周年記念映画の監督と脚本をやってくれないか」と云われて戸惑ってしまう。「僕は演劇をやっている人間。映像なんか撮ったことないよ」と伝えたが、山中さんは「確実に僕よりは近いはずです」と支持。「う~ん、確かに…」となりながら、押し問答がありつつ「どんなのをやりたいかイメージはあるの?」と聞くと、山中さんは、一気にストーリーを話し始めていく。「ちょっと待て!覚えらんねぇよ!」と止めたが、山中さんは「なんとか口頭で進められねぇかなと思って…」と、ぼやく。オクイさんから「頼むから文章に書いてくれ」とせがまれ、山中さんは携帯電話から三千字も打つことに。受け取ったオクイさんは、長い文章をひたすら読み「1本の作品になっている原案を送ってくれた。変化球は投げられない。出来る限り原案を生かしたい」と考え、自分で肉付けをしながら、脚本を作り上げた。

 

主演の岡山天音さんについて、山中さんは、オクイ監督と三宅プロデューサーから提案される。the pillowsがエンディングテーマを担当した映画『』では怖い役として出演しており「あんな怖い人には無理だろ」と思っていたが「宣材写真を見たら表情が違っていて、若い時の俺に似ている」と直感。同時に、オクイ監督とも意見が一致した。オクイ監督は「モニターを見ていると、天音君の演技でグッときて見入ってしまう時がありました」と告白。クライマックスシーンを撮影初日に撮っており「都合上、アルバムツアーの最終公演後、お客さんにほぼ残ってくれた。そして、いきなりあのシーンを…」と山中さんが告げると、オクイ監督は「あれは、たまげましたね。凄い演技を初日に見せてくれたので、スタッフの間でも沸き立ちました」と振り返る。クライマックスを初日に撮ることは映画撮影では起こり得る出来事だが「さわお君は大丈夫と云うけど、俺、初監督だし。いきなり2500人のお客さんに参加してもらって、ライブを撮らないといけないし、演技も撮らないといけないし」と翻弄されながらも「天音君の演技を見て、ここに向かっていけばいいんだ、この映画は」と初日に確信できた。

 

本人役として出演した山中さんは「演技をした感覚はあんまりない。何十回も言ったことがある台詞を言っているだけで」と話し「滅茶苦茶怒るシーンがあるけど、あんな風には怒らない」と添える。オクイ監督は「最大限に演じてくれ」と頼んだが「俳優みたいには演じられない。本人役だったので、難しいところもあったけど、大丈夫だったかな」と一安心。オクイ監督が「いつもの感じでやっているのに、本人は気にしている時もあり、相談されて」と明かすと「それは、誰も褒めてくれないから!初日に、ひなっちばっかり褒めて…全く褒められないから、きっと駄目だったんだな」と心配していたことを告白。オクイ監督は「ずっと一緒に作ってきてんじゃん!俺もさわお君の演技を見る余裕がなかった」と同情を寄せていった。

 

作中に流れるthe pillowsの楽曲は全てオクイ監督が選んでいる。「大変だったというか…30年分ですからね」と苦労を表し「祐介の台詞には俺の気持ちを投影しています」と語っていく。「ピロウズのファンの皆さんは、それぞれがそれぞれの曲で背中を押されたり思い出があるので、皆さんが流してほしい曲を入れることは出来ない。やってしまうと500時間の映画になってしまう」とふまえた上で「ストーリーの台詞と楽曲の歌詞が同じ意味を持つように重要視して選んでいくと今回の形になりました」と振り返った。なお「ハイブリッドレインボウ」が流れるシーンでは、曲に沿った祐介の感情にする必要があると考え「その感情にに向かっていく祐介を考えて物語を作りました。演技に合わせて流した楽曲もあります」と特殊なストーリーの構築したことも明かす。

 

劇伴を担当した山中さんは「基本的にはギターで作っているので、ピアノやストリングスの音を7時間程度かけて2分の楽曲を作って聞かせたら『コレじゃないんだよな』と秒殺されていった」と唖然としていく。「30年間、作った曲を他人に駄目と云われたことがないので…」と嘆くと、すかさず、オクイ監督に「良い経験だったでしょ」と言われ、「そうですね、ありがとうございます」と言わざるを得なかった。改めて「最初に作ったものは、音楽が目立つような作り方をしていたので、ストーリーの邪魔をしていた。劇伴としては失格だと直ぐに分かった。どういう曲を望んでいるか。オクイ監督も三宅さんも音楽的な言葉でヒントをくれない」と苦労していく。オクイ監督は「大変そうな姿を見るのが嬉しくて」と楽しそうに話すが、山中さんは「構想は1年半、撮影は2週間でギュッと撮った。全部は立ち会っていないけど、皆さんが短い睡眠時間の中で寒い中で外で長時間のロケで撮っているのを見ているから、何も言えない」と、頑張って応えていった。また「最初は、台本の文字だけを読んでオクイさんにヒントを貰って作り始めていた。プロデューサーに仕上がるまでに無理だよと云われた。実際はシーン自体が無くなることもあった」と嘆くが、オクイ監督は「ボツになった曲に良い曲がいっぱいある。格好良い曲を作ってきちゃうから、シーンより格好良くなり過ぎて駄目だよ」とツッコミ。山中さんは「ミュージシャンだから、曲の最後は終わる印象で締め括りたい。でも、『音楽が終わりを告げてしまうのは困る』と聞いて、細かさに驚いた。結果として、仕上がった映像を観ながらギターで作って、合う楽器の音色を時間をかけて考えて作っていく作業でした」と劇伴制作を振り返った。

 

最後に、オクイ監督は「さわお君から無茶振りをされてどうしたものかと思いながら完成しました。僕は大阪出身で18歳の時に演劇がやりたくて上京しました。祐介と同じように挫折を何回も味わいました。でも、堪えてやってきて、映画をつくる監督になり、大阪で公開されることは想像も出来なかった未来です」と感慨深げに語り「今日、ご覧になって何か響いてくれた方は是非その思いを胸にきっと良い未来が待っているので頑張ってほしいなと思います」と伝えていく。山中さんは「15周年、20周年、25周年とアニバーサリーで色々とやりました。それまでにやっていないことで何をやろうかなと考えてきて、30周年で新しく何かできるかと思っていた」と振り返り「ドキュメンタリーではないオリジナルストーリーでの映画を思いついた。いろんなことをやってきているけども、30年も活動してきて、どういう人達に愛されたんだろ、と形になって残っていることはないなと気づき、ピロウズというバンドを音源とライブビデオだけでない側面を形にしたいなと思った。自分なりには上手く出来ました。皆が気に入った好きなロックムービーの中にずっと残ってくれたら幸せだな」と思いを託し、舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『王様になれ』は、9月13日(金)より全国の劇場で順次公開中。関西の劇場では、大阪・心斎橋のシネマート心斎橋と京都・烏丸の京都シネマで公開中。また、10月5日(土)より神戸・元町の元町映画館でも公開。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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