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ピロウズはどういうバンドだったか後世に残したい…!『王様になれ』山中さわおさんに聞く!

2019年9月20日

the pillows結成30周年企画として制作されたオリジナルストーリーの劇映画『王様になれ』が9月13日(金)より全国の劇場で順次公開中。今回、the pillowsの山中さわおさんにインタビューを行った。

 

映画『王様になれ』は、the pillowsボーカルの山中さわおさんの原案を、俳優で舞台の演出家としても活躍するオクイシュージさんが初監督作品として映画化。カメラマンになる夢を抱きながらも、厳しい現実を前に苛立ちと焦りを感じながら叔父のラーメン店で働く祐介。初めて足を運んだ「the pillows」のライブで、思いを寄せるユカリを偶然見かけた祐介は、ユカリと話すようになる。祐介はユカリとの距離が近づいていくにつれ、徐々に「the pillows」の魅力にもはまっていく。
主人公の祐介役を岡山天音さん、祐介が弟子入りを懇願するカメラマン・虻川役を岡田義徳さんが演じる。さらにthe pillowsのメンバーが本人役で出演し、GLAY、ストレイテナーなどthe pillowsと交流のあるミュージシャンたちも多数出演する。

 

2019年9月16日でthe pillowsは結成30周年を迎える。今回、特別な取り組みとして、山中さわおさんは「今まで自分がやっていないことにチャレンジしたい」という気持ちがあった。「自分で思い浮かぶ中で、バンドがまだやっていないことをやってみたい」という欲があり「俳優さんがお芝居する映画に本人役でミュージシャンが出るというのはおもしろい切り口かな」と気づき、本作に取り組んでいく。また、ピロウズが結成30周年を迎え、山中さん自身も50歳になり「いつか終わってしまう、ということがリアリティを増してきた」と実感。20歳の頃は「年を取って終わっていくことを頭では知っていても考える必要がない」と他人事だった。だが、自身もメンバーも年を取り、リアリティを感じた時に「ピロウズはどういうバンドだったのか、出来れば後世に残したい気持ちは当然ある。CDやLIVE DVDは沢山ある。では、どういう人達に愛されたバンドだったのか、スポットを当てたいな」と考えるようになった。

 

今回、山中さんは、手掛けている芝居が大好きなオクイシュージさんに監督を依頼している。最初に一度だけ脚本を書いているが「ピロウズファンのキャラクターとゲスト出演するミュージシャンの扱われ方は僕に聞いて下さい。この気持ちが伝わっていれば、書いた台本を8割使おうが5割使おうが1割使おうが構わない。なんならゼロでも良い。あとは何をどうやってくれても良いです」と信頼を以て作品を委ねた。結果的に、山中さんの原案が7割起用され、オクイさんから3割盛り込まれたが「俺の7割は薄味で、残り3割によって美味しく食べられるように調理された。大事なところは全部オクイさんが考えているので分量は関係ない」と断言する。

 

青春映画となった本作の主人公はカメラマン。ピロウズが30年の道のりを歩んできた中で、山中さんは「名も無き若者でも実力がある人だと認めて採用し長い付き合いになったのは、デザイナーとカメラマンしかいない」と説く。「デザイナーは仕事がインドアだから、音楽の現場でバンドと絡むのは難しい。カメラマンだとライブシーン等で絡める」と考え、主人公はカメラマンの一択になった。主人公の祐介が弟子入りするカメラマンは虻川塁。音楽業界でも活躍しているカメラマンの橋本塁さんがモデルなのかと気になるが「塁君は祐介でもあり虻川でもある」と告白。「名前が売れてなくても採用したのは、塁君なんだよね。祐介と違って塁君はプロになっていたんだけども、今みたいに有名ではなかった。彼は10代のころにピロウズのファンクラブに入っていたんだ」と明かした。ある時、ドラムのシンイチロウさんが別のアーティストの現場で知り合いになり「『渋谷CLUB QUATTROで写真を撮らせてください。ギャラも要りません。フィルムをお渡しするので撮った写真を見てもらえませんか』と言われ、断る理由もなかった。撮ってもらった写真がとても良かったので、それ以来縁があって、ピロウズのメインカメラマンになった」と本作ならではのエピソードを語る。なお、山中さんが書いた脚本では名前を塁にしておらず「オクイさんが小さいジョークを盛り込んだ」と微笑ましく話した。

 

the pillowsの魅力にハマった主人公は、ふとしたきっかけに山中さんに出会っていく。つまり、本作では山中さんも出演している。自身の人柄を曝け出す役を演じているが、心配はなかった。「ちゃんとしたお芝居が出来る自信はない。自分が何百回も遭遇している場面なら出来ると思ったので、お芝居をしたという感覚もないかな。決められたことを言うのはLIVEのMCでもやっていることだから」と正直話し「難しいお芝居が少しはあったけど、本人役だからそんなに大変ではなかった」と語る。また、本作には山中さんと仲の良いミュージシャンが多く出演しており「GLAYのJIRO君は絶対に出てほしかった。親友なので30周年には絡んでほしかった」と話す。さらに「ストレイテナーのホリエ君は10歳ぐらい年下だけど、シーンとしては近いところで活動してきたので、絶対出てほしかった」と語ると同時に「ひなっちとシンペイはお芝居する役、特にひなっちはかなり難しい。最初から俺の台本にはひなっちがいた。ガツンっと怒るシーンが出来て、さらにチャーミングさが残るキャラクターを演じてほしかった」と明かす。他にも、山中さんが運営するデリシャスレーベルのメンバーはチョイ役でも良いから出てほしい思いがあったり、UNISON SQUARE GARDENの田淵さんと a flood of circleの佐々木さんに架空のバンド結成を依頼していく中で実際に結成されたTHE KEBABSの出演だったり、最若手のSHISHAMOに若手バンドの撮影シーンに出演してもらったりと、仲の良い人達が沢山いる中で物語に寄り添うように出演してもらった。なお、本作の撮影には出来る限り立ち会っており、特にミュージシャン出演シーンには全て立ち会い、映画ならではの独特の世界観を体感した。

 

タイトルとなった「」は、the pillowsのアルバム『NOOK IN THE BRAIN』に収録されている楽曲。山中さんは「タイトルは『ストレンジ カメレオン』でも『ハイブリッド レインボウ』でも『Fool on the planet』でも良かった」と話した上で「英語やカタカナだと映画のタイトルとしては弱いかな。ピロウズは英語のタイトルが多く、日本語のタイトルは難しかった」と、タイトル付けに苦しんだことを明かす。タイトルの強さが必要だと感じ「数少ない日本語タイトルで何があるかと思った時に『』はとても強い言葉だな」と確信し、本作のタイトルに決定した。なお、本作で流れる楽曲は全てオクイ監督のセレクト。山中さんも考えていたが、偶々一致したのは本作で印象的に用いられる『この世の果てまで』だった。

 

本作は、the pillows30周年記念映画であるため、ピロウズのファン達に向けて制作しており、原案を考えた山中さんは「全く俯瞰で観れない」と正直に告白する。映画制作の現場を知り「カメラワークや照明、音声や音響や編集の方々が一流であり、一流の質がある映画。特に、オクイさんが様々に工夫してくれた。ミュージシャンの特性による縛りがあるから、作品を成立させるのは難しかった」と労っている。ピロウズのファン以外が見たらどう感じるか心配するが「今回の制作チームは『絶対に青春映画としてイケる』と言ってくれている」と後押しを受け、本作の公開を楽しみにしていた。

 

映画『王様になれ』は、9月13日(金)より全国の劇場で順次公開中。関西の劇場では、9月20日(金)より大阪・心斎橋のシネマート心斎橋、9月21日(土)より京都・烏丸の京都シネマ、10月5日(土)より神戸・元町の元町映画館で公開。なお、9月21日(土)には、シネマート心斎橋と京都シネマに、山中さわおさんとオクイシュージ監督を迎え、舞台挨拶が開催される。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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