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家族って何なんだろう、改めて考えてもらえたら…『鈴木家の嘘』原日出子さん、木竜麻生さん、野尻克己監督迎え舞台挨拶開催!

2018年11月5日

息子の死のショックで記憶喪失になった母親のために、家族が「息子は南米にいる」という嘘をつき通そうと奮闘する姿をユーモラスに描き出す『鈴木家の嘘』が11月16日(金)から公開される。本公開に先駆け、11月5日(月)に大阪・難波のなんばパークスシネマで、原日出子さん、木竜麻生さん、野尻克己監督を迎え、舞台挨拶付き特別試写会が開催された。

 

映画『鈴木家の嘘』は、長男の死によって巻き起こる家族の混乱と再生を、ユーモアを交えてあたたかく描いたドラマ。鈴木家の長男・浩一が突然亡くなった。そのショックで記憶を失ってしまった母・悠子のため、父・幸男と長女・富美が嘘をつく。それはひきこもりだった浩一が部屋の扉を開き、家を離れ、世界に飛び出していったという、母の笑顔を守るためのやさしい嘘だった。

監督・脚本は橋口亮輔さん、石井裕也さん、大森立嗣さんなどの数多くの作品で助監督を務め、本作が劇場映画初監督作となる野尻克己さん。父の幸男役を岸部一徳さん、母の悠子役を原日出子さん、長男の浩一役を加瀬亮さん、長女の富美役を木竜麻生さんがそれぞれ演じるほか、岸本加世子さんや大森南朋さんらが脇を固める。

 

上映前に、原日出子さん、木竜麻生さん、野尻克己監督が登壇。和やかな雰囲気の中で舞台挨拶が開催された。

 

心に響く家庭の物語と云われる本作について、原さんは「家族のない方はいらっしゃらない。必ず誰かの息子か娘である。皆さんが共感できる」と太鼓判を押す。野尻監督の初監督作品へのオファーを受け「監督デビュー作はとても大事。大切な作品に呼んで頂いたので、脚本を読む前にOKした」と応えた。野尻監督は、原さんに対し「人間としての根源的な本能や、むき出しの感情を出してほしい」とお願いする。そもそもは「原さんには、少し日本のお母さんのイメージがある。僕はそれを壊したかった。様々な役も観ており、原さんは演技の幅が広い方。今回、原さんの心が壊れる瞬間を撮りたい」というオファーから始まった。

 

木竜さんは、ワークショップ形式のオーディションから出演が決定。ワークショップでは、野尻監督と話しながら、実際の脚本から富美が関わるシーンをほぼ全部こなした。木竜さんについて、野尻監督は「素朴だが芯がある女優さん。例えるなら『Wの悲劇』の薬師丸ひろ子さん」と捉える。演技について「『自分をむき出しにしてほしい』と伝えた。大変なシーンもあるが、心の底から表現してほしかった。最終的に、木竜さんが笑うと画面が明るくなった」と大満足。これを受け、木竜さんは恥ずかしがりながらも「登場人物の皆が様々な思いを感じている。原さんをはじめキャストやスタッフの皆さんに引っ張ってもらい助けて頂いた。ぜひ映画を楽しみに観てほしい」と思いを込める。

 

本作は、重いテーマだが、クスクス笑えるシーンもあり、原さんは「一生懸命にやればやるほど可笑しい様もあります。人ってそんな時ないですか?凄い悲しくても笑ってしまうことが」と問いかけた。日々を生きることに対し「苦しくてもご飯を食べている。生きていくってそういうことじゃないかな。その辺りがリアルだからこそおもしろい」と提案する。脚本について、野尻監督は「笑えない映画は好きじゃない。喜劇では人間の行動が真面目だからこそおもしろい」と述べ「大真面目に嘘をつくことで、家族の裏にある心を描いた」と解説した。

 

さらに、共演者について各々がコメントしていく。岸部一徳さんについて、野尻監督は「冒頭に父親が風俗に行くシーンがある。誰が一番似合うか考えた時、岸部さんの顔が浮かんだ。無口な佇まいを演じさせたら岸部さんが一番良い」と断言。原さんにとっては「大ファンだった。いろんな作品を観ており、何本かご一緒したことがある」と告白。出演した作品で、共演していないシーンでの岸部さんの演技を観て「一度でいいから向き合ったお芝居をしたい」と胸に秘めていた。岸部さんがお父さんに決まったと聞き「飛び上がって喜んだ。夢がかなった。ドキドキしながら現場に行った。ナチュラルで、優しく温かい方」とさらにファンになる。木竜さんは、原さんや岸部さんと共演し「こんなに幸せなことはない。現場では2人にはよくして頂いた。食事を待って頂いたことがあり嬉しかった。鈴木家の雰囲気や一緒に過ごしてきた時間が大好きです」と懐かしんだ。大森南朋さんについて、野尻監督は「近年では、ハードな役が多かった。本人はフワフワとした優しい方。お兄さんの大森立嗣監督をよく知っているが、そっくりなんだろうな。さらに、お父さんが 麿赤兒さん。まさに芸能界を自由に泳いでいる方達」と捉え、浮遊感を表現している。原さんにとっては「お姉ちゃんと呼ばれることに何の抵抗もない。甘えん坊な感じが私の弟に雰囲気が似ている。本当に優しくおっとりした方。もう自然でしたね」と印象的だった。岸本加世子さんについて、野尻監督は「この家族は非日常に持っていかれるが、彼女は日常があり『それじゃいけないよ』と客観的な立ち位置。『人が亡くなったらお葬式を挙げて、悲しんであげなきゃ駄目だ』と一番悲しんでいる人。残された家族は悲しんでいいかも分からない、という設定にしたく、彼女は熱いキャラにしたい」と考え、直情的で優しい人に表現する。加瀬亮さんについて、原さんは「凄い存在感。繊細なニュアンスを表現できる俳優。入念に考えて演技していた。普段は明るくてよく喋っている方」という印象があり、自分の息子にそっくりだと感じながら、息子だと思い演じていた。錚々たる俳優らと共演した木竜さんは、撮影を終え時間を経った現在では「夢だったかな、と思う時がある。素敵な方々とご一緒にして、大事な作品になりました」と振り返る。

 

最後に、原さんは「観て良かった、と思って頂ける作品になっています。ぜひ最後まで楽しんでご覧になってください」と期待を寄せた。木竜さんは「映画を楽しんでください」と述べ、野尻監督は「僕は家族のことが分からなくて、この映画を撮りました。観終わった後、皆さんに『家族って何なんだろう』と改めて考えてもらえるような映画になっていれば嬉しいです。ぜひ楽しんでいって下さい」と思いを込め、舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『鈴木家の嘘』は、11月16日(金)より、大阪・梅田のシネ・リーブル梅田、難波のなんばパークスシネマ、京都のMOVIX京都、神戸・三宮の神戸国際松竹ほか全国の劇場でロードショー。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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