Now Loading...

関西の映画シーンを伝えるサイト
キネ坊主

Now Loading...

関西の映画シーンを伝えるサイト
キネ坊主

  • facebook

衰退した工業地帯で暮らす若者の12年追うドキュメンタリー『行き止まりの世界に生まれて』が関西の劇場でもいよいよ公開!

2020年9月9日

(C)2018 Minding the Gap LLC. All Rights Reserved.

 

“全米で最も惨めな町“といわれるイリノイ州ロックフォードでスケートボードに明け暮れる3人の少年たちの絆と成長を通し、知られざるアメリカの現実を映し出す『行き止まりの世界に生まれて』が、9月11日(金)より関西の劇場でも公開される。

 

映画『行き止まりの世界に生まれて』は、閉塞感に満ちた小さな町で必死にもがく若者3人の12年間を描き、第91回アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門にノミネートされた作品。かつて栄えていた産業が衰退し、アメリカの繁栄から取り残された「ラストベルト(錆びついた工業地帯)」に位置するイリノイ州ロックフォード。キアー、ザック、ビンの3人は、それぞれ貧しく暴力的な家庭から逃れるようにスケートボードに熱中していく。スケート仲間は彼らにとって唯一の居場所であり、もうひとつの家族だった。そんな彼らも成長するにつれ様々な現実に直面し、少しずつ道を違えていく。低賃金の仕事を始めたキアー、父親になったザック、そして映画監督になったビン。幼い頃からスケートビデオを撮りためてきたビンのカメラは、明るく見える3人の悲惨な過去や葛藤、思わぬ一面を浮かび上がらせていく。そんな彼らの姿を通して、親子、男女、貧困、人種といった様々な分断を見つめ、アメリカの知られざる現実を映し出す…

 

(C)2018 Minding the Gap LLC. All Rights Reserved.

 

映画『行き止まりの世界に生まれて』は、9月11日(金)より、大阪・梅田のシネ・リーブル梅田、京都・烏丸のアップリンク京都で公開。また、9月18日(金)より神戸・三宮のシネ・リーブル神戸でも公開。

 

街中をスケートボードで疾走する冒頭から、映像がとても美しい。本作に限らず、悩みを抱える10代の少年少女たちがスケボーに興じる姿は、他の多くの映画でもよく目にする。スケボー独特の浮遊感、宙に浮かぶように少しだけ地面から離れている時間だけは、彼らに自由な気持ちを与えるからなのだろうか。

 

本作の原題は「Minding the Gap」。「マインド・ザ・ギャップ(Mind the Gap)」という言葉は、イギリス・ロンドンの地下鉄から導入され世界的に有名なフレーズである。乗り降りする際に「ホームと列車の隙間(ギャップ)に気を付けてください」という意味を込めたアナウンスだ。また、お互いの認識や価値観の相違を「それってギャップですよね」と皮肉る表現としてもよく引用される。本作では、スケートボードで飛び越える段差や隙間、という文字通りな意味以外の意図が込められているようだ。

 

少年時代からの親しいスケボー仲間である3人の男性たち。彼らの思った以上に衝撃的な過去や、現在の見えていなかった部分が明らかになっていく。監督であるビン自身が取材対象であることもユニークで、最初は「俺たちの青春を振り返る」という内容かのように映し出しながら、実は、撮影行為自体が、今の彼らに必要だったことが分かるところも興味深い。これはDVの問題に向き合った重い内容のドキュメンタリーだ。しかし、沈んだ気持ちだけを残さない良作である。本作が米国で公開されたのは2019年、コロナ禍の前だ。観終わって、現在の彼らはこの一層厳しい状況の中でどうしているのだろうか、と案じてしまう。

fromNZ2.0@エヌゼット

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

Popular Posts