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家族を愛し沖縄を愛したカメジローさんの言葉を紡いだ…!『米軍が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯』佐古忠彦監督と内村千尋さんを迎え舞台挨拶開催!

2019年9月7日

戦後の沖縄で米軍の圧政に真っ向から挑んだひとりの男・瀬長亀次郎の戦いの姿が描かれた前作に続き、亀次郎の生涯と日本復帰直前の沖縄の激動の歴史を新たに振り返るドキュメンタリー映画第2弾『米軍が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯』が関西の劇場でも9月7日(土)より公開。初日には、佐古忠彦監督と瀬長亀次郎さんの次女であり不屈館館長の内村千尋さんを迎え舞台挨拶が開催された。

 

映画『米軍が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯』は、戦後、占領下の沖縄で米軍の圧政と戦った政治家・瀬長亀次郎の生き様を描いたドキュメンタリーの第2弾。那覇市長や衆議院議員を務め、不屈の精神で戦い続けた瀬長亀次郎の人生を追い、平成30年度文化庁映画賞・文化記録映画優秀賞など数々の映画賞を受賞した前作『米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー』に続く今作では、カメジローの生涯をさらに深く掘り下げると同時に、本土復帰へ向けた激動の沖縄を描き出していく。カメジローが残していた230冊を超える日記を丹念に読み解き、妻や娘らと過ごす家族の日常や、政治家・夫・父親などカメジローのさまざまな顔を浮かび上がらせていくほか、1971年12月4日の衆議院沖縄・北方問題特別委員会で時の首相・佐藤栄作と繰り広げた激論の記録映像が収められ、現代へと続く沖縄の解決されない問題や事象の原点を浮き彫りにする。

 

上映後、佐古忠彦監督と瀬長亀次郎さんの次女である内村千尋さんが登壇。カメジローさんの人柄が伝わってくる舞台挨拶となった。

 

前作『米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー』公開から半年後、沖縄では上映が続いており、佐古監督は様々なお客様から声をかけて頂いた。「政治家カメジローさんの格好良い姿は十分に分かった。家庭でのカメジローさんはどんな顔をしているのか」や「不屈の精神を貫く背景を知ってみたい」と受け、監督自身もカメジローさんの人間性を一層知りたくなっていく。カメジローさんは230冊以上の日記を残しており、再び千尋さんにお願いして読ませてもらい「視点を変えて読みますと全く違うカメジローさんの顏が見えてきました。1作目では駆け足で紹介した歴史もあります。表舞台から姿を消したカメジローさんがどのように戦い、関わっていたのか。別の視点からカメジローさんの物語を紡げるか」と取り組んでいった。エピソードや資料が沢山あるので、千尋さんは、佐古監督のやる気に賛同し「今回は、家庭のカメジローのリクエストがあり、自宅にあるアルバムも含めて使ってもらった。未整理の日記も探し出して提供しています」と協力的である。だが「佐古さんの苦労の半分は私がやりました」とお客さんにウケながら話すと、佐古監督は「私はずっと日記を読み続けていました。千尋さんのお陰でここまで出来ました。私にとっては内村総監督と思っております」と謙遜した。

 

カメジローさんの日記を読み深めていくと「政治家としての格好良い姿だけでなく、家庭での普通の父親や夫としての姿がある。さらに、沖縄に対する愛情がありました」と佐古監督は気づいていく。当時の沖縄は日本ではなかったので「カメジローさんは、”早く日本国に復帰して、日本国民である沖縄県民となり、沖縄県知事選挙をして総選挙をして、日本国民として代表を立てないといけない”と書いています。日本国民としての沖縄県民という表現を多く用いています」と指摘。当時から、カメジローさんは県民という言葉を意識しており「家族を愛し、沖縄の人々を愛する姿が溢れている。その姿を通して沖縄の人達の気持ちが見えてくる。2作を通してカメジローさんの様々な姿を見せたい」と思いを募らせていく。カメジローさんさんが戦った原点を辿り「恨みをのんで殺された仲間達の魂に報いる気はないんだ。沖縄戦に対する気持ちがあるから、佐藤総理への訴えに繋がる。その姿を通して沖縄の歴史が紐づいている」とこれまでとは違った一面が垣間見えてきた。

 

内村さんが小さかった頃、なぜ怒られたのか分からなかった程に父親であるカメジローさんに怒られたので、怖いお父さんのイメージが残っている。だが、改めて日記を読み「なぜ怒ったのか、理由まで書いてあり、納得して許しました」と冷静に話す。「日記には何でも書いてあるんです。毎日二千から三千字書いており、230冊以上もある。全部読み切れないので、こんなことがあったの?と佐古さんに聞くぐらいですね」と、その膨大な量に驚くばかりだが「何作でも映画が作れるかな」と楽しみにしている。佐古監督は、1作目の際にも日記を拝見していたが「長い歴史の中でカメジローさんがどのような言葉を残していたかという視点で読み、映画に反映しています。今回は改めて、もう一つの顔を探したく、全部しっかりと読み直してから取り組んでいます」と明かし、日記が物語の背骨となった。

 

本作には、カメジローさんの印象的な言葉を反映している。佐古監督自身の中にも刻まれており「占領者に対する憎悪からではく、県民や国民への愛情から生まれる。憎んじゃいけない。怒りの爆発なんだ」と伝えていく。また「基地撤去運動は平和運動ではない。主権の問題なんだ。つまり生活の問題なんだ」と政治的なイデオロギーが主題となる場合でも、沖縄に住む方々にとっては生活に根ざした問題であると印象づけた。

 

最後に、内村さんは「沢山の方に本作をご覧頂いて、なぜ今も沖縄が基地で苦しめられているのか沖縄の戦後史を分かって頂くとヘイトスピーチも減少するんじゃないか」と近年の願いを語っていく。佐古監督は、1作目と通底している思いとして「歴史を見れば今が見えるのではないか。何が変わっていて、何が変わらないのか。これからの私達の在り様を含めどのように考えていけばいいのか、考える材料があります」と伝え、舞台挨拶は締め括られた。

 

映画『米軍が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯』は、大阪・十三の第七藝術劇場、京都・九条の京都みなみ会館、神戸・元町の元町映画館で公開中。

キネ坊主
映画ライター
映画館で年間500本以上の作品を鑑賞する映画ライター。
現在はオウンドメディア「キネ坊主」を中心に執筆。
最新のイベントレポート、インタビュー、コラム、ニュースなど、映画に関する多彩なコンテンツをお伝えします!

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